不意打ち

『おでんが食いてェ』

あたしの隣で飲んでいたお客様が突然呟いた

『…総悟くん、うちはおでん置いてないんですけど』

サディスティック星の王子はそんなことで諦めない

『二丁先にコンビニあったろ』

『…………いってきます』


寒空の下
総悟くんの為におでんを買いに行くあたし

コレ、ただのパシりじゃない?

ふざけるなぁァァ!
とは面と向かって言えないから星空に向かってぶちまけた


適当にえらんだおでんの具材
あとはあたしの好きなはんぺんと

『辛子と味噌はお付けしますか?』

『辛子、あるだけください』

あたしのささやかな仕返し
怪訝そうな店員さんは気にしない

ちくわとかがんもとか
わかんないように大量の辛子を仕込んでやった


ふんだ、ざまぁみろ〜


『遅かったじゃねーかエリカ、待ちくたびれたぜィ』
ほろ酔いの気分よさげな総悟くんがカウンターから迎えてくれた

お疲れ、とか
ありがとう、とか
寒いなかごめんな、とか

総悟くんの口から出るわけ無いフレーズを期待していた自分が馬鹿らしくなったけど…

あたしが帰ってくるのを待ちわびてたのはほんとっぽいから憎めない
(だってお酒、あんまり減ってないんだもん)

上着を掛けて総悟くんの隣に座ればおでんのいい匂いが漂っていた

『お、はんぺん』
『はんぺんはあたしがたべるの…ってあァァァッ!』

楽しみにしていたはんぺんはドSな笑みを浮かべた総悟くんの口の中へ姿を消した

『…ひどい〜ッ楽しみにしてたのにィィィッ!馬鹿馬鹿!信じらんない〜ッ!』
他のお客さんが振り向くくらい猛抗議

『エリカのモノは俺のモノって決まってるんでさァ』

『アンタはどこのガキ大将だよ!』

ぶーぶー文句を垂れるあたしを見るに見かねた総悟くんが
『しょうがねィな』

箸で一口大に切ったがんもをあたしの口元に運んでくる

『……え?』

『早くあーんしなせェ、汁が垂れる』

条件反射でついパクリ

『親から餌もらう雛鳥みてぇ』
楽しそうに笑う総悟くん

ドS王子な彼から想像しえない反則的な笑顔

恥ずかしさとほんのちょっとの嬉しさでなんか鼻がツーンとしてきた

待って、なんか涙も出てきた


『…ッ、辛ァァッ!』

…そうだ、ありったけの辛子を仕込んでたんだった

慌ててカウンター内に駆け込んで水をいっぱい飲み干した


…死ぬかと思った


冷たい水で生き返った所で振り返れば違う危険が待っていた

『エリカ、なんでがんもがそんなに辛いんでィ』

立ちはだかるドSモードの総悟くん

『えっと…、何でかな?アハハ…』

笑って誤魔化そうとするあたし

目の前の総悟くんもにっこり微笑んだ
(どうして笑顔なのに怖いのかな)

『エリカ、いいからこっちに来なせェ』
笑顔の総悟くんに手招きされてつい足を踏み出してしまう

そしてハッとする

『反抗期のエリカには…』
さっきとは一変したドSスマイルの総悟くん


『お仕置きしてやんねィとな』

………うそ
あたし、今夜死ぬかも


『ごめんなさいィィッ!』

『御免で済むなら俺らは要らねーだろが』



夜のかぶき町に
エリカの悲鳴がこだました

『おでんが食いてェ』

あたしの隣で飲んでいたお客様が突然呟いた

『…総悟くん、うちはおでん置いてないんですけど』

サディスティック星の王子はそんなことで諦めない

『二丁先にコンビニあったろ』

『…………いってきます』


寒空の下
総悟くんの為におでんを買いに行くあたし

コレ、ただのパシりじゃない?

ふざけるなぁァァ!
とは面と向かって言えないから星空に向かってぶちまけた


適当にえらんだおでんの具材
あとはあたしの好きなはんぺんと

『辛子と味噌はお付けしますか?』

『辛子、あるだけください』

あたしのささやかな仕返し
怪訝そうな店員さんは気にしない

ちくわとかがんもとか
わかんないように大量の辛子を仕込んでやった


ふんだ、ざまぁみろ〜


『遅かったじゃねーかエリカ、待ちくたびれたぜィ』
ほろ酔いの気分よさげな総悟くんがカウンターから迎えてくれた

お疲れ、とか
ありがとう、とか
寒いなかごめんな、とか

総悟くんの口から出るわけ無いフレーズを期待していた自分が馬鹿らしくなったけど…

あたしが帰ってくるのを待ちわびてたのはほんとっぽいから憎めない
(だってお酒、あんまり減ってないんだもん)

上着を掛けて総悟くんの隣に座ればおでんのいい匂いが漂っていた

『お、はんぺん』
『はんぺんはあたしがたべるの…ってあァァァッ!』

楽しみにしていたはんぺんはドSな笑みを浮かべた総悟くんの口の中へ姿を消した

『…ひどい〜ッ楽しみにしてたのにィィィッ!馬鹿馬鹿!信じらんない〜ッ!』
他のお客さんが振り向くくらい猛抗議

『エリカのモノは俺のモノって決まってるんでさァ』

『アンタはどこのガキ大将だよ!』

ぶーぶー文句を垂れるあたしを見るに見かねた総悟くんが
『しょうがねィな』

箸で一口大に切ったがんもをあたしの口元に運んでくる

『……え?』

『早くあーんしなせェ、汁が垂れる』

条件反射でついパクリ

『親から餌もらう雛鳥みてぇ』
楽しそうに笑う総悟くん

ドS王子な彼から想像しえない反則的な笑顔

恥ずかしさとほんのちょっとの嬉しさでなんか鼻がツーンとしてきた

待って、なんか涙も出てきた


『…ッ、辛ァァッ!』

…そうだ、ありったけの辛子を仕込んでたんだった

慌ててカウンター内に駆け込んで水をいっぱい飲み干した


…死ぬかと思った


冷たい水で生き返った所で振り返れば違う危険が待っていた

『エリカ、なんでがんもがそんなに辛いんでィ』

立ちはだかるドSモードの総悟くん

『えっと…、何でかな?アハハ…』

笑って誤魔化そうとするあたし

目の前の総悟くんもにっこり微笑んだ
(どうして笑顔なのに怖いのかな)

『エリカ、いいからこっちに来なせェ』
笑顔の総悟くんに手招きされてつい足を踏み出してしまう

そしてハッとする

『反抗期のエリカには…』
さっきとは一変したドSスマイルの総悟くん


『お仕置きしてやんねィとな』

………うそ
あたし、今夜死ぬかも


『ごめんなさいィィッ!』

『御免で済むなら俺らは要らねーだろが』



夜のかぶき町に
エリカの悲鳴がこだました




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