02 四時間目



授業中

ふざけたアイマスクを装着しよだれを垂らして熟睡する姿

其の光景は日常茶飯事で

隣の席になる前から目についていた


それが今は自分の隣で


エリカは黒板を睨み呟いた

『どうせ寝るなら代わってくれてもいいじゃん』

伝えるつもりの無いただの独り言

『ここで寝るから気持ちいいんでさァ』
『うひゃあッ!』

返ってくるとは思ってなかった返事にエリカは肩を大きく揺らして驚いた

振り向けばアイマスクの下あった大きな目がこっちを見ていた

『お…、起きてたの』
『今、起きたんでさ』

ふわああっと大きくあくびをして沖田は椅子に座り直した

『何でィ4時間目まだ20分も残ってるじゃねーか』

『ノート取れば?銀ちゃんテストに出るって言ってたよ…ほんとかわかんないけど』
授業中寝てばかりいる沖田がノートを取る姿をエリカをみたことが無かった
関係ないとは言え少々心配になるとも事実だったが、返答はない

『聞いてる?』
隣の席に目をやると彼はお弁当を広げていた

『ちょっ…まだ授業中だよ!あと20分で昼休みなのに』
『待てねぇ』
そしてモグモグと食べ始める沖田

沖田くんはなにしに学校に来てるのかな
ボンヤリとそんな事を考えながら沖田の口に運ばれていくエビフライを眺めていたら…

『何見てんでィ、コイツはやらねーぜ』

…カチン

自分てこんなに短気でしたっけ
気がついたらあたしは声をあげていた

『そんなん要るかァァァッ!』

『ああ、そう?』
相反して返ってきたのは素っ気ない返事
エビフライは沖田の口の中へと姿を消した

頬を膨らませ前に向き直ったエリカの視界に映ったのは深緑色の黒板ではなく、真っ白くてヨレヨレでくたびれた銀八の白衣だって

『うるせーぞ、織田に沖田』
注意の後に現国の教科書で頭を叩かれた
軽く、ではあったのだろうけど不意打ちだとわりと衝撃が大きいものだ

『いったぁぁッ!』
『もがもが』
頭を押さえてうめくエリカと沖田

『授業はあと20分あんのな、痴話喧嘩は終わってからするように』

銀八のひとことで笑いが起こる教室

『痴話喧嘩って何アルか?』
『痴話喧嘩だと?ふしだらな!』
『お妙さん!僕らも』
『ほほほ、ゴリラはだまってなさい』

『お前らのせいで騒がしくなっちまったじゃねーか』

あたしらのせいで?
どう考えても先生のせいでしょうが!!


収拾がつかないまま、四時間目の終わりを告げるチャイムが鳴り渡った




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