「本当に散々だな、ユウジ君のボール顔面に受けるわ臭い液体まみれになるわ転がり落ちるわ……もう名前木原に呪われてんじゃね?」


「笑えねーなぁ、笑えねーよ…」


「名前がやると不自然w」



あの肝試しの後風呂入ったらとんでもなく体の切り傷が染みた。変な叫び声をあげたら財前君が心配してドアの前をうろうろしていたが流石に帰っていただいた。彼は可愛すぎる。
そして今朝食ボイコットしてコンビニでおでんを買っている。コンビニのお兄さんとはもう仲良しである。



「名前、チョコボールとブラックサンダーどっちがいい?」


「部長がチョコボールで私がブラックサンダーで半分こ」


「可愛い奴め」


「てへっ☆」


「…………ど、どうした?」


「木原先輩の物真似です」


「二度とやるな」


「ごめんなさい」


素直に謝ってコンビニを出る。この前絡まれてからは一人で行くなと言われた。部長は然り気無くイケメンだ。



「氷帝の方の忍足に聞いたんだけどさ、あのパツキン目ぇ覚ましたんだって?」


「あー、なんか木原先輩が好きかわからんーって。」


「それ仁王もだろ?やっぱり惚れ薬なんじゃね?」


「まっさかー…。」



そんな会話をしながらブラックサンダーとチョコボールを分けながら食べてると明らかに私迷いました、みたいな黒髪少年がこちらへ歩いてくる。地図を見ながら首をキョロキョロさせて。部長が声かけるらしい。私は横で見てることにした。



「どーしたんすか」


「あ、…ちょっと、道に迷ってしまって…」



どこまでですか、あぁそれなら真っ直ぐ行けば〜みたいなことをやり終えたら彼はありがとうございます、と頭を下げた。そしてお礼がしたいので近くでお茶でもどうですかと聞かれた。



「…じゃ私先戻りますー」


「え、名前は?」


「え、部長行くんですか?それ仁王先輩っすよw二人でデート?ww」


「え」



先輩をそれ呼ばわりしてしまったが仕方ない。午前の練習行かずに変装して私らを騙そうとなんざするからである。当の仁王先輩は何が可笑しいのか笑っていた。あ、頭がおかしいのか。


「急いで逃げてきたんでしょうね、カツラに銀髪ついてたし、地図を見ながら歩く人が財布だけなんて軽装なのが怪しいし。」


「名前ちゃんは見かけによらず鋭いのぉ」


「先輩は見かけによらず詰めが甘いんですね」


「行こうぜ名前。幸村にちくってやろうぜ」


「もちろんです」



仁王先輩をスルーして歩き出したら、彼からとんでもない台詞が飛び出した。





 
「あの女の化けの皮、剥がれてきとるぜよ」