テニス部の合宿が終わってすぐ、だろうか。部長が私のクラスに入ってきて膝から崩れた。
なんだそりゃ…、と思いながら話をきく。



「うちのクラスに転入生来たんだよ…」


「ほう」


「その転入生キツイ」


「ほう」


「木原がいつもみたいに丸井と仁王のとこいってキャアキャアしててよ」


「ほう」


「それ見て転入生が“お馬鹿さん”呼ばわりしてよ」


「ふっwwえ?ば、ばか?馬鹿呼ばわりですか…凄いな」


「木原と真っ向からぶつかってんの」


「はー…凄いなー…」


「一番可哀想なのは席替えで木原とその転入生に挟まれた俺です」


「……部長チロルあげます」


「うん……」



強烈な転入生がきたらしい。
木原先輩に楯突くとは…凄い強烈な方がきたんだなぁ…。チロルを渡しながらそんなふうに思ってたら派手な音がした。見たらこれまた派手な頭をしたデカイのがいた。うわ、なに何しにきたの。



「名前ちゃん!な、なんなんじゃあの女子…っ、怖い…!」
 
 「触らないで下さい」



仁王先輩の登場でクラスがざわついた。
奴はあろうことか私にすがるような形で腕を掴んできた。………こいつ、わざとだ。ヘタレを知られたくない?舐めやがって、それすらペテンだろ?
こんな風にされて私が振り払わないと知ってるからだ。本当に質悪いなこいつ…。私が睨み付けると薄く笑う。あぁ、もう



「やっぱ名前ちゃん優しいのぉ」


うるせぇ黙れ