微熱

『エリカちゃん』

スーパーで買い物をしていたらこの場所に似つかわしくない二人に遭遇した

『ゴ…ッ、近藤さん、土方さん』

『ちょっとォォォッ!今のゴって何!?ゴリラって言おうとしたんじゃ無いよねェェッ!?』

今にも泣きそうな近藤さんが居ると言うのに土方さんはあたしの買い物かごを覗き込んで
『店の買い出しか?』
なんて聞いてくる

『いえ、今日は休みなんです』
かごの中身は晩御飯の材料やらなんやら

『そうゆうお二人は何でこんなとこに?』

『総悟に頼まれてなぁ、ゼリーを買いに来たんだよ、フルーツ入ってるやつ』

『え?罰ゲームかなんかですか?近藤さん自らパシりなんて』

局長サンまでアゴで使っちゃえる子なんですか!?

『ハッハッハ!違う違う、今総悟は風邪で寝込んでいてな、食欲は無いがゼリーなら食えると言うから』

『パシりと大した変わらねーよ、近藤さんアイツに甘すぎなんだよ』

『総悟くんが、風邪…』
今朝メールが来たときはそんなこと言ってなかったのに

『食欲無くなるくらいひどいんですか?』

『熱がちょっと高いくらいでな』
『めったに風邪引くことねぇから甘えてるだけだ、大したことはねぇよ』

そうは言うけど
…心配です

俯き考え込むあたしの前でふたりが顔を見合わせたのをあたしは知らない

『…エリカちゃん、ひとつ頼まれてくれないか?』

ニッコリ笑顔の近藤さんが差し出したスーパーの袋にはゼリーがたくさん入っている

『これ、総悟に届けてやってくれないか?』

『…はいッ!』



昼間の真選組屯所はみんな出払っていて閑散としている

『あれ、エリカさん!なんでこんなとこに』
案内された部屋の前にいたのは山崎さん

そしてふすまの向こうから
『エリカ?』
少し掠れた総悟くんの声がした

『近藤さんから総悟くんのゼリー、預かってきたの』
そっとふすまを開けると部屋の真ん中の布団に寝間着姿の総悟くん

回りには今まで読んでいたらしい雑誌や漫画が散らばっている
熱が高いのか少し顔が赤い気はしたけど起き上がる元気はあるようで安心した

『暇してたみたいだね、いつもみたいに思う存分眠ってるかと思ったのに』

いつも額にあるアイマスクが今日は熱冷ましの冷や冷やシートだ

『…寝てろと言われると眠くならないんでィ』

そういいながらごろりと横になった

『エリカさん、しばらく隊長のこと見ててもらえますか?俺、ひるご飯まだなんです』
山崎さんのお腹の音が聞こえた

『任せてください、ごゆっくりどーぞ』

山崎さんが居なくなり二人だけになりとっても静か

…二人きり
その状況に急に恥ずかしさがわき起こり誤魔化すように会話を切り出した

『近藤さんに寝込んでるって聞いたからもっと重症かと思ったよ』

『近藤さんは大げさなんでさァ、俺は動けるってのに寝てないと駄目だって怒り出すから…』
その様子がまるで見ていたかのように目に浮かぶから不思議

『いいじゃない、風邪ひいたときって堂々と甘やかしてもらえるものだよ』

『まぁ確かにガキの頃はそうだった気もするけど。…そうだ、ゼリー!』

ガバッと起き上がり袋を漁る総悟くん
忘れていたけどゼリーを届けに来たんだった、あたしは

総悟くんはごろっとまるごと桃ゼリーを美味しそうに食べ始めた
食べる元気があるということは回復の兆し
その姿にほっとする

『なんかしてほしいこと無い?本日限定、あたしにできることなら何でもしてあげるよ』

総悟くんのゼリーを食べる手が止まる
『…何でも?』

『うん、何でも。…って、あたしにできること限定だよ?無理難題は無しでお願いします』

少し考え込む様子を見せた後、総悟くんは言った

『膝枕』

膝枕ってそんなにいいものなんですか

前にも総悟くんに膝枕してあげた事があったっけ

あたしだったら…緊張して寝れないと思うんだけど

それに…
いいのかな、山崎さんが用意してくれたと思われる氷枕はそっちのけ

『いいんでィ、もう熱は大したねぇから』
言うや否や寝息を立てる総悟くん

…助かった!
お陰で真っ赤な顔を見られずに済んだから

あたしの膝で眠る彼の規則正しい寝息をたてる彼と相反して

あたしは

まともに息ができません





『エリカさ〜ん、お茶お持ちしました!あ、紅茶の方がよかったかな?でもお茶うけがお饅頭だったから…』

ふすまを開けて驚いた
いや、驚いたっていうか…

『えっ!あの、コレはッ…!』

顔を真っ赤にしたエリカさんの膝で眠る隊長

『お…、お邪魔しましたァァァッ!』


てか、ラブラブじゃねぇか!
付き合ってないってマジかよォォォッ!

