今年イチオシボーイ



今日の新聞の一面をかざる真選組の一番隊隊長の写真

昨日も攘夷志士を一斉検挙したとかで新聞は大々的に取り上げている

活躍よりも被害の方が多く書かれてたりするのだけど…

瓦礫の山と化した現場でピースサインを向ける一面の写真を食い入るように見つめた

『ずいぶんとまぁ…真剣に読んじゃって』
お団子を食べに来た銀さんにも気づかない程に

『また沖田くんか…』
注文したみたらし団子を頬張りながら銀さんはわたしから新聞を奪った

沖田くん
そこら辺のアイドルなんかよりよっぽど気になる存在

『汚さないでくださいよ』
彼の記事は全部大事にスクラップしてるんですから

『物好きな子もいるもんだ』
目を丸くする銀さん

『お友達なんですよね、紹介してください』
『友達じゃないから、仲良くないから』

『ケチ』
『むしろアンタの為だからね、あの子ドSだから』

皿の団子が銀さんの口に消えたときだった

『御用改めでィ』

うそ!沖田くんだ!
本物の沖田くんだ!
興奮するあたしをよそに慌ただしくなる店内

店の奥にいた浪人風情の男の人たちが刀を抜いた

『旦那ァ、そこ退いてくだせェ巻き込まれやすぜ』
そう言って彼が構えたのは刀…
じゃなくてバズーカだった

『嘘!生で見れちゃうの?!沖田くんの捕り物を生で?!』
『ちょっ…危ないからァァ!』

銀さんに抱え込まれた状態で床に伏せられた

何も見えなくなった直後
聞こえてきた爆音と男の人たちの悲鳴

そして
『無事ですかィ、旦那ァ』
抑揚の無い沖田くんの声

『無事じゃねェよ!破壊神かテメェは』
銀さんが体を起こすと大破した私の店が視界に広がった

そして白煙の中佇む沖田くん

目の前に居るんだ
憧れの沖田くん

『なんとお詫びをしたらいいか…』
謝罪をしてきたのは真選組の局長さん

沖田くんはといえば副長さんにこっぴどくしかられている
かと思えば刀を抜き、激しくやりあっている

『総悟!お前もちゃんと謝りなさい!』
局長さんの一声でおとなしくなった沖田くんがこちらにやってくる

どうしよう…
かっこいいんですけど!

『どうもすいやせんでした』

頭を下げた沖田くんの亜麻色の髪がサラリと揺れた

…さわりたい
そう思ったら無意識のうちに手が延びていて

わ、やっぱりサラサラ…
指の間をすり抜けてく柔らかい髪

猫をそうするみたいに撫でていたらパシッと音がするくらい、勢いよく手を捕まれた

『……何してやがんでィ』

あ、手握られちゃった
しかも沖田くんがあたしを見つめてる…!

訝しげな沖田くんと顔を赤らめて惚けた顔のあたし

二人をまぶしい閃光が包んだ

カメラのフラッシュだ

新聞記者や大江戸テレビのレポーターさんがもう現場に集まっていた

『またも攘夷志士を逮捕された話題の人、沖田さんがいました!一緒に居るのは…壊された団子屋の方の様です』

おそらく壊された店の損害賠償問題に関して抗議の最中のようです、と花野アナにマイクを向けられたあたしは…

『好きです、付き合ってください』
勢いで告っていた

『『エェェェェッ!?』』
当然な周囲の反応

一斉に焚かれるフラッシュ

返答の方は!とマイクは沖田くんへと向けられた

『覚悟はあるのかィ、真性のメス豚に調教してやりまさァ』
『はい!』

カップル(?)成立!

『…マジですか』
真選組のみんなと銀さん
『…あり得ねぇ』


間違いない、明日の新聞の一面はこのふたり

イチオシボーイと暴走ガール

あたし、もう思い残すことないわ
いつ死んでも構わない…

見上げるとニヤリと笑みを浮かべた総悟くん

繋がれたままの手が恥ずかしいくらい熱かった



企画サイト『embrace』 提出。


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