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イーリス隊自己紹介3


◆各隊再編成日

  ガラル軍 談話室にて


……俺はアーマーガアが持つものと同じ金属を生成できる。
主には左腕、左掌、背、右掌から。
鎧や盾なんかは自分で作ったものを身につけてる。
剣は持ち歩かず、必要な時に生成する。
生成速度もさほど無い。簡単な盾なら2秒、剣なら1秒もかからない。
背は翼を生やすために使う。
一般に加工されるような鉄と違い、とても軽くて硬い。
俺が想像できる範囲で形成することができる。
……金属の生成に関しては簡単に説明するとこのくらいか。

金属の生成か……ゼロから生み出せるのはすごいな……

……。
あと、昔父親の影響で運搬の仕事をしてた。
軍に入りはしたが、贔屓にしてた業者からの依頼で、休みの日にはたまにそっちの仕事もしてる。

運び屋と言うやつか……。
休みの日に仕事してるのか。
運搬は、体力もかかるだろうし……どこまで運んだりするんだ?

他地方から呼ばれたりもする。
アローラまでなら1日で往復できるかな。

お、お前大丈夫か……?
アローラって、結構遠いぞ……往復時間、受け渡しして途中休憩なんか挟んでも……
お前寝てるか?

気にするな、運搬業はたまにしか来ない。
それによく寝る方だ。

……そうか。
無理するな、疲れてるなら休めよ。

……まあ、気にするな。

誤魔化すな。

……。
俺が言っておかないといけないことと言ったらそれくらいだ。
他のやつらはどうだ?
具体的にどう使えばいいか見当はついたか?

そうだな……経験を混じえて話をしてくれたからな。
デッドラッドは災害現場にいち早く臨場して生存者の確認、救助、瓦礫の撤去……その他、街のいざこざにも対応できそうだ。
クスケは火災現場が得意だ、炎を吸収しつつ、火傷を気にせず建物内に侵入できる。
キーウェンは体が大きく力も強い、瓦礫撤去や揉め事対応……
本人は気弱だが、巡回すれば防犯、抑止になるだろう。
今のところ得た情報を簡単にまとめればこれくらいだろうか。

……。
デッドラッドは、出身である遺跡で悪さばかりしていたことで、軍が呼ばれて……
最終的には軍で保護することになって、今ここにいる。

そうだったのか。

軍が呼ばれて、俺もそれに臨場したんだが、あいつと対峙して、うちで働かないかと聞いたら、おとなしくついてきた。
それからは俺のいる隊で世話して……いや、もう立派な戦力の一人として働いているが…
あいつは案外聞き分けが良くてな、教えればすぐに仕事も覚えた。
今じゃ、ちょっとした町のいざこざも、クスケと2人で収められたりする。

…めざましい成長…というよりは、元々能力はあったが、それを生かす場が無かっただけなんだろうな。

聞いたと思うが、あいつは不老不死だ。
長い間生きてきて、普通の人間と同じような生き方を何周かしたらしいが、結局同じことを繰り返すだけでつまらなかったらしい。
少しでも他人の反応を見たくて、ついイタズラをしてしまったと。
今はイタズラの代わりにおしゃべりしてる様なものだ。
最初は聞いてやったが……、いつまで経っても話が終わらねぇしうるせぇから今は追い返してる。

ははは、ほんと、変わったやつだよなぁ。
そうそう、不老不死のことだが、お前は実際に不老不死だとどう確信したんだ?
本当にそうなのか?

……。
聞きたいのか。

え?
あ、まぁ……私が不老不死を確かめることは、なかなか難しいだろうからな。
根拠か何か、あるなら聞かせてもらえるとありがたい。

……。
……うちに来いと言ったら大人しくついてきたとは言ったが、まあ前置きがある。
あいつは戦うことも好きだ。
俺たちが呼ばれ臨場した際、捕縛しようというところ、あいつは抵抗した。
いや、抵抗というより……、俺たち相手の戦いを楽しんでたという方が正しい。
当時からあいつの戦闘能力は優れていた。
……しかも、しつこい。
いくら殴っても立ち上がって向かってくる。
戦闘不能にしなければ終わらないと判断し、最終的に俺が半殺し状態にして、そう誘ったというところだ。

