君と見る景色



花見の季節です

校庭の桜も八分咲きでいい眺め

桜の見える所でお昼を食べようとベンチを探していたら

『桜見ながら一杯やりてぇですねィ』

『コラコラ、未成年の発言じゃないでしょ』

特等席とも言える場所のベンチでふざけたアイマスクを付けた沖田くんが横になっていた

保健室じゃなくても寝てるんだね

体を起こした彼が隣に座る場所を空けてくれたので腰かけた

『今週末には満開でしょーねィ』

『そうだね、坂本先生が花見するって騒いでた』

『先生もいくんですかィ』

『うん、誘われちゃったから顔出すつもり』

『…へぇ』

お花見の賑やかな雰囲気は嫌いじゃない

だけど…

穏やかな春の風に桜の花びらが舞う

そんな中
こうしてただぼんやりと

綺麗な桜を眺めているだけですごく癒される

『でも、ここからの眺めに勝るとこは無いんじゃないかな』

目の前の桜は敷地内にある桜の中でも一番大きな木

『朝からこのベンチ確保しといたんでさァ、先生といっしょに見たくてねィ』

なんてかわいいことを言う


…ありがとう


隣に君が居るだけで

綺麗な桜が
もっと綺麗に見えたりする


不思議だね



『ん、ちょっとまって!朝からって、ずっとここにいたの!?』

『そうでさァ』

この子、今日も授業サボったな…

叱るべきなのだけど


『桜より先生の方がきれいでさァ』

『……ありがとう、冗談でも嬉しいよ』

ベタな文句で誤魔化されておいてあげましょう

綺麗な桜に免じて



(冗談でもないんですけどねィ)

沖田くんの呟きは先生の耳には届いていなかったようだ




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