▼言葉だけで
「ユウジ先輩どうしたんですか、機嫌悪いですね」
「お前のせいじゃボケ」
「え、なんで、やだ、なんでですかごめんなさい」
「……」
お前が出てってから…言葉遣いも変わって、二年前から全部変わっとった。
まるで俺がお前のこと何も知らん、って、直接言われたみたいな気分になった
「…お前の標準語きしょいねん」
「あ…あー…、……ユウジ先輩、これ、私なりの意地というかなんというか」
「…また、俺には言われへんのやろ」
いつもそうや。
俺はお前に壁なんぞ作っとらん。
お前は自分からくっついてくるくせにベルリンよかキツい壁作りよるんや。
わけわからんわ
「………ユウジ先輩は小春ちゃんにわざわざ俺水虫やねんとか言うんですか」
「勝手に水虫にすんなボケ、そんなんわざわざ誰が言うか!」
「私のはそれと同じです」
「は…、全然ちゃうやろ、何言っとんねん」
「…私も嫌われるのが怖いから言いたくないんです。臆病、だから…他の誰かに嫌われるのとユウジ先輩に嫌われるのはダメージが違うんです。レベル1のすなかけとレベルマックスの奥義並に違うんです…。だから、人一倍臆病になる」
「…お前は臆病ちゃう。卑怯モンや」
「え、なんでですかひどい」
「そんなん……俺かて同じリスク背負っとんのにお前だけ命綱つけとんのと一緒や。だから卑怯モン、当たっとるやろが。言うとくけど俺は卑怯モンなんぞ許さんからな」
なんでそないな泣きそうな顔すんねん。
アホかっちゅーくらい笑うとるお前はどこにおるんや。
いつも笑っとる顔面の筋肉緩すぎるアホが、俺の前やと百面相やねん。
こいつは強いのに俺関連やとすぐ泣きよる。
「……卑怯モンになりたないなら、ちゃんと話せ。嫌ったりなんぞせんから、…ええな」
「…はい」
泣かすんも幸せそうに笑わせるんも、俺の特権っちゅーとこか。
「標準語に戻した理由は親父が関西の女が好き言うたからです。」
「……まぁええわ、俺の前では戻すなや」
「ユウジ先輩だけなら戻しません、でも周りに人いたら戻します。だってそんな今更」
「……それでええわ」
「…ユウジ先輩、…………ユウジ先輩って私に嫌われたないとか思ってくれとったんで…いただだだ!」
「余計なこと言うなやボケ!絞めんぞ!」
「もう絞まっとるし!ごめんなさっ、ぐえ!」
そんなん、口に出して言えるかボケ!
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