病院ではお静かに

病院には辛い思い出しかなくて

江戸に出てきてからの一年、風邪をひいても病院には行かず市販の薬でどうにか治していた

そういえばもうかれこれ三年は病院のお世話になっていなかった


『あの、沖田ミツバさんの病室ってどこですか?』

黄色い花を基調とした小ぶりなブーケと、お気に入りの和菓子やさんのみたらし団子を手に受付に尋ねた

『沖田さんなら305号室ですよ、あなたで何人目だったかしら彼女の病室尋ねてきた方は』
お友達の多い方ねとナースは言っていた

真選組の皆さんが来てたりするのかな
武州時代からのお付き合いなんだろうし

お花とお団子置いたら帰ろう
あたしなんかお邪魔だろうし

控えめにノックをして部屋の中から返ってきたのは思いの外元気そうな声で安心した

『あら、エリカさん、来てくれたの?』
少し顔色が悪い、だけどにこやかな笑顔のミツバさんが迎えてくれた

そして
『よぉ、エリカちゃん』
当たり前のように座っていた銀さん

他には誰も居なかった
帰ったあとだったみたいね

『何突っ立ってンの、ほらほら遠慮しないで座りなさーい』

あたしは銀さんが自分のとなりに用意してくれた丸椅子に腰を掛けた

『あの、これ…気に入るかアレですけど』
あたしの好みで選んで買ってきたブーケとお団子をミツバさんに手渡した

『まぁ、ありがとう。今日は沢山お見舞いに来てくれたけどお花は初めてよ』
嬉しそうにブーケを見つめるミツバさん

やっぱり黄色い花が似合う
穏やかな春の日差し、あたしの勝手なイメージだけどミツバさんてそんな感じだ

『おし、じゃあ銀さんが花瓶かなんか借りてきてやるよ。おめーも行くぞ』

『え?誰に言って…』

銀さんはおもむろにベッドの下に蹴りを入れた

…すると鈍い音と共に悲鳴が聞こえた
『ぎゃあああッ!目が!目が蹴られた!』

『山崎さん!なにしてんですか!しかもまたアフロ』
隠密装束に包まれた地味な山崎さんは頭だけ存在感抜群

銀さんに引きずられ病室を出ていった山崎さんが呟いた
『なりゆきです』

なりゆきって、どんな!?



『そういえば真選組の方たちも来てたんですよね、もう帰られたんですか?』

看護婦さんが覚えてたくらいだから沢山きてたんだろう

『そうなの、だけどみんな仕事だからすぐ帰ったわよ』
そして渡したブーケに視線を戻した

『何人も来てくれたのにお花を持ってきてくれないのよ、みんな食べ物ばかりで』
良かったらどうぞと渡された果物のかご

果物のというか、バナナのかごだった

誰が持ってきたものかわからなかったけど、近藤さんの顔が浮かんだ


バナナを食べ始めたあたしの横でミツバさんはガサガサと何やら袋を開け出し、バリバリと何かを食べ出した

【超・激辛煎餅】

これって、火吐く位辛いお煎餅じゃなかったっけ
過去に挑戦して一枚食べきれなかった記憶がある

『もしかして、ミツバさんてとんでもなく辛党…』

『そうなの、辛いものっていいわよね。食べると元気になるもの』
そして彼女は美味しそうに真っ赤な煎餅をかじる

失敗した
辛党な人にみたらし団子は無いよね

『スイマセン、それ知ってたらお団子じゃなくてもっと気の利いたもの買ってきたのに』

『コレ、お団子なのね?大丈夫よ』
ミツバさんはお団子の包みを開けた

美味しそうなお団子ねと言い、ベッド横の引き出しからなにやら取り出した

…タバスコ?
って、えェェェッ!?

