___GAME OVER
テレビゲームの画面にはそう記されている。チッ、と舌打ちをしても数分前に戻るはずはなく、コントローラーを乱雑に投げ捨てる。
するとその先に重ねてあった資料やらなにやらに直撃し、バラバラと崩れ去った。紙吹雪のように舞い散るソレにイラついて、どうせ大したものではないだろうと五指で触れれば跡形もなく消え去っていた。理由なんてない。ムシャクシャしていたからだ。
"なにかお困りですか?"
ふと、脳裏に先日の少女の言葉が蘇る。
思い返して、また腹のあたりにムカムカが蘇った。
あの時、少女に話しかけられて咄嗟に殺そうと思った。雄英高校だという子ども、コイツを殺して、校門に腕を置いておけばいい。最高のショーじゃないか。
そう思って少女に手を伸ばした。あと数センチ、数ミリ______
伸ばした手のひらは、少女には届かなかった。
咄嗟になぜだか少女を殺してはいけない気がして、代わりに目の前に飛んでた蜂を粉々に潰した。カンマ数秒の出来事、反射的な身体の反応に脳はついて行かない。
(いま、なにが、なにがおこった?)
自身の意思に反しておこった現象に、心当たりはなかった。分かることは目の前の少女を殺していないということ。
気味が悪くなる。
しかし目の前の少女はそんなことお構い無しにペラペラと話し出して、名前を聞いてくる。しかも、何を思ったか死柄木弔はそれにバカ正直に答えてしまった。黒霧がこのことを知ったらなんと言うであろう。
弔はこれ以上少女に関わるのは危険だと判断し、やっとの思いでその場から立ち去った。立ち去ることですら容易ではなかった。そしてその後から得体もしれない倦怠感に襲われることとなり、今に至る。
それは数日たったその日も相変わらずであった。
おもむろに黒霧がやってきて、なにやら探してる。視界にちらついてきて鬱陶しい。
「…死柄木弔、ひとつ訪ねますが、ここにあった資料の束をどこへやりました?」
弔には心当たりがあった。…先程個性で塵にしたものだ。黒霧はそんな弔の様子を察したのか、わかりやすくため息をついた。
「あぁ、くそめんどくせぇ………」
弔は黒霧にそそのかされ、結局また雄英視察に行くはめになった。あの資料はセキリュティやらなにやらについてこと細かく記されているものだったらしいのだ。
全く、最近ついていない。
そこでさらに付いてない出来事と出会う。 「シガラキさん!」という叫び声がすれば、あからさまに顔を歪めて舌打ちをした。少女はそんな舌打ちなど聞こえない様子で近づいてくる。
………………最悪だ。
しかし、幸か不幸か、彼女との二度目の出会いによって弔は一連の出来事の原因を知ることとなる。
やっぱり殺したい、という思いを抱えてバーに戻ると、黒霧に襲撃計画まえに側に生徒に手を出すなと牽制されると同時に、もしかしたらその個性を利用すればヒーロー側に大きな損害を与えられるのではと黒霧が提案することになるのだがそれはまた別の話である。