魔法にかけられて@

『沖田さんが昨日から帰ってないんです、エリカサン何か知りませんか?』

スナックお登勢に珍しい訪問者、山崎さん

『帰ってないって…任務とかじゃなくてですか?』

『はい、昨日はパトロールだけで特別な任務は無かったんです』

そういえば…
毎日の様に届いてたイタズラメールや他愛もないメール
昨日から届いてない

どうしたんだろう
…まさか、何か事件に巻き込まれちゃったりしちゃったんじゃないよね


『ちょっとーエリカちゃーん?』
『…はい?』
『こぼれてんだけど…』

銀さんに注いでたお酒は銀さんの腕を伝って着物をびしょ濡れにしてた

『あんた、もう上がりなよ。何があったか知らないけどそんなんでもう働けないだろ』
咎めた風もなくお登勢さんが言う

怒られて当然なのに…

アレから総悟くんが気になってお酒こぼしたり、グラスを割ったり、マダオさんに肘鉄くらわしたり…散々だった

迷惑を掛けたまま引き下がるのは嫌だったけど今日は素直に帰ることにした
『スイマセン…、こんなんじゃ居る方が迷惑ですもんね…』

『心配してんだよ、具合悪いなら休んでいいんだから』

『ありがとうございます』
具合は…良好なんですけどね…

それよりも総悟くん
帰りにメールを送ってみたけどやっぱり返事はない

ハァァァ…

どこいっちゃったのかな
まさか…メールもできない状態なんじゃ…
いやいや、総悟くんて強いんだよね
そう簡単にやられたりは…

でも…
一人の時に沢山の人に襲われたんだとしたら?


『あー!ダメダメ悪い方にばっかり考えちゃう!』

頭を抱えてその場にしゃがみこむ

目には堪えようもなく涙が浮かんでくる

一人になった方がいろいろ考えてしまう
やっぱり店に残ればよかった

そして大きくため息をついた時だった


ニャー

顔を上げると一匹の猫がいた

薄い色素の茶色い毛並
大きくて赤茶色の円らな目

…か、かわいい

『おいでおいで』
さっきまでの不安はどこかに吹っ飛んだ

…あたしってどんだけ単純なんだ

しゃがみこんだまま下手に手招きしてみればその猫はニャーと一声鳴いて歩み寄ってきた

喉元を撫でてやればゴロゴロと鳴いて擦り寄ってくる

首輪とかしてないけど…野良猫かな?それにしては綺麗な身なりだけど

『ゴメンね、食べるもの何もなくて。じゃあね』
そう言って立ち上がると猫はまた鳴いた

歩き出せばついてくる

『ついてきてもダメだったら、うちペットダメな部屋だから』
言ったところで通じるとも思えないけど

猫はニャーと鳴いた
その声は気のせいだろうけど寂しそうに聞こえた

それでも猫はついてきた
ついに部屋の前

猫は座ったまま動かないであたしを見つめてる

…かわいい

『…今晩だけだからね』
猫のすがるような瞳に根負けして部屋に入れてあげることにした

明日、銀さんに頼んで飼い主探してもらえばいいよね

『おいで、お腹空いてるんでしょ』
ドアをあけて手招きすれば猫はスルリとあたしの横をすり抜けて部屋へ

そしてリビングのソファーに我が物顔で座り、ニャーと一声

『うわ、どっかの隊長さんみたいに自由奔放ねアンタ』

…あ、思い出しちゃった


to be continued
『沖田さんが昨日から帰ってないんです、エリカサン何か知りませんか?』

スナックお登勢に珍しい訪問者、山崎さん

『帰ってないって…任務とかじゃなくてですか?』

『はい、昨日はパトロールだけで特別な任務は無かったんです』

そういえば…
毎日の様に届いてたイタズラメールや他愛もないメール
昨日から届いてない

どうしたんだろう
…まさか、何か事件に巻き込まれちゃったりしちゃったんじゃないよね


『ちょっとーエリカちゃーん?』
『…はい?』
『こぼれてんだけど…』

銀さんに注いでたお酒は銀さんの腕を伝って着物をびしょ濡れにしてた

『あんた、もう上がりなよ。何があったか知らないけどそんなんでもう働けないだろ』
咎めた風もなくお登勢さんが言う

怒られて当然なのに…

アレから総悟くんが気になってお酒こぼしたり、グラスを割ったり、マダオさんに肘鉄くらわしたり…散々だった

迷惑を掛けたまま引き下がるのは嫌だったけど今日は素直に帰ることにした
『スイマセン…、こんなんじゃ居る方が迷惑ですもんね…』

『心配してんだよ、具合悪いなら休んでいいんだから』

『ありがとうございます』
具合は…良好なんですけどね…

それよりも総悟くん
帰りにメールを送ってみたけどやっぱり返事はない

ハァァァ…

どこいっちゃったのかな
まさか…メールもできない状態なんじゃ…
いやいや、総悟くんて強いんだよね
そう簡単にやられたりは…

でも…
一人の時に沢山の人に襲われたんだとしたら?


『あー!ダメダメ悪い方にばっかり考えちゃう!』

頭を抱えてその場にしゃがみこむ

目には堪えようもなく涙が浮かんでくる

一人になった方がいろいろ考えてしまう
やっぱり店に残ればよかった

そして大きくため息をついた時だった


ニャー

顔を上げると一匹の猫がいた

薄い色素の茶色い毛並
大きくて赤茶色の円らな目

…か、かわいい

『おいでおいで』
さっきまでの不安はどこかに吹っ飛んだ

…あたしってどんだけ単純なんだ

しゃがみこんだまま下手に手招きしてみればその猫はニャーと一声鳴いて歩み寄ってきた

喉元を撫でてやればゴロゴロと鳴いて擦り寄ってくる

首輪とかしてないけど…野良猫かな?それにしては綺麗な身なりだけど

『ゴメンね、食べるもの何もなくて。じゃあね』
そう言って立ち上がると猫はまた鳴いた

歩き出せばついてくる

『ついてきてもダメだったら、うちペットダメな部屋だから』
言ったところで通じるとも思えないけど

猫はニャーと鳴いた
その声は気のせいだろうけど寂しそうに聞こえた

それでも猫はついてきた
ついに部屋の前

猫は座ったまま動かないであたしを見つめてる

…かわいい

『…今晩だけだからね』
猫のすがるような瞳に根負けして部屋に入れてあげることにした

明日、銀さんに頼んで飼い主探してもらえばいいよね

『おいで、お腹空いてるんでしょ』
ドアをあけて手招きすれば猫はスルリとあたしの横をすり抜けて部屋へ

そしてリビングのソファーに我が物顔で座り、ニャーと一声

『うわ、どっかの隊長さんみたいに自由奔放ねアンタ』

…あ、思い出しちゃった


to be continued



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