チクショーッ!お茶も饅頭も俺が食ってやるよコノヤローッ!!
thanks!Aコース
『エリカちゃん』

スーパーで買い物をしていたらこの場所に似つかわしくない二人に遭遇した

『ゴ…ッ、近藤さん、土方さん』

『ちょっとォォォッ!今のゴって何!?ゴリラって言おうとしたんじゃ無いよねェェッ!?』

今にも泣きそうな近藤さんが居ると言うのに土方さんはあたしの買い物かごを覗き込んで
『店の買い出しか?』
なんて聞いてくる

『いえ、今日は休みなんです』
かごの中身は晩御飯の材料やらなんやら

『そうゆうお二人は何でこんなとこに?』

『総悟に頼まれてなぁ、ゼリーを買いに来たんだよ、フルーツ入ってるやつ』

『え?罰ゲームかなんかですか?近藤さん自らパシりなんて』

局長サンまでアゴで使っちゃえる子なんですか!?

『ハッハッハ!違う違う、今総悟は風邪で寝込んでいてな、食欲は無いがゼリーなら食えると言うから』

『パシりと大した変わらねーよ、近藤さんアイツに甘すぎなんだよ』

『総悟くんが、風邪…』
今朝メールが来たときはそんなこと言ってなかったのに

『食欲無くなるくらいひどいんですか?』

『熱がちょっと高いくらいでな』
『めったに風邪引くことねぇから甘えてるだけだ、大したことはねぇよ』

そうは言うけど
…心配です

俯き考え込むあたしの前でふたりが顔を見合わせたのをあたしは知らない

『…エリカちゃん、ひとつ頼まれてくれないか?』

ニッコリ笑顔の近藤さんが差し出したスーパーの袋にはゼリーがたくさん入っている

『これ、総悟に届けてやってくれないか?』

『…はいッ!』



昼間の真選組屯所はみんな出払っていて閑散としている

『あれ、エリカさん!なんでこんなとこに』
案内された部屋の前にいたのは山崎さん

そしてふすまの向こうから
『エリカ?』
少し掠れた総悟くんの声がした

『近藤さんから総悟くんのゼリー、預かってきたの』
そっとふすまを開けると部屋の真ん中の布団に寝間着姿の総悟くん

回りには今まで読んでいたらしい雑誌や漫画が散らばっている
熱が高いのか少し顔が赤い気はしたけど起き上がる元気はあるようで安心した

『暇してたみたいだね、いつもみたいに思う存分眠ってるかと思ったのに』

いつも額にあるアイマスクが今日は熱冷ましの冷や冷やシートだ

『…寝てろと言われると眠くならないんでィ』

そういいながらごろりと横になった

『エリカさん、しばらく隊長のこと見ててもらえますか?俺、ひるご飯まだなんです』
山崎さんのお腹の音が聞こえた

『任せてください、ごゆっくりどーぞ』

山崎さんが居なくなり二人だけになりとっても静か

…二人きり
その状況に急に恥ずかしさがわき起こり誤魔化すように会話を切り出した

『近藤さんに寝込んでるって聞いたからもっと重症かと思ったよ』

『近藤さんは大げさなんでさァ、俺は動けるってのに寝てないと駄目だって怒り出すから…』
その様子がまるで見ていたかのように目に浮かぶから不思議

『いいじゃない、風邪ひいたときって堂々と甘やかしてもらえるものだよ』

『まぁ確かにガキの頃はそうだった気もするけど。…そうだ、ゼリー!』

ガバッと起き上がり袋を漁る総悟くん
忘れていたけどゼリーを届けに来たんだった、あたしは

総悟くんはごろっとまるごと桃ゼリーを美味しそうに食べ始めた
食べる元気があるということは回復の兆し
その姿にほっとする

『なんかしてほしいこと無い?本日限定、あたしにできることなら何でもしてあげるよ』

総悟くんのゼリーを食べる手が止まる
『…何でも?』

『うん、何でも。…って、あたしにできること限定だよ?無理難題は無しでお願いします』

少し考え込む様子を見せた後、総悟くんは言った

『膝枕』

膝枕ってそんなにいいものなんですか

前にも総悟くんに膝枕してあげた事があったっけ

あたしだったら…緊張して寝れないと思うんだけど

それに…
いいのかな、山崎さんが用意してくれたと思われる氷枕はそっちのけ

『いいんでィ、もう熱は大したねぇから』
言うや否や寝息を立てる総悟くん

…助かった!
お陰で真っ赤な顔を見られずに済んだから

あたしの膝で眠る彼の規則正しい寝息をたてる彼と相反して

あたしは

まともに息ができません





『エリカさ〜ん、お茶お持ちしました!あ、紅茶の方がよかったかな?でもお茶うけがお饅頭だったから…』

ふすまを開けて驚いた
いや、驚いたっていうか…

『えっ!あの、コレはッ…!』

顔を真っ赤にしたエリカさんの膝で眠る隊長

『お…、お邪魔しましたァァァッ!』


てか、ラブラブじゃねぇか!
付き合ってないってマジかよォォォッ!

チクショーッ!お茶も饅頭も俺が食ってやるよコノヤローッ!!



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