〈我が名は自愚蔵、虚無より生まれし者〉
部屋の真ん中に無造作に置かれたテレビに映されたひとはそう名乗った
風貌だけでなく名前まで怪しいやつ
声から予想するにまだ若い男
『久しぶりだね、沖田くん。そしてはじめまして、エリカさん』
久しぶり?
ということは総悟くんはこの男の子とを知っているの?
苦々しげな彼の様子からするに、友達では無さそうだ
『あの…アナタ誰?一体なんの冗談ですか?』
聞きたいことや言いたいこと文句なんかは止めどなく思い浮かんだけれど、結局口から出てきたのは極めてシンプルなものだった
『我が名は自愚蔵、虚無より生まれし者』
『いや、それはわかったんですけど』
『僕はただの真選組のファンさ、いつも真選組の活躍を楽しみにしているいたって普通の市民なのだよ』
顔は見えないが彼が仮面の下で笑ったのがわかった
フツーの人が監禁なんてするだろうか
テレビに映るいかがわしい男にますます募る不信感と恐怖心
『で、今度は何のお遊びで?』
今度は…というと以前にもこんな目に遭わされていたのだろうか
地愚蔵は静かに喋りだした
『今夜も沖田くんには素晴らしい脱出劇を見せてもらいたい』
『脱出劇?』
『そう、ルールは無い。ただ沖田くんはここから脱出すればいいだけのこと』
『何でィ、拍子抜けでさァ』
どんなオカシイ遊びが言い渡されるかと思いきや言い渡された言葉は単純明快だった
総悟君の隣であたしも小さくため息をついた
ここから脱出するだけなら時間はかかるけどなんとかなりそう
明日になれば連絡が付かないあたしたちを不審に思い誰か助けに来てくれるかもしれない
しかしその安心もすぐに地愚蔵によって打ち砕かれる
『しかし、沖田くんには究極の選択をしてもらう』
嫌な予感を感じ取ったようにエリカと総悟の二人は固唾を飲んだ
『今回は二つ、爆弾を仕掛けさせてもらったよ。場所は真選組の屯所、もうひとつは…』
画面の向こうで地愚蔵はエリカの方を指差した
『…え?嘘、あたし?』
『そう、エリカさんの首輪に小型の爆弾が付いている』
全身に冷水を浴びせられた見たいに寒気がした
そんなエリカに構わず地愚蔵は眈々と話を続けていた
『タイムリミットは夜明け、屯所の爆弾は朝の6時にドカンと爆発する。こちらの爆弾は赤い方のコードを切れば止まる。沖田くんの足で走れば余裕で間に合う距離だ』
『ちょっと待て、エリカの爆弾はどうなんでィ。それに俺の首輪はなんなんでィ』
『人の話は最後まで聞くものだよ、沖田くん。君たち二人の首輪はある一定の距離を保っていれば爆発はしない、しかし沖田くんが彼女から離れると…ドカン。』
不気味なマスクの下で地愚蔵が笑うのが分かった
『生憎、彼女の首輪は壁に鎖で繋がれている。鎖を壊して二人で抜け出し真選組の爆破を止めるには時間が足りない…さぁ、沖田くん。選びたまえ、真選組みんなの命か、彼女の命か』
そして映像はプツリと途絶えた〈我が名は自愚蔵、虚無より生まれし者〉
部屋の真ん中に無造作に置かれたテレビに映されたひとはそう名乗った
風貌だけでなく名前まで怪しいやつ
声から予想するにまだ若い男
『久しぶりだね、沖田くん。そしてはじめまして、エリカさん』
久しぶり?
ということは総悟くんはこの男の子とを知っているの?
苦々しげな彼の様子からするに、友達では無さそうだ
『あの…アナタ誰?一体なんの冗談ですか?』
聞きたいことや言いたいこと文句なんかは止めどなく思い浮かんだけれど、結局口から出てきたのは極めてシンプルなものだった
『我が名は自愚蔵、虚無より生まれし者』
『いや、それはわかったんですけど』
『僕はただの真選組のファンさ、いつも真選組の活躍を楽しみにしているいたって普通の市民なのだよ』
顔は見えないが彼が仮面の下で笑ったのがわかった
フツーの人が監禁なんてするだろうか
テレビに映るいかがわしい男にますます募る不信感と恐怖心
『で、今度は何のお遊びで?』
今度は…というと以前にもこんな目に遭わされていたのだろうか
地愚蔵は静かに喋りだした
『今夜も沖田くんには素晴らしい脱出劇を見せてもらいたい』
『脱出劇?』
『そう、ルールは無い。ただ沖田くんはここから脱出すればいいだけのこと』
『何でィ、拍子抜けでさァ』
どんなオカシイ遊びが言い渡されるかと思いきや言い渡された言葉は単純明快だった
総悟君の隣であたしも小さくため息をついた
ここから脱出するだけなら時間はかかるけどなんとかなりそう
明日になれば連絡が付かないあたしたちを不審に思い誰か助けに来てくれるかもしれない
しかしその安心もすぐに地愚蔵によって打ち砕かれる
『しかし、沖田くんには究極の選択をしてもらう』
嫌な予感を感じ取ったようにエリカと総悟の二人は固唾を飲んだ
『今回は二つ、爆弾を仕掛けさせてもらったよ。場所は真選組の屯所、もうひとつは…』
画面の向こうで地愚蔵はエリカの方を指差した
『…え?嘘、あたし?』
『そう、エリカさんの首輪に小型の爆弾が付いている』
全身に冷水を浴びせられた見たいに寒気がした
そんなエリカに構わず地愚蔵は眈々と話を続けていた
『タイムリミットは夜明け、屯所の爆弾は朝の6時にドカンと爆発する。こちらの爆弾は赤い方のコードを切れば止まる。沖田くんの足で走れば余裕で間に合う距離だ』
『ちょっと待て、エリカの爆弾はどうなんでィ。それに俺の首輪はなんなんでィ』
『人の話は最後まで聞くものだよ、沖田くん。君たち二人の首輪はある一定の距離を保っていれば爆発はしない、しかし沖田くんが彼女から離れると…ドカン。』
不気味なマスクの下で地愚蔵が笑うのが分かった
『生憎、彼女の首輪は壁に鎖で繋がれている。鎖を壊して二人で抜け出し真選組の爆破を止めるには時間が足りない…さぁ、沖田くん。選びたまえ、真選組みんなの命か、彼女の命か』
そして映像はプツリと途絶えた
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