確かに

『隊長ォォォッ!沖田隊長ォォォッ!』

真選組一番隊隊長の自室に慌ただしく駆け込んできた男

『何でィザキヤマァ、しょうもない用だったらブッ飛ばす』

まさに今、寝ようかと布団をめくりあげていたところ
邪魔をされ総悟は眉間にシワを寄せた

『しょーもなくありませんよ!一大事です!いや、一大事どころかむしろ事件です!どうしましょう隊長ォ』

何をそんなに興奮しているのか、一向にその理由を話そうとしない山崎にイライラしはじめ

『だから何だよ早く言いやがれコノヤロー』
胸ぐらを掴み愛刀の切っ先を突きつけた

『ひぃぃぃッ!話します話します、だから刀納めてくださいよ〜ッ!』

舌打ちしながら刀を鞘に戻しもう一度聞いた
『で、何が一大事だって?』

息を整え山崎は答えた
『な、なんと、エリカさんが交際を申し込まれたんです!』
『………』

『なんとなんと、相手は大企業の御曹司!相当なお金持ちみたいですよ』
『………』

『あれ、驚かないんですか?』
『…別に』

『…いいんですか!そんなどこの馬の骨とも知れない輩にエリカさんを盗られても』
『盗られるって…別に俺のじゃねーし。それにこれはエリカが決めることだろーが、俺らがどうこう言う問題じゃねぇでさァ』

総悟の話を聞いていた山崎はポカンと口を開けたまま彼の顔を見つめていた

『なんだよ、なんか文句あんのかよ』
ジロリと睨みを効かせた視線を送る

『いえ、とんでもない!むしろ感心したというか…。沖田さん意外とクールだから驚きました』

意外とは失礼な
俺が惚れた腫れただのそんなくだらない話で取り乱すもんか

『用が済んだなら出てけよ、俺ァもう寝るんでィ』
『あ、そうでしたね!お邪魔してスイマセンでした!』

来たときとは相反して静かに戻っていった山崎
閉められた襖を見つめ舌打ちをひとつ

『…何でィ、しょーもないことで時間とらせやがって。貴重な睡眠時間を…』
ブツブツと呟きながら布団に潜り込んだ総悟

いつもなら布団に入って直ぐに眠れる男が夜が更けても寝返りを繰り返していたことは誰も知ることのない話


一方、スナックお登勢では…

『ちょっと勿体無かったんじゃないかい?』
閉店後、カウンターを拭いているエリカの横でお登勢さんがタバコをふかしながら問いかけた

『あの男、相当な金持ちだよ?捕まえとけば玉の輿だったのにさ』


‐俺の彼女にならない?‐

飲み屋の女を本気で口説こうとする人なんて近藤さん位だと思っていたエリカは軽く流してみた

『またまたご冗談を、そゆこといろんな所でこといってるんでしょ?あたしはだまされませんよ〜』

笑い飛ばしてみたのに相手はまっすぐ見つめ返してきて…
『いや、エリカちゃんが初めてだよ。本気で口説いたのは』

目が真剣だった

『どうかな?』

答えを促されたエリカの口から飛び出してきた答えは…

『ごめんなさい!』

しかも相当な大きな声で
店中のお客さん、店の者も含め注目の的だった


『あんな大勢の前でフラれちゃもう来ないだろうねぇ』
『イイ金ヅルダッタノニヨ』

『…あ』
自分のせいでお客さんがひとり減ってしまったことに気づきエリカは深々と頭を下げた

『なに、気にすることはないよ。客なんてまた捕まえりゃいいだけの話さ』
『デモ勿体無イデスヨ、変ワリニ私ガ結婚シテヤッタノニ』
『仕方ないさ、エリカはアンタみたいに金に目が眩むような軽い女じゃないんだよ。まぁ、なにやら好きな男がいるみたいだし?』

