my home



アイツを拾ってきたのは
ほんの気まぐれ


人気の無い繁華街の裏通り
ごみ置き場の側で一人うずくまっている姿が妙に気を引いた

汚ねェナリをしているが、漂う雰囲気はどこか美しい…
元はいい身分だったのかもしれない

絶望に打ちのめされて心が折れて居るかと思えば…

俺を見上げる目は光を失っている様には見えなかった

興味が湧いて声をかければ笑顔を向けた
隻眼で腰に刀を挿した得体の知れない男に向かって

おもしれェ奴

『行く場所がねェっていうなら来な』
それだけ言って歩き出せば小さな足音がついてきていた

まさかほんとについてくるたぁ…
おもしれェ奴だ



『ここを家と呼んでいいんですか?』

船に連れて帰ればエリカは物珍しそうにキョロキョロ辺りを見回してそう言った

『好きにすりぁいい』
煙管から立ち上る紫煙の向こう
『ありがとう』といったエリカは満面の笑みを見せた
目には涙を浮かべていたが


『泣くか笑うかどっちかにしろ』



ぶっきらぼうな言い種だったけど、どうしてだろう
私の心はぬくもりで満たされて

再びこんな気持ちになれるなんて思いもしなかった

『晋助サン晋助サン』

『…………』

『もうわたし、此処から離れませんから』

『…好きにしな』


これからの人生は全てあなたのために


私の帰る場所はあなたの隣


『あなたのために命を投げ出す覚悟です』

『はっ…、女が一丁前に士道を語るか?』

『女だってヤるときはヤるんです!…ってどこ行くんですか?待ってください!』


彼の隣は

今はまだ遠いみたい



 


戻る

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -