◆各隊再編成日の翌々日

　　ガラル軍　行動隊調理室

……やっぱり美味いじゃないか。

あはははっ、なんだその感想〜
いやでも、お前の口に合ったなら良かった。
今後も作り甲斐があるってもんだ。

……俺の飯なんか、飯と呼べるのか……？

そ、そんなに違わないだろ……
私はお前の作るご飯も美味しくて好きだけど？

慰めか……

ほんとだって〜！

ふふっ……今日は予定通り9時頃ここを立つ。
帰るのは夜だ。

一日仕事だな……気を付けて、無事に帰ってこいよ。

ああ、いつも通りに。
1人の気楽な休日を過ごしてくれ。

気楽ね……ここに来ての休日も初めてなんだが……
ああそうだ、昨日言ってた通り、テオ博士に土産を持って行こうかと思うんだ。

……。
いいんじゃないか？
喜ぶだろうな。

お前もと思ったんだが、運び屋の仕事が入ったんじゃあな……

いい、一人で行ってきてくれ。
俺はあまりあそこに行きたくない。

え？
昨日は普通に行ってただろ。

昨日は行く必要があったからだ。
……博士に会うのはしんどい。

しんどい……？

しんどい。
……あの人は研究室に引きこもってるから、外のやつと話すと気が紛れていい。
少しだけでも話し相手になってやってくれ。
あの人も話しをするのは嫌いじゃない。

……ああ、それは構わないが……

よし、じゃあよろしく。
……さて、出る支度するぞ。

おう。
……あっ、待て待て、これ持って行け。

……なにこれ。

弁当。

……。
……え？

え？じゃない。
一日仕事だろ？昼飯だけでも持ってけ！

……いいのか？

もう作ってあるんだ、せっかくだからちゃんと食べてくれよ。
あ、容器は適当に捨ててくれ。

……あ、あぁ……(困惑)

今までどうしてたんだ？
買ってた？

着いた街で買ってた……

店で売ってるものの方が良ければこれからは作らないが……

いや……、た、頼む……
正直お前が作る方が美味い……

そっ、そんなに？

ああ。
食にこだわりはないし、買うのも面倒だった。
お前の料理なら、食べるのが楽しみになりそうだ。

え〜めちゃくちゃ嬉しいなぁ。
よーし、じゃあお前が休日仕事の時は、私は弁当作ってお前を労おう。

ありがたい……

こんなに喜んでもらえるとは思わなかった。
作って良かったよ。

気を遣わせて悪いな。

いいや、お前が頑張ってるなら支えるし、私も頑張らないとと思って……
お前こそ、気にするな。
隊員に快適な環境を作る、隊長としての役目の1つだとぐらいに考えてくれ。

……ありがとう。

あ、すまん引き止めて……
支度してくれ。
時間大丈夫か？

ああ、問題無い。
出る前には声掛ける。

おう、よろしくな。

　　ガラル軍　ロビー

何かあれば、今日はキーウェンが待機してるから、一緒に対処してくれ。
あいつも主な初動は経験してる。

了解。

まあ、そんなに緊張することもない。
何かあっても、部隊は他にもいるから、お前が責任を全て負うわけじゃない。
今日は休日だから、気楽に過ごしてくれ。

うん、分かった。
お前も休日なんだから、しっかり休んでほしいんだけどな。

飛行自体はそこまで疲労しない。
荷が重ければそれほど疲労は溜まるがな。
今回はこの箱1つだから、ほとんど旅行感覚だ。

へぇ〜、それじゃあ景色を楽しんでくれ。
食堂で晩飯頼んで置いとこうか？

ああ、多分食堂開いてる時間には戻れないだろうから、そうしてくれるとありがたいな。

じゃあそうする。
適当に頼んでおく。
好き嫌い無いだろ？

無い。何でもいい。

了解。

あっれー、トウヤ、また休日出勤？

ああ。

デッドラッドとクスケはこれから巡回だな。

おう、行ってくるぜ。

トウヤ、また配達先の地域であんまり親切にしすぎるなよ、前みたいに

うるせえ。

ん？
何の話だ？

いやいや、配達先でさ

うるせえ早く巡回行きやがれ(蹴)

ちょ、痛えよ、分かった分かった、内緒な〜

ぎゃははキレられてんの〜！
んじゃ巡回行ってくるぜ〜トウヤも行ってら〜

ああ。

……何かあったのか？

……内緒。

……ふぅ〜ん？

…………。
じゃあ行ってくる。
留守はよろしく。

ああ、任せろ。
気を付けてな。

了解。(飛び立つ)

……さて、土産買ってテオ博士の所に行くかな。

　　ガラル軍　キーウェンの部屋

コンコン

……は、はい……っ(ｶﾞﾁｬｯ)

おはよう、キーウェン。

あ、イーリス、おはよう……(安心)
どうしたの？

今朝からトウヤは個人の運び屋の仕事で外に出てるんだ。
アローラのメレメレ島まで行くらしい。

あぁ……、お、お疲れだね……

せっかくだから今日はキーウェンとまた話をしようと思ってね。

はっ、話……！？
な、なんの話をする……っ？
き、緊張してきた……！

あはははっ、そんなに緊張しないでくれ〜ただの世間話だ。
面接でも、お前の評価に関わる話でもないから！
茶が美味いなとかそんなでいい。

そそ、そっか……！(そわそわ)

午後にまた来るよ。
これから少し研究室に寄ってくる。
室長にお願いしてることがあってな、改めて手土産を渡す。

そうなんだ、テオ博士に……

キーウェンも博士のこと知ってるか？

在籍が長い人のことは何となく……
でも、テオ博士のことはトウヤからも少し話を聞いてたりして……
今はダイマックスエネルギー……について研究してるんじゃなかったかな……

なるほど。
遺伝子とダイマックスエネルギーは何か通ずるものがあるのかもな……
忙しそうだが、化石の復元、頼んでよかったんだろうか。

あ、ついさっき報告書読んだ。
初日から大変だったね……。

はは……
トウヤからもあまり気に病むなと言われた。
この仕事をしてれば時には救えない命を目の当たりにすることもあるって……

そうだね……災害の現場は特にそうだから……
気にしすぎるのも、自分が苦しいだけだって、俺もたくさん考えた……
どうでもいいわけではない。
何もしていない訳じゃない、救う努力をした上でどうにもできないのなら、それは仕方ない以外に無いよ……

慣れていくというのもおかしな話かもしれないが、そうするしかないか。
……私は災害現場に派遣されることがほとんどない席にいたから、そういうものにあまり慣れていなくてな。
これから経験していくしかない。

うん、一緒に頑張ろう。
無理しないでね。
そのためにみんながいるんだから、協力していこう。

ああ、そうだな。
ありがとう。
……それじゃあ、また後で。

うん、待ってるよ。




→　1-13 イーリスの休日2

←　1-11 トウヤの仕事

←←HOMEへ戻る


まとめ 1- 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10 / 11 / 12 / 13 / 14 / 15 / 16 / 17 / 18 / 19 / 20 / 21 / 22 / 23 / 24 / 25 / 26 / 27 / 28 / 29 / 30 / 31 / 32 / 33 / 34 / 35 / 36 / 37 / 38 / 39 / 40 / 41 / 42 / 43 / 44 / 45 / 46 / 47 / 48

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove

- ナノ -