君しかみえない

好きな人に想いを伝える

今まで勇気が無くて言えなかったのに

もう会えないとわかったらこんなにも簡単に想いは口から溢れた


薄暗い部屋
互いの姿がハッキリと見えない中
総悟の影が動いたのが見えた

諦めはついてもやっぱり怖くて涙を隠すように顔を背けた

それでいいの
あたしに構わず行って

ジャリ…と近くで足音がした
そして強い力で肩を掴まれた
顔をあげたら目の前にに総悟くん

この距離だと表情も分かる
相変わらずのポーカーフェイスはまっすぐにあたしを見つめていた

『…総ッ』
あまりの近さに戸惑い名前を呼ぼうとしたあたしの唇はそのままどんどん近づいてきた彼の唇で塞がれた

触れるだけのやさしいキスで

あたしから離れた唇がゆっくりと弧を描いた

『キス…した?』

『こんなんキスに入らねェでさ、挨拶みたいなもんだろ』

『挨拶…別れの挨拶、みたいな…?』

『いや、むしろヨロシク的な?』

この人何いってるの?
何をヨロシクなの?

もう二度と逢えなくなるからあたしは泣いてるのに

『物足りなかったろ?』
恥ずかしくなるくらい近くで、顎に手を当てられ顔を上げさせられる

もう総悟くんしか見えない

…こんな状況じゃ無かったら、死ぬほど嬉しいシチュエーション

そう、こんな時に総悟くんは何を考えてるの?

『ばっ…馬鹿ァ!こんなことしてる場合じゃッ…ンムッ!』
怒りが入り交じった反論をする唇がまた塞がれた

今度は息をするのも忘れるくらい深く、溶け合うみたいなキスで

こんなキスは初めてで
今自分が置かれてる状況なんて頭からどこかに消えてしまった

目の前いる愛しい人のことで頭が一杯で、他のことなんてもう考えられない

力なくぶら下がっていただけのエリカの腕が総悟の背中に回された

その時だった

『おめでとうございます沖田さーん、ほんと良かったッスね〜』
テレビの電源が入ると同時に響き渡った能天気な男の声

最初の重々しい口調からは想像できないくらいはっちゃけた自愚蔵の声だった

『お前空気読めねーの?いまいいとこだっただろーが』

『あっスイマセン!気が利かなくて』

…何これ
どうゆう状況?
なんでこのふたり親しげに話してるの?
この人あたしたちを危険な目に遭わせていた張本人なのに

『ちょっと…、これ、どうゆう…』
戸惑うエリカなどお構いなしに二人は楽しげに話していた

『いや〜でも今回も見事な演技でしたよ〜、わかってたのにドキドキしましたからね』
『お前もなかなかだったぜ』

…は?…演技?
まさかこれ全部嘘だったの?

『あ、沖田さん廊下の突き当たりの部屋はきれいなんで是非使ってくださいよ』
『マジでか、サンキュー』
『じゃ、僕はこれで。お疲れッした〜』
『お疲れ〜』

もう何が何だか分からないエリカは放心状態で

『さ、エリカ。立ちなせェ、場所変えるぜ』

総悟くんは壊すのに必死になっていた首輪をいとも簡単に外した

『ちょっと…どうゆうことか説明してよ!あたしもう頭が…』
エリカが言葉を言い終わる前に目の前に差し出された手

気になってしょうがない事はたくさんある
それでも目の前の総悟くんが珍しくやさしく微笑むもんだから

その差し出された手に自分の手を伸ばすことしか出来なかった

それは
ごく自然な成り行きで
好きな人に想いを伝える

今まで勇気が無くて言えなかったのに

もう会えないとわかったらこんなにも簡単に想いは口から溢れた


薄暗い部屋
互いの姿がハッキリと見えない中
総悟の影が動いたのが見えた

諦めはついてもやっぱり怖くて涙を隠すように顔を背けた

それでいいの
あたしに構わず行って

ジャリ…と近くで足音がした
そして強い力で肩を掴まれた
顔をあげたら目の前にに総悟くん

この距離だと表情も分かる
相変わらずのポーカーフェイスはまっすぐにあたしを見つめていた

『…総ッ』
あまりの近さに戸惑い名前を呼ぼうとしたあたしの唇はそのままどんどん近づいてきた彼の唇で塞がれた

触れるだけのやさしいキスで

あたしから離れた唇がゆっくりと弧を描いた

『キス…した?』

『こんなんキスに入らねェでさ、挨拶みたいなもんだろ』

『挨拶…別れの挨拶、みたいな…?』

『いや、むしろヨロシク的な?』

この人何いってるの?
何をヨロシクなの?

もう二度と逢えなくなるからあたしは泣いてるのに

『物足りなかったろ?』
恥ずかしくなるくらい近くで、顎に手を当てられ顔を上げさせられる

もう総悟くんしか見えない

…こんな状況じゃ無かったら、死ぬほど嬉しいシチュエーション

そう、こんな時に総悟くんは何を考えてるの?

『ばっ…馬鹿ァ!こんなことしてる場合じゃッ…ンムッ!』
怒りが入り交じった反論をする唇がまた塞がれた

今度は息をするのも忘れるくらい深く、溶け合うみたいなキスで

こんなキスは初めてで
今自分が置かれてる状況なんて頭からどこかに消えてしまった

目の前いる愛しい人のことで頭が一杯で、他のことなんてもう考えられない

力なくぶら下がっていただけのエリカの腕が総悟の背中に回された

その時だった

『おめでとうございます沖田さーん、ほんと良かったッスね〜』
テレビの電源が入ると同時に響き渡った能天気な男の声

最初の重々しい口調からは想像できないくらいはっちゃけた自愚蔵の声だった

『お前空気読めねーの?いまいいとこだっただろーが』

『あっスイマセン!気が利かなくて』

…何これ
どうゆう状況?
なんでこのふたり親しげに話してるの?
この人あたしたちを危険な目に遭わせていた張本人なのに

『ちょっと…、これ、どうゆう…』
戸惑うエリカなどお構いなしに二人は楽しげに話していた

『いや〜でも今回も見事な演技でしたよ〜、わかってたのにドキドキしましたからね』
『お前もなかなかだったぜ』

…は?…演技?
まさかこれ全部嘘だったの?

『あ、沖田さん廊下の突き当たりの部屋はきれいなんで是非使ってくださいよ』
『マジでか、サンキュー』
『じゃ、僕はこれで。お疲れッした〜』
『お疲れ〜』

もう何が何だか分からないエリカは放心状態で

『さ、エリカ。立ちなせェ、場所変えるぜ』

総悟くんは壊すのに必死になっていた首輪をいとも簡単に外した

『ちょっと…どうゆうことか説明してよ!あたしもう頭が…』
エリカが言葉を言い終わる前に目の前に差し出された手

気になってしょうがない事はたくさんある
それでも目の前の総悟くんが珍しくやさしく微笑むもんだから

その差し出された手に自分の手を伸ばすことしか出来なかった

それは
ごく自然な成り行きで



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