04 気になる君が
PPPP…!
まだ薄暗い早朝6時
エリカの部屋では目覚ましがけたたましく鳴り響いていた
『うぅ…ん』
くぐもった呻きと同時に布団の中から伸びてきた手
それによって目覚ましは止められた
『お弁当…作らなきゃ…』
まだ重いまぶたを無理矢理にこじ開けてエリカは布団から抜け出した
『あら、今日も自分で作ってくれるの?助かる〜』
母が台所で奮闘していたエリカに言った
普段は母が作ってくれる
昨日はたまたま自分で作った
そのお弁当が、その卵焼きが…
《美味かったぜ、いい嫁さんになれまさァ》
…嬉しかったわけじゃないけど今日もこうして自分で作ってる
『珍しいわね、続けて自分で作るなんて』
おかずを詰めるエリカの横で母が口を出す
『…ちがう、違うから。別に沖田くんがおいしいっていってくれたからじゃないから。たまごやき盗られたのが悔しくてリベンジしただけだから、深い意味とか無いから』
長々と呪文みたいないいわけを呟いた
『なんでもいいよ、母さんは楽できて助かるから』
エリカは完成したお弁当を見つめひと息ついた
『…違うからね、別にそうゆうんじゃないからね』
『何でもいいからご飯食べちゃいなさい、遅刻するよ』
モタモタしていたせいでいつもより遅くなった登校時間
『おう、エリカ。今日はずいぶんおそいじゃねーか』
遅刻ギリギリで席につくとそれと同時に
沖田が話しかけてきた
『いいでしょ別に…遅刻した訳じゃないもん』
『どうしたんでィいつも無駄に早いエリカが』
『…無駄ってなによ。…ちょっとお弁当つくるのに時間がかかっただけだし』
『へぇ』
沖田はエリカのランチバックをチラッと見て前を向いた
『…今日は盗らないでよね』
『何がでさァ』
『玉子焼きだよ!昨日盗ったじゃん!』
『昨日のは盗ったんじゃねェ、毒が入ってたらヤバイんで毒味してやったんでィ』
そしてお馴染みのアイマスクを装着した
寝息はすぐに聞こえてきた
『どうゆう言い訳?てか寝るの早!』
そいして今日も騒がしい1日が始まる
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