強がり彼氏



土方さん
さっきから全然喋りませんね

『あァ?…んなことねェだろ』

…嘘ばっかり
さっきからずっと上の空なんだから

『もしかして…、怖いの?』

只今、お化け屋敷待ちの行列の丁度真ん中あたり

口数が少ないのはいつものことだけど、上の空になったのはお化け屋敷に誘ってから

『バッ…バカ言うな、そんなことあるわけねェだろーがッ!』
そう言うけど…
目、泳いでますよ?

『意外ですね、鬼の副長にも怖いものあったなんて』

『怖くねえ、怖くねーッつってんだろーが』

土方さんの焦ってる姿
新鮮だなぁ

『大丈夫かなぁ?真撰組の副長ともあろうお方が、こんな頼りないなんて…』

そんなこと一度も思ったことないけどね

『なっ…お前、何言ってんの!?』
上ずった声であたしの肩を抱き寄せた土方さん

『お前は俺がしっかり守ってやる、頼りないなんて言うな』

真に受けちゃったの?
必死な土方さんもちょっとかわいいかも

『オバケからも守ってくれるの?』

『ば、バカか。オバケなんて…居ねーんだぞ』

…やっぱり怖いんだ

『仕方ないな、オバケからはあたしが守ってあげますよ』

少しひんやりした土方さんの手

『繋いでてあげますよ、これでもう怖くないでしょ』

『バカか!怖くねぇって言ってんだろうが』

強がる貴方

繋いだ手はそのままで



『きゃあああああああッ』

『ちょっと待てェッ!守ってくれんじゃ無かったのォォ!?俺を一人にするなァァァ!』

お化け屋敷のど真ん中
おいてけぼりな土方さん


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