「松苗先輩…どうしたんですか、その虫の死骸」


「机に入ってたのよ。見当はつくし別にいいけれど……あら、虫がダメなの?」


「そそそそそんなそんなばかなそんなあほな」


「ダメなのね」



私が面白そうだから昼休みに松苗先輩のクラスに押し掛けたら先輩の机の横のちりとりに虫の死骸があって近寄れなかった。木原先輩はいない。部長は突っ伏して寝てる。



「あ、松苗先輩お昼一緒に食べませんか」


「いいわよ。…部長さん、可愛い後輩が来てるんだからそろそろ起きてもいいんじゃないかしら」


「…………」



部長は予想以上に松苗先輩がダメらしい。突っ伏して顔をあげることにはあげたがそのまま無言でまた寝始めた。うわぁ機嫌悪いなぁ…。



「ご機嫌斜めみたいね。彼もそうだけれど」


「…あぁ、丸井先輩機嫌悪そうですよね」


「歪めば歪む程崩れていくものだものね」



部長が苦手な理由はわかる。
確かにずっとは嫌だ。どう反応したらいいのか困る。だが昼休みの間だけだったりとかなら素敵だ。「屋上行きません?」


「そうね、この死骸も捨てたいし」


「お願いします私のいないとこで埋葬してあげて下さい、空から飛ばすとか無慈悲なことしないであげて下さい」


「ふふ、優しいのね」


「むむむ虫がダメなんちゃいます死骸がダメなんです死体やないですか死骸って」



松苗先輩と一緒に屋上へと歩く。虫の死骸は後で片付ける、と言っていた。
屋上は鳥の糞とかあるし掃除してないから人は来ない。私は持参のブルーシートを広げて座布団を二つ取り出した。用意がいいと笑われた。



「松苗先輩、木原先輩と仲悪いですよね?」


「好きじゃないのよ。」


「キッパリ言いますね!あ、アドレス教えてもら……あ」


「どうかしたの?」


「昨日呪いの電話かかってきたんで電池パックぬいてあったの忘れてました。」


「呪いだなんて物騒ね」


「ですよねー…ひぃ!100件!呪いの着信100件こえてる!しっつこ!」


「…ストーカーかしら?」


「…怖いこと言わないで下さい。仕方ないかけ直すか…、すみませんちょっと電話しますね。」


「構わないわよ」



携帯に電池パック入れてから見てみるとユウジ先輩から100件異常着信があって本気でびびった。このうち何件エクスタシーさんなんだろうか…
ワンコール目で出てきたのはユウジ先輩だった。