蓋を外し、瓶を逆さにした
お団子はもちろんタバスコの海の中

『さぁ、エリカさんもいかが?』

『えっ!?』

満面の笑みでお団子を差し出してくるミツバさん

こんな真っ赤なお団子、たべれないよ〜

『食べれないの?総ちゃんのガールフレンドなのに』
急に咳き込むミツバさん

え、なにこれ…

『え、関係ないですよね…それは』

さらに激しく咳き込み出した

なに?食べろって事なの!?『わわわわかりました、いただきますッ!!』

勇気を出して真っ赤に染まりかけたお団子を口に運んだ



『待たせたな〜ってエリカちゃんんんッ!?』
部屋に戻ってみればエリカちゃんが吐血したようにぐったり倒れていた

『お団子食べたら急に倒れちゃったの』
お姉さんの持ってる団子を見て納得

エリカちゃんもやられたな…

喉元過ぎても
辛さはわすれない

病院には辛い思い出しかなくて

江戸に出てきてからの一年、風邪をひいても病院には行かず市販の薬でどうにか治していた

そういえばもうかれこれ三年は病院のお世話になっていなかった


『あの、沖田ミツバさんの病室ってどこですか?』

黄色い花を基調とした小ぶりなブーケと、お気に入りの和菓子やさんのみたらし団子を手に受付に尋ねた

『沖田さんなら305号室ですよ、あなたで何人目だったかしら彼女の病室尋ねてきた方は』
お友達の多い方ねとナースは言っていた

真選組の皆さんが来てたりするのかな
武州時代からのお付き合いなんだろうし

お花とお団子置いたら帰ろう
あたしなんかお邪魔だろうし

控えめにノックをして部屋の中から返ってきたのは思いの外元気そうな声で安心した

『あら、エリカさん、来てくれたの?』
少し顔色が悪い、だけどにこやかな笑顔のミツバさんが迎えてくれた

そして
『よぉ、エリカちゃん』
当たり前のように座っていた銀さん

他には誰も居なかった
帰ったあとだったみたいね

『何突っ立ってンの、ほらほら遠慮しないで座りなさーい』

あたしは銀さんが自分のとなりに用意してくれた丸椅子に腰を掛けた

『あの、これ…気に入るかアレですけど』
あたしの好みで選んで買ってきたブーケとお団子をミツバさんに手渡した

『まぁ、ありがとう。今日は沢山お見舞いに来てくれたけどお花は初めてよ』
嬉しそうにブーケを見つめるミツバさん

やっぱり黄色い花が似合う
穏やかな春の日差し、あたしの勝手なイメージだけどミツバさんてそんな感じだ

『おし、じゃあ銀さんが花瓶かなんか借りてきてやるよ。おめーも行くぞ』

『え?誰に言って…』

銀さんはおもむろにベッドの下に蹴りを入れた

…すると鈍い音と共に悲鳴が聞こえた
『ぎゃあああッ!目が!目が蹴られた!』

『山崎さん!なにしてんですか!しかもまたアフロ』
隠密装束に包まれた地味な山崎さんは頭だけ存在感抜群

銀さんに引きずられ病室を出ていった山崎さんが呟いた
『なりゆきです』

なりゆきって、どんな!?



『そういえば真選組の方たちも来てたんですよね、もう帰られたんですか?』

看護婦さんが覚えてたくらいだから沢山きてたんだろう

『そうなの、だけどみんな仕事だからすぐ帰ったわよ』
そして渡したブーケに視線を戻した

『何人も来てくれたのにお花を持ってきてくれないのよ、みんな食べ物ばかりで』
良かったらどうぞと渡された果物のかご

果物のというか、バナナのかごだった

誰が持ってきたものかわからなかったけど、近藤さんの顔が浮かんだ


バナナを食べ始めたあたしの横でミツバさんはガサガサと何やら袋を開け出し、バリバリと何かを食べ出した

【超・激辛煎餅】

これって、火吐く位辛いお煎餅じゃなかったっけ
過去に挑戦して一枚食べきれなかった記憶がある

『もしかして、ミツバさんてとんでもなく辛党…』

『そうなの、辛いものっていいわよね。食べると元気になるもの』
そして彼女は美味しそうに真っ赤な煎餅をかじる

失敗した
辛党な人にみたらし団子は無いよね

『スイマセン、それ知ってたらお団子じゃなくてもっと気の利いたもの買ってきたのに』

『コレ、お団子なのね?大丈夫よ』
ミツバさんはお団子の包みを開けた

美味しそうなお団子ねと言い、ベッド横の引き出しからなにやら取り出した

…タバスコ?
って、えェェェッ!?

蓋を外し、瓶を逆さにした
お団子はもちろんタバスコの海の中

『さぁ、エリカさんもいかが?』

『えっ!?』

満面の笑みでお団子を差し出してくるミツバさん

こんな真っ赤なお団子、たべれないよ〜

『食べれないの?総ちゃんのガールフレンドなのに』
急に咳き込むミツバさん

え、なにこれ…

『え、関係ないですよね…それは』

さらに激しく咳き込み出した

なに?食べろって事なの!?『わわわわかりました、いただきますッ!!』

勇気を出して真っ赤に染まりかけたお団子を口に運んだ



『待たせたな〜ってエリカちゃんんんッ!?』
部屋に戻ってみればエリカちゃんが吐血したようにぐったり倒れていた

『お団子食べたら急に倒れちゃったの』
お姉さんの持ってる団子を見て納得

エリカちゃんもやられたな…

喉元過ぎても
辛さはわすれない




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