無くしてしまった、大事にしていたものを

総悟くんから初めて貰ったモノ
ミツバさんとお揃いのふざけた容姿のキーホルダー

ケータイのストラップにして肌身離さず持ってたのに

ふとケータイを開いた時に気づいてしまった、ストラップ部分が寂しくなっていることに

ケータイ自体にも目新しい傷が付いている

そうだ、さっき転んだときに…

よりによってこんなときにそれに気づくなんて…


肩を落とす
その言葉がぴったりなほどあたしの姿は端から見ても落ち込んでるのが丸わかりだったと思う

『アンタ、やっぱり疲れてんだろ』

その言葉にハッとして顔を上げればいつの間にか隣に居た総悟くんが訝しげにあたしを見つめていた

『ううん、そんなこと無いよ』
『嘘でィ、そんなことあるだろ』

適当に言い繕ったって総悟くんには通用しない
すべてを見透かすようにまっすぐに見つめられて次に言おうとしたいいわけ染みた言葉なんて何処かに消えた


『でもほんと、疲れてるとかじゃなくて…』

無くしたキーホルダーが気になっている、なんて言えない

ミツバさんが大変なときに不謹慎過ぎる

言葉が見つからず視線を落とす

視界に入るケータイはやっぱり物足りなくて

『無理しなさんな、辛いなら…』

彼らしくもなく労るような言い方
それを突っぱねてあたしは立ち上がった

『無理なんてしてないから!だけど、ごめん。もう一回、出かけてもいいかな…』

そわそわして心配かけるくらいならいっそのこと探しにいってしまおう
無かったらきっぱり諦めよう

『べつにいいけど、エリカはそのまま帰って…』

『帰らないよ、荷物も置いてくから』
銀さんが眠る長椅子の隣にバッグを置いてあたしは足早に歩き出した

『荷物も持たねぇでアンタ一体どこに…』

『すぐ戻ってくるから!』
そう言い残して病院を後にした


『強情なやつでィ』
総悟はため息混じりに呟いた

エリカには苦労をかけさせたくないだけなのに

『ミツバさんの事もだろうが、総悟の事が心配なんだろーよ』

『俺は何て事無い、ピンピンしてまさァ』

『お前、鏡見てみろ。ひどい顔だぞ』

『それ、近藤さんには言われたくねーや』
誰よりもひどい顔してらァ
まるでパンダだ

『俺ァお前にも言われたくないぞ、…その傷、トシにやられたんだろ?珍しいな、お前がそんなにやられるなんて』

…参ったな
今はあいつの話なんざしたくも聞きたくもねぇってのに



外は雨が降りだしていた
この季節の雨は冷たくてみるみる体温を奪っていく

…クシュンッ!

何回目のクシャミだったっけ
風邪、ひいちゃったかな

さっきまで居たファミレス
転んで荷物をぶちまけた辺りを隈無く探した
あり得ないくらい遠くまで

それでもキーホルダーは見つからなかった

…あたしったらバカね
これくらいで泣くなんて


多分、こころが弱ってる


止まりそうもない涙を

雨で隠して


思うままに、泣いた無くしてしまった、大事にしていたものを

総悟くんから初めて貰ったモノ
ミツバさんとお揃いのふざけた容姿のキーホルダー

ケータイのストラップにして肌身離さず持ってたのに

ふとケータイを開いた時に気づいてしまった、ストラップ部分が寂しくなっていることに

ケータイ自体にも目新しい傷が付いている

そうだ、さっき転んだときに…

よりによってこんなときにそれに気づくなんて…


肩を落とす
その言葉がぴったりなほどあたしの姿は端から見ても落ち込んでるのが丸わかりだったと思う

『アンタ、やっぱり疲れてんだろ』

その言葉にハッとして顔を上げればいつの間にか隣に居た総悟くんが訝しげにあたしを見つめていた

『ううん、そんなこと無いよ』
『嘘でィ、そんなことあるだろ』

適当に言い繕ったって総悟くんには通用しない
すべてを見透かすようにまっすぐに見つめられて次に言おうとしたいいわけ染みた言葉なんて何処かに消えた


『でもほんと、疲れてるとかじゃなくて…』

無くしたキーホルダーが気になっている、なんて言えない

ミツバさんが大変なときに不謹慎過ぎる

言葉が見つからず視線を落とす

視界に入るケータイはやっぱり物足りなくて

『無理しなさんな、辛いなら…』

彼らしくもなく労るような言い方
それを突っぱねてあたしは立ち上がった

『無理なんてしてないから!だけど、ごめん。もう一回、出かけてもいいかな…』

そわそわして心配かけるくらいならいっそのこと探しにいってしまおう
無かったらきっぱり諦めよう

『べつにいいけど、エリカはそのまま帰って…』

『帰らないよ、荷物も置いてくから』
銀さんが眠る長椅子の隣にバッグを置いてあたしは足早に歩き出した

『荷物も持たねぇでアンタ一体どこに…』

『すぐ戻ってくるから!』
そう言い残して病院を後にした


『強情なやつでィ』
総悟はため息混じりに呟いた

エリカには苦労をかけさせたくないだけなのに

『ミツバさんの事もだろうが、総悟の事が心配なんだろーよ』

『俺は何て事無い、ピンピンしてまさァ』

『お前、鏡見てみろ。ひどい顔だぞ』

『それ、近藤さんには言われたくねーや』
誰よりもひどい顔してらァ
まるでパンダだ

『俺ァお前にも言われたくないぞ、…その傷、トシにやられたんだろ?珍しいな、お前がそんなにやられるなんて』

…参ったな
今はあいつの話なんざしたくも聞きたくもねぇってのに



外は雨が降りだしていた
この季節の雨は冷たくてみるみる体温を奪っていく

…クシュンッ!

何回目のクシャミだったっけ
風邪、ひいちゃったかな

さっきまで居たファミレス
転んで荷物をぶちまけた辺りを隈無く探した
あり得ないくらい遠くまで

それでもキーホルダーは見つからなかった

…あたしったらバカね
これくらいで泣くなんて


多分、こころが弱ってる


止まりそうもない涙を

雨で隠して


思うままに、泣いた


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