▼愛は勝つ


「あんた、関係ないくせに口出さないでくんない!?」


「あら、感想を言っただけよ。世の中には表現の自由というのがあるのよお姫様」






 

っあ゛ー…うるっせー…
何こいつら学校に男取り合いに来てんの?
女に暴力なんざクソ野郎のすることなわけで…俺はしないわけよ。でも流石にこれはキツい。俺なんかしたか神様。後輩にセクハラはしたけど。あ、それか。



「あ、ああ、あああの…っ」


「……どうしたよ、いつも以上にどもってんぞ」



前の席から声をかけられて顔をあげる。…珍し、自分から話しかけてくるなんて。
いや俺だって優しくしたいんだぜ?こんなモンスターに挟まれてなけりゃ優しいんだから。……多分。



「い、イライラ、した時に…有効だって、教えてもらって…」


「……あー、あいつ…」



恐る恐る差し出されたパイン飴に後輩の顔が思い浮かんだ。

……にしても、俺なんか怖がられてね?
別にセクハラは後輩にしかしてねーし怖がられる要素ねーと思うけど…。うわー傷付くわー。
 



「ありがと。…なぁ、俺パイン飴も好きだけどさ、もっと有効なのあんだけど」


「えっ、あ、飴三日分あるよ……!」


「え、三日分今消費しろと?スゲー鬼畜な」


「あっ…ご、ごめ…!」


「いや平気。じゃあパイン飴じゃなくてさ、もっと違うもんがいい…あ。」


「う、うん…?」



飴受け取ってその時に手軽ーく繋いでやった。
え?恋人繋ぎなわけないだろセクハラになるから一瞬繋いですぐ離した。




「愛情、ってさ」



誰にも見られてねーからそんな真っ赤な顔すんなって。
マジでセクハラしたみたいじゃん。



「手繋いだら伝わるもんなんだよ」







愛、もらいました。




 


「あああ、あ…あぃ…っ!?」


「そーそー、伝わった?」


「つ、え、だ、だって…!あ、愛、じょ……って…!」


「えー俺超愛込めたんだけど。」


「う、あ…っごっごごごごごめんなさ…っ」


「ま、愛情こもってたからいいや。」

「(もっもももう無理!助けて!恥ずかしさで死んじゃう…!)」


「(うわー真っ赤ー超おもしれー)」






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