▼知らんがな
「えぇと…ごめんな、ちょお急いでんのやけど」
「えー彼女待ちとかじゃないですよね?」
逆ナン発見なう。
……逆ナンしてる女子、よく見ろそれはただの卑猥物だ。ただ優しくてイケメンで気が利くだけだ。……あれ、なんかおかしいな。
まぁいいや、素通りも可哀想だし助けてやるか…。ゲホゴホッと咳してからパーカー深くかぶって逆ナン現場に歩いてった。
「やから、ここ動けへんねん。ごめんな」
「じゃあそこの喫茶でいいじゃないですかぁ、人来たらすぐわかりますよ!」
「白石ー、何しとん早よ行かな愛しの彼女に振られよるでー。こいつ今からデートやねん。邪魔せんとってくれる?」
「え…、」
「なんだー…あ、すみませんでしたー」
「やっぱ彼女待ちかー…」
いかにもランニング中に知り合い見付けて声かけたみたいな。そんな感じ出したらあっさり引いてくれた。
白石先輩は私を凝視して女の子達が去ってから去ろうとした私のパーカーを引っ付かんだ。この恩知らずめ。
「あぁ、やっば名前ちゃんやん。ユウジの声とかやめてや、一瞬ホンマにユウジかと思ったわ」
「そりゃどうも。ここら辺は逆ナン女子がイケメン狩りに来るので気を付けた方がいいっすよ。離して下さい」
「でもユウジにしちゃ優しい言い方やったからすぐわかったで。」
「離してください」
「あ、ちょっと付いてきてくれへん?また声かけられたらあれやし」
「離せいうとんのがわからんのかボケ」
「今の一番ユウジっぽかったで」
腕を引かれてホームセンターに連行された。
なんだこいつ馴れ馴れしいな…本当に助けるんじゃなかった。
「カブリエルのおやつ買いに来てん」
「……は?」
「これがカブリエルなんやけど」
「…………………う、わぁ」
なんか…携帯のカブリエル(カブトムシ)の写メをみせられて彼女出来ても1ヶ月もたねぇだろうな、と思いました。
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