君オンリー

『俺ァ、エリカの事だからてっきり手作りかとおもってやしたぜ』

渡された綺麗な包装の小箱を見つめてその男は言った


今日はバレンタインデー

あたしだって…
ちょっとは本気だして手作りチョコと決め込んだのよ

でも今総悟くんに渡したチョコレートはデパートで売ってたやつ

なぜかと言うと…

悲しいくらいに不運な話


昨日の夜に腕によりをかけて作ったチョコレートケーキ、慣れないけれどどうにか自分の手で可愛くラッピングして、いざ総悟くんの元へ!

真選組の屯所へ向かって歩いていたらちょうど万事屋が見えてきたところで

空がキラリと光った
そしてあっという間もなく隕石みたいな物が目の前に墜落した

『えぇぇぇぇッ!?』
って驚いていたらその直後、巨大な人形の何かが降りてきた
見た目は地球の平和を守るヒーロー、〇ルトラマン的な容姿で…

『マンはやめて頂きたい、これでも一応女なんで。宇宙の平和を守るスペースウーマンというのをやらせてもらっている』

ほんとにヒーローだった
あ、女の人なんだからヒロインか

聞けば墜落した隕石みたいなものはチョコレートでウーマンさんも思い人に渡しに行くところだと言う

『で、ウーマンさんの好きな人って?』
純粋に気になった
宇宙の平和を守るヒロインが思いを寄せる相手

『それは…』
頬を染めるウーマンさん

恋ばなが盛り上がろうとしていたそのときだった

きゃああああッ!
かぶき町に悲鳴が響き渡った

通りの向こうからやって来るウーマンさんと同じくらい大きくて奇妙な怪人

ひぇぇぇぇッ!!
頭がさくらんぼなんですけどォォォッ!!

『ウーマンさん!やっつけて!かぶき町がめちゃめちゃになっちゃいます!』

『チェリー、大佐…』
そう呟いたウーマンさんは頬を赤らめモジモジし始めた

ちょっと、コレ、まさか…

『チェリー大佐、ずっとずっと好きでした、コレ、受け取って!』

ちょっとォォォッ!
アンタの好きな人ってバリバリ敵じゃないですかァァァッ!

グシャ…

『…ん?』
足元に変な感触、嫌な音

ああああああッ!

あたしの足の下には無惨な姿になった総悟くんにあげるはずだったチョコレートケーキ

度重なる驚く事態でいつの間にか落としてしまっていたソレを慣れない苛烈なツッコミで勇んだその足で踏みつけていた

うそでしょ〜

一方、ウーマンさんの方は

『こんなことされても困る、…なんか重い』

見事、玉砕

ウーマンさんの手から発せられたスペシウム光線でチェリー大佐も玉砕した


そんなこんなで冒頭に至る


『……要らないなら、返して。あたし食べるから』

『何拗ねてんでィ、そんな顔してたら苛めたくなんだろーが』

『………拗ねて、ない』
こんなはずじゃなかった

バックの中に隠したつぶれたチョコレートケーキを思うと泣きたくなった

『…じゃあコイツは返しまさァ』
渡したチョコは突き返された

返してと自分で言っておきながらホントに返されたらそれはそれでショックだった

最悪だ
バレンタインデーなんて嫌いになりそう

『…帰る』
このままだと泣いてしまいそうで勢いよく回れ右をした

『待ちなせェ』
言葉と同時に掴まれた腕

それでも振り返ることができずにあたしはうつ向いたまま、次の言葉を待った

怒ったよね、きっと
あたしの態度は最悪だ
八つ当たり以外の何物でもない

覚悟しておかないと…あたし、多分泣いちゃうから

『あんだろ、ほんとは』

『………へ?』
思わず振り返ったあたしが見たのはいつもの意地悪な腹黒スマイルではない

まぶしいくらいに優しげなアルカイックスマイル

『隠しても無駄でィ、バックに入ってんだろ?』

何でもお見通しなんだね

『失敗しててもかまわないぜ』
ずいっと手を伸べられてあたしは観念してバックから残念な包みを出した

『失敗じゃないの、いろいろあって…踏んづけた』

一生懸命包装したそれは、今はくしゃくしゃで泥も付いている
『こんなんなっちゃったけど…いいの?』

それでもお構い無しに総悟くんはあたしの手から奪い取った

『ほんと言うとチョコなんてどうでもいいんでさァ。大した好きって訳でもねぇし、何食ったっておんなじだし…』

『………』
それって、遠回しにいらないってこと?
一生懸命作ったのに…

『けど、こいつは特別。エリカのだから食ってやるんだぜ、ありがたく思いなせェ』

『…ありがとう』
何故かあたしがお礼をいう始末

それでもほんとに『ありがとう』だった


総悟くんはなんやかんやであたしが欲しい言葉を言ってくれる

いつでもあたしを喜ばす

魔法のことば




つき返されたチョコレートの方は帰りに会った山崎さんにあげた

『山崎ィ、何でィそいつは』

『これですか?さっきエリカさんに貰っちゃいました、義理でも嬉しいもんですね…って、あああああああッ!』


そのチョコレートも結局、総悟くんが食べたみたい『俺ァ、エリカの事だからてっきり手作りかとおもってやしたぜ』

渡された綺麗な包装の小箱を見つめてその男は言った


今日はバレンタインデー

あたしだって…
ちょっとは本気だして手作りチョコと決め込んだのよ

でも今総悟くんに渡したチョコレートはデパートで売ってたやつ

なぜかと言うと…

悲しいくらいに不運な話


昨日の夜に腕によりをかけて作ったチョコレートケーキ、慣れないけれどどうにか自分の手で可愛くラッピングして、いざ総悟くんの元へ!

真選組の屯所へ向かって歩いていたらちょうど万事屋が見えてきたところで

空がキラリと光った
そしてあっという間もなく隕石みたいな物が目の前に墜落した

『えぇぇぇぇッ!?』
って驚いていたらその直後、巨大な人形の何かが降りてきた
見た目は地球の平和を守るヒーロー、〇ルトラマン的な容姿で…

『マンはやめて頂きたい、これでも一応女なんで。宇宙の平和を守るスペースウーマンというのをやらせてもらっている』

ほんとにヒーローだった
あ、女の人なんだからヒロインか

聞けば墜落した隕石みたいなものはチョコレートでウーマンさんも思い人に渡しに行くところだと言う

『で、ウーマンさんの好きな人って?』
純粋に気になった
宇宙の平和を守るヒロインが思いを寄せる相手

『それは…』
頬を染めるウーマンさん

恋ばなが盛り上がろうとしていたそのときだった

きゃああああッ!
かぶき町に悲鳴が響き渡った

通りの向こうからやって来るウーマンさんと同じくらい大きくて奇妙な怪人

ひぇぇぇぇッ!!
頭がさくらんぼなんですけどォォォッ!!

『ウーマンさん!やっつけて!かぶき町がめちゃめちゃになっちゃいます!』

『チェリー、大佐…』
そう呟いたウーマンさんは頬を赤らめモジモジし始めた

ちょっと、コレ、まさか…

『チェリー大佐、ずっとずっと好きでした、コレ、受け取って!』

ちょっとォォォッ!
アンタの好きな人ってバリバリ敵じゃないですかァァァッ!

グシャ…

『…ん?』
足元に変な感触、嫌な音

ああああああッ!

あたしの足の下には無惨な姿になった総悟くんにあげるはずだったチョコレートケーキ

度重なる驚く事態でいつの間にか落としてしまっていたソレを慣れない苛烈なツッコミで勇んだその足で踏みつけていた

うそでしょ〜

一方、ウーマンさんの方は

『こんなことされても困る、…なんか重い』

見事、玉砕

ウーマンさんの手から発せられたスペシウム光線でチェリー大佐も玉砕した


そんなこんなで冒頭に至る


『……要らないなら、返して。あたし食べるから』

『何拗ねてんでィ、そんな顔してたら苛めたくなんだろーが』

『………拗ねて、ない』
こんなはずじゃなかった

バックの中に隠したつぶれたチョコレートケーキを思うと泣きたくなった

『…じゃあコイツは返しまさァ』
渡したチョコは突き返された

返してと自分で言っておきながらホントに返されたらそれはそれでショックだった

最悪だ
バレンタインデーなんて嫌いになりそう

『…帰る』
このままだと泣いてしまいそうで勢いよく回れ右をした

『待ちなせェ』
言葉と同時に掴まれた腕

それでも振り返ることができずにあたしはうつ向いたまま、次の言葉を待った

怒ったよね、きっと
あたしの態度は最悪だ
八つ当たり以外の何物でもない

覚悟しておかないと…あたし、多分泣いちゃうから

『あんだろ、ほんとは』

『………へ?』
思わず振り返ったあたしが見たのはいつもの意地悪な腹黒スマイルではない

まぶしいくらいに優しげなアルカイックスマイル

『隠しても無駄でィ、バックに入ってんだろ?』

何でもお見通しなんだね

『失敗しててもかまわないぜ』
ずいっと手を伸べられてあたしは観念してバックから残念な包みを出した

『失敗じゃないの、いろいろあって…踏んづけた』

一生懸命包装したそれは、今はくしゃくしゃで泥も付いている
『こんなんなっちゃったけど…いいの?』

それでもお構い無しに総悟くんはあたしの手から奪い取った

『ほんと言うとチョコなんてどうでもいいんでさァ。大した好きって訳でもねぇし、何食ったっておんなじだし…』

『………』
それって、遠回しにいらないってこと?
一生懸命作ったのに…

『けど、こいつは特別。エリカのだから食ってやるんだぜ、ありがたく思いなせェ』

『…ありがとう』
何故かあたしがお礼をいう始末

それでもほんとに『ありがとう』だった


総悟くんはなんやかんやであたしが欲しい言葉を言ってくれる

いつでもあたしを喜ばす

魔法のことば




つき返されたチョコレートの方は帰りに会った山崎さんにあげた

『山崎ィ、何でィそいつは』

『これですか?さっきエリカさんに貰っちゃいました、義理でも嬉しいもんですね…って、あああああああッ!』


そのチョコレートも結局、総悟くんが食べたみたい


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