激しいな。

あいつの戦い方は死を恐れていないようだった。
痛覚はあるから攻撃を受けないようにはするようだが、腕や足を刺しても気にせず次を打ち込んできた。

……半殺しに……したのに、痛覚はあったのか……

後に分かったことだ。
治療を施さなくとも全身の傷を自ら修復していた。
左腕は神経を絶っていたはずなのに、それもしばらくすれば元に戻っていた。
その時点で驚異的な再生力を持っていることは分かる。

……。

その後遺跡周辺で聞き込みをしたが……大昔にあいつを殺そうとしたやつがいたらしい。
すみかへ行き、数人であいつをめった刺しにした。
確実に心臓部を刺した、そして腕も足も切り落とした、首も落とした、最後に、バラバラになった体を燃やした。
これでもう姿を現すことは無いと思っていた……が、数ヶ月後、元の綺麗な体で住処をうろついているところを目撃された。
殺そうとしたやつらへの報復もなく、以前と変わりなく1人で過ごしていた……
という話だ。

……。
……それは、本当の話、なのか……

あいつに聞いたら、
「あーあれ、超痛かったけどまあまあ楽しめたから、許してやった」
と言った。
恐らく事実なんだろう。

……。

実際に殺してみたわけではないから分からないが、あいつの様子からは、事実として認識していた方がいいと感じた。

……お前は、それを聞いてなんとも思わなかったか?

……お前は、腹が立った?

ああ、そうだ、腹が立ったよ、あいつを傷つけたやつにも、あいつ自身にも。
自分が死なないと分かっていてもそんな命の使い方はしてほしくない。

……あいつは、自分の命を軽く見ている。
だが、普通の人間とは違うとしっかり認識している。
自分の命の使い方を他人に強要するようなサイコじゃない。

それは分かるが……っ

まして自分が死ぬほどのダメージを負う時は、死ぬほど痛い。
そんな命の使い方を積極的にしたいわけではないだろう。
現にそんな時は痛みで意識を失うと。

……ッ

意識を失うから、回復して目を覚ますまでは何をされても痛みも感じない……
だから意識を失うほうが楽だと思うこともあると……
本人は、痛みがいつまでも続くわけじゃないから、少しの間痛いくらいいいと考えてるらしい。

ふざけやがって……

……まあ、そう思うだろう。
さすがに俺も拳が出そうになったが、頬をつねるまでにしておいた。

……!

……言い聞かせたが、遊び始めたら忘れるかもしれないから、ちゃんと見ておいてやらないといけない。
そこまで心配は不要かもしれないが……
あいつは俺が連れてきたから、俺が世話をする。
お前はさほど気にする必要は無い。

……そういうわけにはいかない。
私が隊長を務める限りは自分の隊の誰もしっかり見てやらないと。

……やりたいようにやってくれ。
……話が逸れたが、デッドラッドはうちの隊でも注意が必要なやつということだ。

……了解。

クスケは問題無い。
性格に難も無い、戦闘能力も申し分ない。手間はかからないだろう。
ただあいつは、面倒みがいいとは言わないが、デッドラッドと同室でよく疲れないなと思う。
……余談だ。

ふふっ、確かにあの二人は仲が良さそうだった。

……キーウェンは、気の良いやつだが、自分を過小評価しすぎる。
過大に褒めてやる必要は無いが、キーウェンの力が必要な場面ではどんどん使ってやってくれ。
さっきも言ってたと思うが、能力はあるのに、自分に自信が無いとか遠慮がちだったりで全て発揮できないだけだ。
うまく使ってやってほしい。

うん、了解。

……俺の話はこんなところだ。

ん……大事なことを話してくれてありがたいが……、お前、自分の話より仲間の話ばかりじゃないか。
私はお前自身の話ももう少し聞きたいんだが?

んなもん無い。

無いのか、武勇伝。
世間話でもいい。

無い。
あればまた話す。
どうせ同じ部屋だ、話す機会はいくらでもある。

うーん、まあそうだな。
じゃあまた聞こう。

とりあえず、このあとは第一部隊で使ってる設備の場所だけ案内しておく。

おお、頼む。




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