やくそく



いい加減な性格の俺でも

守れない約束はしない


それは嘘と変わり無いから



攘夷戦争というものが始まってもう十数年と経った
形勢は良くなる気配は無い

誰もが俺たちの敗けを意識し始めていた

『いつもこんな怪我だらけで帰ってきて…。そのうちミイラ男になっちゃうよ』

エリカは銀時に巻いていた包帯を力一杯締め付けた

『いってぇッ!こっちは怪我人なんだぜ、優しく扱えよ!』

戦場から戻ってくる銀時は自分の血か、相手の血かも分からないほど真っ赤に染まっている

綺麗な銀色の髪もその通りだ

『もうこんなにボロボロなのに、まだ戦うの?』

エリカの問いに銀時はなにも答えず床を見つめた

『男って頑固だよね、晋助も、小太郎も昔はかわいかったのに。あ、銀時は昔からかわいくなかった』
昔を思いだし楽しそうに笑うエリカ

『うるせーな、お前だって昔から全然かわいくないのな!』
銀時は憎まれ口を返す

『あはは、そうかなぁ?結構美人になったと思わない?』

『どこが』

長い髪をひとつに結わえ着物の袖を捲り血に汚れた手でピースサイン

『そんな姿で茶目っ気見せられても怖いだけだろ、そんな真っ赤なピースみたことねぇ』

エリカの白くて綺麗な手を真っ赤に汚しさせてしまうのは俺
俺たちの流した血を拭うエリカの手が血で汚れる度、俺は心苦しかった

こんな戦、これ以上長引かせてはいけない

『今年はみんなでお花見できなかったね』
燦然と星が輝く空を見上げエリカは呟いた

静かで眩しいくらい星が輝く夜空
今が戦の最中だなんて夢みたいだ

『来年はみんなで行こうね。お弁当持って、お酒飲んで、みんなでパーッとね』

銀時は答えることができなかった

『約束は、…できねぇ』

『…どうして?』
こいつは俺の覚悟を知っていてわざとそんなことを聞く

『戦場に出る度に覚悟は決めている、いつ最期を迎えるかわからねぇ。だからあるかわからない先の約束はしない』

『銀時は馬鹿ね』

『何でだよ』

『死ぬ覚悟なんて簡単にできる。最期まで生き抜く覚悟で挑まなきゃアンタすぐに死ぬわよ』

かっこいい言葉と共にエリカの頬を伝う涙
『死んだら承知しないんだからね』

溢れる涙を拭ってやることもできず


銀時はまた戦場に向かう

『いってらっしゃい』

遠ざかる君の悲しい微笑みを背に




死なねぇよ

それは
虚言であり願いだった

thanks!矛盾



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