もう一度、初めから 01



やっちまった…

やっちまったよ…、マジで


外は麗らかな陽気だというのに、万事屋では陰気なオーラを醸し出し頭を抱える男が一人

昨日道端でかわいい女の子に出会った、まではよかった
その天使のようなかわいいあの娘にやってもいない公然ワイセツだかワイセツ物陳列罪だかの罪で誤認逮捕され、生ゴミでも見るかのような視線を浴びせられ、誤解を解こうと口を開けば口の中のカツ丼をあの娘に浴びせかけた不始末

最悪だ

『はあああ…やっちまった…』
銀時は大きなため息をつき、机に突っ伏した

『いい加減にしてください銀さん、さっきからため息ばっかりで鬱陶しいんですけど』
部屋の真ん中にあるソファでお通が載っていたアイドル雑誌を読んでいた新八
奴はそれをピシャリと閉じて苛立たしげに言った

『お前さぁ、俺がへこんでんのわかんだろ?もっと優しく接っするもんだぜ。気を使ってお茶と甘いものの一つや二つ差し出したらどうよ』

『そんな気の利いたものが欲しいなら給料ください、買ってくるんで』

…可愛くない
まともな給料払ってない俺もまぁ…悪いけど

『はぁぁぁ…』
またため息をついては項垂れる俺に新八は呆れかえった冷たい視線を投げ掛けてくる

可愛くない
可愛くないけど昨日の、あのミニスカポリスちゃんの軽蔑の眼差しに比べれば…ましなもんだ

『…はぁぁ、…やっちまったよ』
絶対嫌われた、絶対に嫌われたよ
もうこれから街で出会う度に冷たい視線を投げ掛けられなけりゃなんないなんて…

堪えられねェェェッ!
折れる!心がポッキリ折れちまうゥゥゥッ!

『あ、そう言えば山崎さんに聞いたんですけど真選組に女性の方が入隊したらしいですよ』

『…知ってる』

『流石銀さん情報早いですね』

だって俺、昨日その娘に逮捕されたんだもん
…とは言わねぇけど

『すごいですよね、女の人なのにあの真選組に入隊するんですから。きっとものすご〜く腕が立つんでしょうね』

『うん、そうだね』
新八の言葉なんて右から左で、うつ伏せたままテキトーに相槌を打つ

頭の中はあの娘で一杯
俺に手錠をかけたときに見せた、あの笑顔が忘れられない
呆れて笑っていたのはわかっている
それでもすっげー可愛かった!

もう二度と見れないかも知れねぇ
心のアルバムにしっかり焼き付けておかないと

瞑想に入った途端に勢いよく玄関の扉が開いた

『ただいまヨー』
定春の散歩から帰ってきた神楽の登場でここから思い出に想いを馳せることももさせてもらえないであろう

銀時は鬱陶しそうに頭をあげた

そして目玉がこぼれ落ちるんじゃないかって程、目を見開いてフリーズした

俺は幻でも見てるんじゃないか
神楽の後ろにミニスカポリスちゃんが見える

落ち込みすぎて頭に虫でもわいたのか

ゴシゴシと目を擦りまた神楽の方を見やる

『…昨日はどうも、万事屋さん』

幻でも陽炎でもない
正真正銘本物のミニスカポリスちゃんがそこにいた

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