召し上がれ



初夏の晴天の下行われた銀魂学園球技大会は沖田くんの活躍もあり3Zは大健闘

『センセー、見ててくれやしたかィ』
泥だらけの沖田くんがあたしの傍までやってきてニカッと笑った

ちゃんと見ていましたとも

『スゴかったね、こんなに頑張る沖田くん初めて見たよ!いつもダルそうに昼寝してるんだもん』

『惚れ直しましやしたか』
泥だらけのジャージ姿なのに妙に大人びた顔を見せられる

『ほッ、惚れ直したってゆうか…、まぁかっこ、良かったけど…』
彼の不意打ちにどぎまぎしてしまい言葉を詰まらせてしまったり

かと思えばニカッと年相応な笑顔
『お弁当、楽しみにしてやすぜ』

そんな顔を見せられては…
頑張らないわけにはいきません

だから柄にもなく早起きして頑張りました

手作りのお弁当

普段は売店のパンやコンビニで済ますことが多かったから予想以上に奮闘

ごほうびってことだったけど…本のようにきれいには出来なくて不本意だけど…

やり直す時間なんて当然無くて、むしろ遅刻ギリギリ

息を切らせて職員室に駆け込んだ
席に付いたところでジャンプを読んでた服部先生が声をかけてきた

『赤根先生が遅刻ギリギリなんて珍しいな、寝坊でもした?』

『早くは起きたんですけどちょっと準備に手間取っちゃって…』

『あ、弁当?そらまた珍しいな、いつもは違うのに』

沖田くんに作りました
とは言えなくて曖昧に笑ってごまかした

『そんなことより保健室にポラギノール、ありましたっけ』

『無いです、さすがに…』

そして間もなく朝のミーティングが始まった

あたしはというとお弁当とにらめっこ
…気に入ってくれるかな


『あ〜腹減ったァ』
お昼休みになったと同時に現れた沖田くん

『今日はサボらなかったね、エライエライ』

『昨日ハリキリ過ぎて筋肉痛でさァ、動くの億劫でずっと寝てやしたよ、机で』

…前言撤回

『そんなことより…それ』
沖田くんの視線は机の上のお弁当袋

『お弁当。作ってきたけど、あんまり期待しないでね…ってもう食べてるしッ!』
神業的な早さで彼はもうお弁当を食べていた

もぐもぐもぐもぐ

無言でひたすら食べている沖田くん

『…どう?お味の方は』

ゴクンと音が聞こえてきそうに口の中のものを飲み干して…

『お茶』

『………』
なぜだろう、文句が言えないのは
渋々ながらもお茶を出してしまうあたし

冷たい麦茶を飲み干して彼は言った

『次はハンバーグ、入れたらいいんじゃないですかね』

『あ。ハンバーグ食べたかったの?』

『ハンバーグは誰でも喜ぶ定番オカズでさァ』

『そっか、そうなんだ』

『次は頼みまさァ、ハンバーグがあると無いじゃモチベーションが変わってくるんで』

じゃ、ごちそうさまでした。と言い残して保健室を去った沖田くん

…ん、ちょっと待って、次?
次とかいってたよね
なんかまた作る感じになってない?

ごほうびってくらいだから今回だけなんじゃ…


そこで机の上のケータイが震えだした

沖田くんから



sub:いい忘れてやした

弁当うまかったでさァ、玉子焼きは俺好み。毎日でも食いたい位


『さっき言ってくれれば良かったのに』
とか呟きながらも

いま保健室を覗かれたら大変
ひとりメールをみながらにやけてる人が居るわけだから


君が喜ぶ顔が見れるなら

また、つくってあげても
いいかもしんない


 


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