囚 01

頭が痛い

目を覚ましたエリカが真っ先に思ったこと
起き上がる気にもなれず寝返りを打って天井を見上げた

灯りがない真っ暗な部屋
窓から差し込む月明かりだけが頼りだ

見たこともないコンクリート打ちっぱなしの崩れかけた天井
薄汚れた壁、冷たい床

ここは自分の部屋ではない
そして思い出した
自分が昨晩どんな目に遭ったかを

なんであたしがあんな目に遭わなきゃならなかったのだろう

エリカは鉛でも入っているかのような重たい頭を持ち上げて辺りを見回した

すると…

『お目覚めかィ』

死角だった背後から聞こえてきて声にビクッと肩を揺らした

でもその声は聞きなれた声で勢いよく振り返った

『総悟くん!』
壁にもたれ掛かるように座っている彼の姿に安心感を覚えた

それと同時に首に感じた違和感
おそるおそる触れてみたら首輪のような物が巻かれていた

こんなもの、あたしは知らない
これは一体何なんだろう

疑問ばかりで答えが見つからない
頭はパンク寸前だ

『これ、…なに?まさか総悟くんの趣味じゃないよね』

日頃からイタズラの常習犯の彼の仕業かと視線をやれば…彼の首にも首輪らしきものが巻かれていた…やだ
なんの冗談?

ちいさな不安は恐怖に姿を変えていく

『あの…、これ…』
自分の口から出た声は驚くほどに震えていた

そんなエリカを見据えたまま、総悟は口を開いた

その口から出てきた言葉はエリカにますます恐怖をあたえた

『どうやら俺たち、監禁されてるみてぇでさァ』

嘘みたいな話
映画やドラマみたいな現実離れした話だ

いつもの冗談でしょ?
そんな考えはすぐに消え失せた

総悟くんの目が真剣そのものだったから


…うそ
どうして自分が?
どうして総悟くんが?

放心しかけたエリカの横で信じられないくらい冷静に総悟は状況を話し始めた

『エリカが眠ってる間に部屋は隅々調べやした』

この部屋にドアは一つ

そして小さな窓がいくつかあった
人が通り抜けれるような大きさではない上に鉄格子がはめられている

『脱出経路はあの扉しか無いようだが…』
総悟くんはあたしの首に巻かれた首輪に目をやった
それには鎖が延びていて、壁とあたしを繋いでいた

そして部屋の角に置かれた古びたテレビとロッカー
それ以外はなにもない殺風景な部屋だった

小さな窓から覗く景色は見慣れた街ではない、木が鬱蒼と繁った林
ここが人里を離れていることを物語っていた

そんな灯りもない辺りを空に浮かぶ綺麗な月が照らしていた

灯りがないこの部屋も窓から差し込む月明かりで暗くは無かった


怖い、という感情はもちろんあった

けれど『あ、ポケットにチョコマシュマロあった。食うかい』

この状況下でも総悟くんは相変わらずいつもの調子で、少しだけ安心した


ふたりマシュマロを口に放り込みもそもそと食べ始めた
それ以外の音はないしんと静まり返った部屋

そんな中、部屋の真ん中に無造作に置かれたテレビがブツンと不穏な音をたてた

おそるおそる画面を覗き込むと人が一人映り込んでいた

服装はいたって普通に見えたが顔全体を包帯でぐるぐる巻きにした不気味な姿の上に能面を被った異様な姿をしていた


その男と思われる人はさも楽しそうに第一声を発した

〈やあ、諸君、ご機嫌いかがかな〉頭が痛い

目を覚ましたエリカが真っ先に思ったこと
起き上がる気にもなれず寝返りを打って天井を見上げた

灯りがない真っ暗な部屋
窓から差し込む月明かりだけが頼りだ

見たこともないコンクリート打ちっぱなしの崩れかけた天井
薄汚れた壁、冷たい床

ここは自分の部屋ではない
そして思い出した
自分が昨晩どんな目に遭ったかを

なんであたしがあんな目に遭わなきゃならなかったのだろう

エリカは鉛でも入っているかのような重たい頭を持ち上げて辺りを見回した

すると…

『お目覚めかィ』

死角だった背後から聞こえてきて声にビクッと肩を揺らした

でもその声は聞きなれた声で勢いよく振り返った

『総悟くん!』
壁にもたれ掛かるように座っている彼の姿に安心感を覚えた

それと同時に首に感じた違和感
おそるおそる触れてみたら首輪のような物が巻かれていた

こんなもの、あたしは知らない
これは一体何なんだろう

疑問ばかりで答えが見つからない
頭はパンク寸前だ

『これ、…なに?まさか総悟くんの趣味じゃないよね』

日頃からイタズラの常習犯の彼の仕業かと視線をやれば…彼の首にも首輪らしきものが巻かれていた…やだ
なんの冗談?

ちいさな不安は恐怖に姿を変えていく

『あの…、これ…』
自分の口から出た声は驚くほどに震えていた

そんなエリカを見据えたまま、総悟は口を開いた

その口から出てきた言葉はエリカにますます恐怖をあたえた

『どうやら俺たち、監禁されてるみてぇでさァ』

嘘みたいな話
映画やドラマみたいな現実離れした話だ

いつもの冗談でしょ?
そんな考えはすぐに消え失せた

総悟くんの目が真剣そのものだったから


…うそ
どうして自分が?
どうして総悟くんが?

放心しかけたエリカの横で信じられないくらい冷静に総悟は状況を話し始めた

『エリカが眠ってる間に部屋は隅々調べやした』

この部屋にドアは一つ

そして小さな窓がいくつかあった
人が通り抜けれるような大きさではない上に鉄格子がはめられている

『脱出経路はあの扉しか無いようだが…』
総悟くんはあたしの首に巻かれた首輪に目をやった
それには鎖が延びていて、壁とあたしを繋いでいた

そして部屋の角に置かれた古びたテレビとロッカー
それ以外はなにもない殺風景な部屋だった

小さな窓から覗く景色は見慣れた街ではない、木が鬱蒼と繁った林
ここが人里を離れていることを物語っていた

そんな灯りもない辺りを空に浮かぶ綺麗な月が照らしていた

灯りがないこの部屋も窓から差し込む月明かりで暗くは無かった


怖い、という感情はもちろんあった

けれど『あ、ポケットにチョコマシュマロあった。食うかい』

この状況下でも総悟くんは相変わらずいつもの調子で、少しだけ安心した


ふたりマシュマロを口に放り込みもそもそと食べ始めた
それ以外の音はないしんと静まり返った部屋

そんな中、部屋の真ん中に無造作に置かれたテレビがブツンと不穏な音をたてた

おそるおそる画面を覗き込むと人が一人映り込んでいた

服装はいたって普通に見えたが顔全体を包帯でぐるぐる巻きにした不気味な姿の上に能面を被った異様な姿をしていた


その男と思われる人はさも楽しそうに第一声を発した

〈やあ、諸君、ご機嫌いかがかな〉


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