お見通し、ですか
お登勢さんには敵わないなぁ

『…片思い、ですけどね』


おかしな話
あのお客さんに好きだとか言われて、総悟くんの事がますます恋しくなったりした

今の関係も悪くないと思ってた
いっしょに過ごせる時間はわりとたくさんあったりして、それが凄く楽しくて
これが壊れてしまうのが怖くて一歩を踏み出せずにいた自分

でももっと近づきたい
もっともっと傍にいたい

そんな想いが大きくなってしまったのに気づいてしまった

かすかに、
でも確かに
『隊長ォォォッ!沖田隊長ォォォッ!』

真選組一番隊隊長の自室に慌ただしく駆け込んできた男

『何でィザキヤマァ、しょうもない用だったらブッ飛ばす』

まさに今、寝ようかと布団をめくりあげていたところ
邪魔をされ総悟は眉間にシワを寄せた

『しょーもなくありませんよ!一大事です!いや、一大事どころかむしろ事件です!どうしましょう隊長ォ』

何をそんなに興奮しているのか、一向にその理由を話そうとしない山崎にイライラしはじめ

『だから何だよ早く言いやがれコノヤロー』
胸ぐらを掴み愛刀の切っ先を突きつけた

『ひぃぃぃッ!話します話します、だから刀納めてくださいよ〜ッ!』

舌打ちしながら刀を鞘に戻しもう一度聞いた
『で、何が一大事だって?』

息を整え山崎は答えた
『な、なんと、エリカさんが交際を申し込まれたんです!』
『………』

『なんとなんと、相手は大企業の御曹司!相当なお金持ちみたいですよ』
『………』

『あれ、驚かないんですか?』
『…別に』

『…いいんですか!そんなどこの馬の骨とも知れない輩にエリカさんを盗られても』
『盗られるって…別に俺のじゃねーし。それにこれはエリカが決めることだろーが、俺らがどうこう言う問題じゃねぇでさァ』

総悟の話を聞いていた山崎はポカンと口を開けたまま彼の顔を見つめていた

『なんだよ、なんか文句あんのかよ』
ジロリと睨みを効かせた視線を送る

『いえ、とんでもない!むしろ感心したというか…。沖田さん意外とクールだから驚きました』

意外とは失礼な
俺が惚れた腫れただのそんなくだらない話で取り乱すもんか

『用が済んだなら出てけよ、俺ァもう寝るんでィ』
『あ、そうでしたね!お邪魔してスイマセンでした!』

来たときとは相反して静かに戻っていった山崎
閉められた襖を見つめ舌打ちをひとつ

『…何でィ、しょーもないことで時間とらせやがって。貴重な睡眠時間を…』
ブツブツと呟きながら布団に潜り込んだ総悟

いつもなら布団に入って直ぐに眠れる男が夜が更けても寝返りを繰り返していたことは誰も知ることのない話


一方、スナックお登勢では…

『ちょっと勿体無かったんじゃないかい?』
閉店後、カウンターを拭いているエリカの横でお登勢さんがタバコをふかしながら問いかけた

『あの男、相当な金持ちだよ?捕まえとけば玉の輿だったのにさ』


‐俺の彼女にならない?‐

飲み屋の女を本気で口説こうとする人なんて近藤さん位だと思っていたエリカは軽く流してみた

『またまたご冗談を、そゆこといろんな所でこといってるんでしょ?あたしはだまされませんよ〜』

笑い飛ばしてみたのに相手はまっすぐ見つめ返してきて…
『いや、エリカちゃんが初めてだよ。本気で口説いたのは』

目が真剣だった

『どうかな?』

答えを促されたエリカの口から飛び出してきた答えは…

『ごめんなさい!』

しかも相当な大きな声で
店中のお客さん、店の者も含め注目の的だった


『あんな大勢の前でフラれちゃもう来ないだろうねぇ』
『イイ金ヅルダッタノニヨ』

『…あ』
自分のせいでお客さんがひとり減ってしまったことに気づきエリカは深々と頭を下げた

『なに、気にすることはないよ。客なんてまた捕まえりゃいいだけの話さ』
『デモ勿体無イデスヨ、変ワリニ私ガ結婚シテヤッタノニ』
『仕方ないさ、エリカはアンタみたいに金に目が眩むような軽い女じゃないんだよ。まぁ、なにやら好きな男がいるみたいだし?』

お見通し、ですか
お登勢さんには敵わないなぁ

『…片思い、ですけどね』


おかしな話
あのお客さんに好きだとか言われて、総悟くんの事がますます恋しくなったりした

今の関係も悪くないと思ってた
いっしょに過ごせる時間はわりとたくさんあったりして、それが凄く楽しくて
これが壊れてしまうのが怖くて一歩を踏み出せずにいた自分

でももっと近づきたい
もっともっと傍にいたい

そんな想いが大きくなってしまったのに気づいてしまった

かすかに、
でも確かに



back

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -