哀しみは幾重に

透き通るような青い空

風は冷たく肌を突き刺さすように

吐き出す息は白く


そんな中
しめやかにミツバさんの葬儀は真選組の屯所で行われた

霊柩車を見送るのはこれで二回目

この時の物悲しさは二度目でも慣れるものではなくそれは苦しいものだった

けれど
その時泣かなかったのは自分でも不思議なほどだった



『みーつけた』

あたしの声に振り返る蘇芳色の瞳

その瞳があたしを捉え、そしてすぐに今まで見ていた場所に戻される

ミツバさんの墓前
そこに佇む総悟くん

『…なんか用かィ』

心配になって来てみた
なんて言えるわけもなく

目の前で目を伏せる総悟くんの心中を察しながらも敢えて明るい声で言った

『いっぱい、泣いた?』

『………』
答えはない

『あたしはめ一杯泣いて、涙出し尽くしたって感じかな』

聞いてるとわからなかったけどあたしは続けた

『あたしもね、ずいぶん前だけど家族を亡くしたんだ。その時はひとりぼっちになってどうしようもなく寂しくて哀しくてしょうがなかったはずなのに強くならなくちゃいけない、泣いてたりしちゃいけないって必死で我慢してたんだ』

幼かったあたしの精一杯の強がり

『そんな時ね、おばあちゃんが言ったことが…』


泣きなさい

我慢しないで思いっきり泣きなさい

そして涙が枯れるまで泣いた後は

笑って見送ってやりな


あたしはおばあちゃんの胸で思いっきり泣いた
声をあげて泣いた

『命を終えた魂は星になって見守ってくれているんだって』

おばあちゃんはいつもそう言っていた

『思いっきり泣いた後は笑顔、見せてあげようよ。だから、総悟くんも泣いて。あたしの胸貸してあげるから』

気がついたら総悟くんはあたしを見つめていた

『…まだ、全然枯れてねぇじゃねェかよ』

『え?』

総悟くんがあたしの頬を拭う

あ、あたし
泣いてたんだ…

気付いた次の瞬間には
あたしはすっぽり総悟くんの腕の中

『仕方ねェ、俺の胸貸してやるよ』

おかしいな
あたしが慰めに来たはずなのに

『ぅう…、ゴメンね。あたし、全然、ダメだね…』

まだこんなに溢れてくる涙が残っていたなんて

総悟くんの制服、びしょ濡れになっちゃうかもしんない

きゅっと強くなる腕の力


『全然、…ダメじゃねェよ』

耳元で小さく囁かれた言葉


…ありがとう


その時

総悟くんの頬には一筋の涙が流れていた

あたしには見えなかったけど透き通るような青い空

風は冷たく肌を突き刺さすように

吐き出す息は白く


そんな中
しめやかにミツバさんの葬儀は真選組の屯所で行われた

霊柩車を見送るのはこれで二回目

この時の物悲しさは二度目でも慣れるものではなくそれは苦しいものだった

けれど
その時泣かなかったのは自分でも不思議なほどだった



『みーつけた』

あたしの声に振り返る蘇芳色の瞳

その瞳があたしを捉え、そしてすぐに今まで見ていた場所に戻される

ミツバさんの墓前
そこに佇む総悟くん

『…なんか用かィ』

心配になって来てみた
なんて言えるわけもなく

目の前で目を伏せる総悟くんの心中を察しながらも敢えて明るい声で言った

『いっぱい、泣いた?』

『………』
答えはない

『あたしはめ一杯泣いて、涙出し尽くしたって感じかな』

聞いてるとわからなかったけどあたしは続けた

『あたしもね、ずいぶん前だけど家族を亡くしたんだ。その時はひとりぼっちになってどうしようもなく寂しくて哀しくてしょうがなかったはずなのに強くならなくちゃいけない、泣いてたりしちゃいけないって必死で我慢してたんだ』

幼かったあたしの精一杯の強がり

『そんな時ね、おばあちゃんが言ったことが…』


泣きなさい

我慢しないで思いっきり泣きなさい

そして涙が枯れるまで泣いた後は

笑って見送ってやりな


あたしはおばあちゃんの胸で思いっきり泣いた
声をあげて泣いた

『命を終えた魂は星になって見守ってくれているんだって』

おばあちゃんはいつもそう言っていた

『思いっきり泣いた後は笑顔、見せてあげようよ。だから、総悟くんも泣いて。あたしの胸貸してあげるから』

気がついたら総悟くんはあたしを見つめていた

『…まだ、全然枯れてねぇじゃねェかよ』

『え?』

総悟くんがあたしの頬を拭う

あ、あたし
泣いてたんだ…

気付いた次の瞬間には
あたしはすっぽり総悟くんの腕の中

『仕方ねェ、俺の胸貸してやるよ』

おかしいな
あたしが慰めに来たはずなのに

『ぅう…、ゴメンね。あたし、全然、ダメだね…』

まだこんなに溢れてくる涙が残っていたなんて

総悟くんの制服、びしょ濡れになっちゃうかもしんない

きゅっと強くなる腕の力


『全然、…ダメじゃねェよ』

耳元で小さく囁かれた言葉


…ありがとう


その時

総悟くんの頬には一筋の涙が流れていた

あたしには見えなかったけど


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