遠く儚く

近くのファミレスに入り
ホットココアを頼んだ

『ふぅ…あったかぃ』

身体中に染み渡っていく温かさが心地よい

ソファに深く腰を掛けて目を閉じた
ほんの少しだけ、休むつもりで


ガシャンッ!!

という大きな音に意識を戻され跳ねるように頭を上げた

離れた席でグラスが割れたみたいだった

…あたし、いつの間にか寝ちゃってたんだ

そろそろ戻ろうかと時計に目をやる

エッ!?嘘でしょ
もう2時間も経っていた

店員さん
何で起こしてくれないの〜

慌てて会計を済まして全速力で店を飛び出した

その瞬間、盛大にスッ転んだ
バックの中身も辺りに散らばっり恥ずかしいくらいに豪快に

物凄く痛かった
けれどあたしの頭はミツバさんのことで頭が一杯でそれどころじゃなかった

あちこちに散らばった荷物を集めまた全力疾走で病院に向かった


『エリカさん!?膝、ちだらけじゃないか!』
病院に着いて近藤さんに言われるまで気づかなかった
血が出るほどに擦りむいていたことに

『ミツバさんの様子は…』
『…まだ治療中さ、それより手当しないと』
あたふたとする近藤さん
『大丈夫です、絆創膏ありますから』

その向こうに見える微動だにしない背中
総悟くんは数時間前と同じ場所に立ち尽くしていた


『総悟もちょっとは休め、俺が見てるから。』

『そうだよ、あたしも居るから。じゃなきゃ総悟くんが倒れちゃうよ』

ゆっくりと振り返り彼は言った
『そうゆう自分等の方が倒れそうな面してまさァ』

そして自分の目元を指差して呟いた
『クマ、できてる』

近藤さんと目を見合わせ、お互いの顔を見て言葉を無くした

総悟くんの言う通り
たしかにあった、目の下にクマ

あたしに至ってはファミレスで寝てたのに…

『それよりエリカは膝、手当てした方が良さそうだねィ』
そう言ってあたしの手を取り歩き出した

『ちょ…総悟くん?』

『ナースステーションにでもいけば手当てしてもらえんだろ』
それっきり黙ってしまった総悟くん

掴んだままの彼の手はビックリするくらい冷たかった


そして目の前にある背中
繋がれたままなのに遠く感じてしまう距離

今は
どんなに手を伸ばしても

君に届かない



この重たい沈黙が

息苦しくて仕方ない


いつもは大きく感じてた背中が

小さく見えて仕方ない


こんな総悟くんは
…もう、見てられないよ近くのファミレスに入り
ホットココアを頼んだ

『ふぅ…あったかぃ』

身体中に染み渡っていく温かさが心地よい

ソファに深く腰を掛けて目を閉じた
ほんの少しだけ、休むつもりで


ガシャンッ!!

という大きな音に意識を戻され跳ねるように頭を上げた

離れた席でグラスが割れたみたいだった

…あたし、いつの間にか寝ちゃってたんだ

そろそろ戻ろうかと時計に目をやる

エッ!?嘘でしょ
もう2時間も経っていた

店員さん
何で起こしてくれないの〜

慌てて会計を済まして全速力で店を飛び出した

その瞬間、盛大にスッ転んだ
バックの中身も辺りに散らばっり恥ずかしいくらいに豪快に

物凄く痛かった
けれどあたしの頭はミツバさんのことで頭が一杯でそれどころじゃなかった

あちこちに散らばった荷物を集めまた全力疾走で病院に向かった


『エリカさん!?膝、ちだらけじゃないか!』
病院に着いて近藤さんに言われるまで気づかなかった
血が出るほどに擦りむいていたことに

『ミツバさんの様子は…』
『…まだ治療中さ、それより手当しないと』
あたふたとする近藤さん
『大丈夫です、絆創膏ありますから』

その向こうに見える微動だにしない背中
総悟くんは数時間前と同じ場所に立ち尽くしていた


『総悟もちょっとは休め、俺が見てるから。』

『そうだよ、あたしも居るから。じゃなきゃ総悟くんが倒れちゃうよ』

ゆっくりと振り返り彼は言った
『そうゆう自分等の方が倒れそうな面してまさァ』

そして自分の目元を指差して呟いた
『クマ、できてる』

近藤さんと目を見合わせ、お互いの顔を見て言葉を無くした

総悟くんの言う通り
たしかにあった、目の下にクマ

あたしに至ってはファミレスで寝てたのに…

『それよりエリカは膝、手当てした方が良さそうだねィ』
そう言ってあたしの手を取り歩き出した

『ちょ…総悟くん?』

『ナースステーションにでもいけば手当てしてもらえんだろ』
それっきり黙ってしまった総悟くん

掴んだままの彼の手はビックリするくらい冷たかった


そして目の前にある背中
繋がれたままなのに遠く感じてしまう距離

今は
どんなに手を伸ばしても

君に届かない



この重たい沈黙が

息苦しくて仕方ない


いつもは大きく感じてた背中が

小さく見えて仕方ない


こんな総悟くんは
…もう、見てられないよ


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