狩りを始めて二時間程たった頃だろうか、ドアをノックする音がして返事をすると青学のバンダナ君と桃尻君が喧嘩しながらドアを開けた。何しに来たんだこいつら。


「めっずらしー、桃どしたのよ。」


「あ、部長の青学のダチ?」


「そうそう。」


「えーと!今日肝試しやろうって話になったんスよ!」


「「待て」」



おい待て、予想がつくぞ。



「二人も参加しましょーよ!」


「木原先輩いるならいーじゃん。誰が木原先輩と組むかもめたの?なら木原先輩フル参戦してもらえばいいのに」


「い、いや…それが…」


「大方名前が参加しないなら自分もしないって言ったんだろ?」


「あ、ははは…」



図星らしい。
だがバンダナ君の顔は歪んだままだ。どうしたのだろうか。なんとなく気になってこっそりと聞いてみたら木原先輩が苦手だと言った。ちょ、青学全滅してねーじゃん部長。
なんか疲労感たっぷりだったので愚痴ならいつでも聞くよ!と肩を叩いて桃尻君と一緒に追い出した。

参加するつもりは毛頭ない。



その三十分後、今度は氷帝の忍足様と凄いサーブを打つ鳳君がやってきた。



「あのお嬢さん、名前ちゃん達一緒やないと嫌やって言うんや。俺も名前ちゃん不参加なら出んのやけど」


「なんとかお願い出来ませんか?」


「忍足様が出るなら木原先輩も出るんじゃないですか」


「名前は今日俺の貸し切りだからめんご」



有無を言わさず追い出した。懲りないのか、また十分程したら今度は立海の桑原先輩と柳生先輩がやってきた。どんな人選だ。



「名字、頼むよ」


「不憫だとは思いますが、無理です」


「女性にこのようなことを頼むのは忍びないですが、私達を断っても次々にやってくると思いますが」


「今日名前貸し切りだから、俺が」



無理に行かされたんだろう。可哀想だが追い出した。その後五分もしないうちにノックとエクスタシーさんの声が聞こえた。よかった鍵ついてて。



「行かねーってば」


「ドアも開けんで拒否すんのは冷たいな!」
「お帰り下さーい」


「名前ちゃん手強いなホンマに…。ほら財前、お前もなんか言いなさい。」


「……顔、見たいんやけど」



私はコンマ一秒でドアを開けた。
だがドアの真ん前にいたのはエクスタシーさんで引いた。横にいた財前君がちょっとびっくりしてた。



「財前には素直なんやな」


「財前君とユウジ先輩と小春ちゃん、あと部長には素直です。参加はしません。」


「名前は今日俺の貸し切りだからめんご」


「なんや名前ちゃんって怖いのダメなん?」


「エクスタシーさんがダメです。」


「名前、段々オープンになってきてるけど」



部長に突っ込まれてとっさにすいません、と謝るがエクスタシーさんは傷付いたとかほざいてきた。知るか。




「最終的には幸村君が来ると思うで」


「ドア開けねーし」


「なんでそんな嫌なん?」


「あ、木原先輩は部長が参加したら参加すんじゃないですか?部長がんば」


「名前酷い見捨てんのか、俺だって嫌だ」


「名前参加せんなら俺もしないんで」


「自分等ホンマに何やねん」




財前君まで不参加宣言をしたのでエクスタシーさんは完全にアウェイだ。だが参加するつもりは毛頭ない。
追い出して鍵をしめた。もちろん財前君は一緒に買ってきたお菓子をつまんでいる。



「なぁ、なんでいきなり肝試しになったんだよ」


「俺もようわかりませんけど、青学のやつらがあのマネージャーと騒いでたとこが発端っすわ。昔墓地だったとかなんとか。」


「名前がいねーと参加しねぇってやつは何人いんだろーな。」


「…確か、氷帝の方の忍足さんに立海の仁王さん。」


「仁王もかよ」


「肝試しって何が目的なんですかね。怖がってる木原先輩に抱きつかれるのが目的なのかな」


「キモ」


「くっだらないよね。巻き込むなっての」


「名前財前君にもオープンになったな」


「本当はこんな醜い自分を見せたくはないんです。でももう見られたからいいや、みたいな……やけくそです。嫌われたくないけど仕方ない」


「…………そんなんで嫌いになるわけないやろ、アホ」


「いちゃつきやがって」



顔を赤くして俯いたままアホとか言う財前君が可愛すぎてえびせんをじゃがりこみたいに食べた。
そんな中またノックが響いた。今度はかなり荒々しい。何だと思えば丸井先輩と切原君の声がした。私が参加しないのにイラついているのだろう。奇遇だな、私もそんなアホらしい企画にイラついている。



「……うざ」


「財前君奇遇だね、同じこと思ってたよ」


「どーする、スゲーうるせーけど」


「あのマネージャー名前おらんとやらんなんて嘘やろ。うちの部長が言い寄ったらすぐ落ちるんやからほっとけや」


「つーことで…不在でーす」



ドアの向こうはまた騒がしくなった。