▼愛はあるんです


「エク石先輩、今日誕生日らしいですね。なんかしてほしいこととか欲しいもんとかありますか」


「とりあえず名前を正しく呼んで欲しいんやけど」


「エクスタシーさん」


「名前ちゃんそれ名前ちゃうで」


「芸名芸名…嘘ですすんません」



名前ちゃんが自ら俺のトコ来るなんて珍しいなぁと思ってたら…なんや誕生日やから優しく…はしてくれてないな。とりあえずなんかしてくれるらしい。うわ、嬉しい。どないしよ




「でもプレゼントやら何やら沢山貰ってるから余計なお世話か。すみませんやっぱなんでもないです」


「えぇ!ちょ…っ、そらないやろ名前ちゃん!」


「……いや、だって」


「数の問題ちゃうやろ!」


「じゃあなんか欲しいもんあるんですか、あーぁやめときゃよかっためんどくせ」


「俺に対する優しさやな」


「そこらじゅうに転がってるじゃないですか、おまけに下心つきでお買い得」


「名前ちゃんの俺に対する優しさや」


「宇宙で米粒探すより難しいですね」



え、そんなに?
さすがにショックなんやけど…。言葉を失ってたら彼女はおもむろに地面に生えてた雑草ぶち抜いて差し出してきた。え?なんなん?イジメ?



「謙也先輩にリサーチしたところ、あいつ草好きやでって言ってたんで」


「……いや、名前ちゃんあのな、草好きっちゅーか」


「ユウジ先輩に聞いたら「罵ったらエクスタシー言うで、多分」って」


「またあいつか」


「財前君に聞いたら「ドMやからとことん冷たくしたり」って」


「ドMとちゃうわ」


「小春ちゃんは、…「名前ちゃんが話かけてあげたら〜?」って、……だから皆の意見を取り入れてみました」


「なんで財前とユウジの意見素直に聞くん、小春のだけでええんやで」


「…私に話しかけられても、誕生日プレゼントにはならないじゃないですか。」


「せやかて謙也なんかの草好き情報を真に受けたらあかんで」


「じゃあもう十円あげますよ」


「投げやりすぎやで」


「……人の誕生日、祝うのなんてどうしたらいいかわかんないんです。小春ちゃんやユウジ先輩は、一緒に騒ぐし、普通の友達も、皆で騒ぐし……。だから、皆に聞いて、それ参考に…して、みた、というか…………うっわ何ですかそのニヤついた顔ムカつくわ」


「せやなー、これで十分プレゼントやから気にせんでええよ」




不器用すぎるプレゼント。


 



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