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『坂田さん、本当に助かりました、ありがとうございました』
別れ際、銀時に深々と頭を下げたエリカ

『気にすること無いでさァ』
すると隣の総悟がそううそぶいた

『てめえが言うな。…でもまぁそうゆうことで』
少しだけ照れくさそうに頭を掻きながらそっぽを向いた

しかし直ぐ様エリカに向き直り人差し指を立て詰め寄るような形で言った
『あぁ、でも一つだけお願いが』

『なんでしょう?』

『坂田さんはやめてくんない?俺のことは銀さんとか銀ちゃんとか…』
『糖尿予備軍の糖さんとか…』
やや真剣に物を言う銀時にまたも茶々を入れてくる総悟

『ちょ、お前、それはないだろーが!初対面の女のコにそうゆう事バラすかフツー!』
『いずれバレる事でさぁ』

エリカは納得した
土産の饅頭一箱をペロリと食べるくらいだ
会った瞬間から相当な甘党なんだろうとは思っていた


そんなことを考えていると十四郎に大きな声で呼ばれた
『オラァ、屯所戻んぞー!』

パトカーの横で怖い顔した十四郎がタバコをくわえて立っていた
物凄くイライラしているのが手にとるように解る

例えて言うなら娘の心配をする父親のような

銀時は総悟に耳打ちをした

『大串くんどうしちゃったの?いつもに増して人相悪いけど、もしかしてアノ日?』

『土方さんあんなツラしてシスコンなんでさァ。エリカが旦那と関わるのをよろしく思ってないんでしょう』

『何だよそれ、しつれーな。右も左も分からないエリカちゃんをここまで連れてきてやったのに』
銀時は不機嫌そうに眉をひそめる

『それはきっと旦那がマダオだからでさァ』

『あぁん?もっぺん言ってみな総一郎くん?』

『それはきっと旦那がマダオだからでさァ』
『綺麗に言い直してんじゃねぇよサド小僧が!』

小気味のいいやり取りはまた十四郎の怒声に止められたのだった


『急いで帰んぞ、近藤さんも首を長くして待ってんだ』
十四郎は助手席に乗り込み続いて退も運転席に乗り込んだ

総悟に促されエリカも後部座席へ乗り込んだ

『んじゃエリカちゃ〜ん、またね〜』
へらっと笑いながら手を振る銀時の見送られながらパトカーは発進した

銀時の姿が見えなくなると十四郎は舌打ちをして

『エリカ、あのヤローにはもう近づくなよ』

『どうして?いい人だったよ?』

『どうしても、だ。あいつにかかわるとろくなことが無いからな』
その〔ろくなこと〕でも思い出したのか、また不機嫌な表情になる十四郎

そんな兄にこれ以上突っ込む気にはなれずエリカは出しかけた言葉を飲んだ

代わりに隣の総悟に話を振った
『総ちゃんは仲良さげだったけど?』

『仲いいって訳じゃねぇよ、まぁいろいろ世話になったりしてたんで付き合いは長いってとこだねィ』

『ふーん、その割りに息ピッタリな感じがしたけど』

『あの人はいい歳して頭ん中が中2の夏のまんまなんでね、付き合いやすいんでさ』

それを聞いて運転席の退が楽しげに口を挟んだ
『類は友を呼ぶって言いますからね、沖田さんも中2の夏のままなんですよきっと』

…ガシャ

退が言い終わるや否や、機械音のようなものを耳にした

『ザキィ、聞こえなかったからもっかい言いなせェ』
総悟はどこから出したのか大きなバズーカを構えていた

『いや、ですから沖田さんも…ってええええッ!?』
退はバックミラーで自分の身の危険を確認した
『総悟ッ!?止めねぇかこんな狭いとこでそんなもんぶっぱなしたらエリカがッ!』
砲口を向けられている部下やとばっちりを受けそうな自分より妹の心配をする十四郎

総悟はチラリと隣に座る少女を見やる
エリカはぽかんと口を開けて見たこともない物騒な武器を眺めてた『そうでした、エリカには刺激が強すぎましたねィ』
そう言うと総悟はバズーカを下ろした

前に座るふたりは息をついた
…が、総悟は徐にジャケットを脱ぎエリカに頭の上から被せた

『『…え?』』
揃えた二人の声は爆音に掻き消された

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