マヨを訪ねて三千里



にゅるにゅるにゅる

朝飯にマヨネーズをまるまる一本かけきる光景

それは日常茶飯事

ブチュブチュって音が鳴るまで出しきる

他の隊士の目なんて気にしねぇ

目の前に座る山崎が嗚咽しかけても気にしねぇ

総悟に何を言われても…

『朝からえげつないものくってんじゃねーよ、土方。頼むから死んでくだせェ』

『ッんだと!?総悟ォォォッ!其処に直れッ!』

これも日常茶飯事で


あ、そう言えば
もう少しでマヨネーズのストックが切れそうだったな

『おい、山崎。マヨネーズが切れそうだから買って…ってアイツどこ行きやがった』

いつものようにマヨネーズの買い出しを山崎に頼もうとしたが、やつの姿は無かった

『山崎なら嫌な予感を察知して一目散で退散しましたぜ』

…あの野郎

『だったら総悟、お前行ってこい』

『やだね、俺は忙しいんでィ。世のためにならないことの為に割く時間はありやせん』

そう言って例のふざけたアイマスクを装着した

『てめェがこれからしようとしてることの方が無駄だろうがッ!!それなら俺の役に立ちやがれッ!』

『やなこった』
総悟は軽い足取りで食堂を後にした

てな訳で
見回りがてら大江戸ストアに立ち寄った

迷わずマヨネーズのコーナーに向かう

…が
何故だろう、どこまで行っても見つからない

『あの〜すいません、マヨネーズは…』

手が空いてそうな店員を見つけて聞いてみると

『申し訳ありません、先ほど大量に購入された方がいらっしゃいまして売り切れてしまいました』

『はぁ!?全部?』

『はい、全てでございます』

珍しいこともあるもんだ
俺並みのマヨラーが江戸にも居たとはな

仕方ねぇ
他を当たるか

マヨネーズならコンビニにも売ってるだろ

『申し訳ございません、先ほど買い占められたお客様がいらっしゃいまして…』

『…え?全部?』

『はい、全部です』

おかしな事もあるもんだ
最近はマヨラーが増えてきてるのか?

まぁコンビニは他にもある
他を当たるか

『スイマセン、売り切れです』

…此処だけじゃねぇし

『申し訳ありません』

……

『只今品切に…』


どうゆう事だコノヤロォォォッ!

なんで俺が行く先々の店屋のマヨネーズが売り切れている?
こんなこと今まであったか!?
(普段は山崎が買いに行ってるが)


マヨネーズよこせェェェッ!とガンガン電柱に頭を打ち付ける俺を通行人は冷ややかな目で見ていたに違いない

当の俺はそれどころじゃない

一日でもマヨネーズを欠いて過ごすなんざ拷問に値する
気が狂いそうだ

しかしどこを訪ねても無いの一点張り

帰るにはまだ些か早かったが何も手につかない状態で帰ることにした

その足取りはひどく重たい



『副長〜ッ』
帰るや否やのんきな山崎の声に出迎えられた

それに応える俺の顔は鬼の形相だったに違いない

怖じ気づいた様子の山崎は声を震わせ告げた

『あの…、副長宛にものっそたくさん荷物届いてます…』

荷物?
テロリストからの爆弾とかじゃねぇだろうな

『おかしな事に送り主の名前が無いんですよ』

…怪しい

部屋に向かえば部屋は段ボールで埋め尽くされていた

恐る恐る箱をひとつ開いてみた

出てきたのは箱一杯のマヨネーズ

なんだこりゃ

他の箱も全てマヨネーズ

…一体どうゆうことなんだ

あれだけ求めて手に入れられなかったマヨネーズにこんな形でありつけるとは

そこにひらり
どこかの箱から落ちた一枚の紙

《マヨネーズ好きな副長さんへ〜今日は面白い一面を見せてもらったわ(ハート)コレはそのお礼》
女らしい癖字でかかれた一文
その文末には見慣れた色した紅のキスマーク

…赤根エリカ、か

今日、俺の先回りをしてマヨネーズを全て買い占めてたって言うのか

そしてマヨネーズを求めてさ迷う俺を陰で笑ってた


あいつ、どうゆうつもりなの!?

憎い桃色のキスマークを見ていたらどっと疲れが襲ってきて
俺はマヨネーズの山の上に倒れ込んだ


でも、良かった
今夜もマヨネーズが食べられる

あいつには感謝しなきゃなるめぇ

不本意ですけど




一方、桂一派の隠れ家では

『エリカ、ここにしまってあった活動資金を知らぬか』

『マヨネーズ買うのに使っちゃった』

『マヨネーズ!?しかも全部!?あんなにあったのに!?』

『うん』

肩を落としたヅラとは対象的にご機嫌なエリカが居た




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