よ、


「あ!あれって写真部の人じゃねーか?お、おい…絡まれてね?先輩達よんで来よう!」



コンビニからの帰り道、明らかに高校生な男二人組に声をかけられた。いわゆるナンパ。クラスメイトの男子に「名字は美人すぎずブスすぎず、一番ナンパしやすい顔」と言われたのを思い出した。



「私より美人がいるんでそっち誘ったらどうですか」


「じゃあその子も呼びいこーよ。」



木原先輩と一緒に行動するなんて絶対ごめんだ。空気読めチンピラが。つーかなんなんだこの仕打ち。木原先輩のストレスに加えチンピラに絡まれるなど、私は呪われているのか。



「ほら、いこーよ」



私の手を引っ付かんだ男に、我慢の限界がきた。





 


「ぐぁあ!」


「ぶっ!」



男二人を投げたのは久しぶりだったので手首が痛い。あぁイライラする。


「うっさいねん、行かんって何度言わせりゃ理解すんのやボケ!女引っかける暇あんならもーちょい痩せろや!両方重いんじゃボケ!それから女引っかけろや!誰もついてこんやろーがな!」



地に伏せた二人にそう吐き捨てて合宿所の方へ体を向けると財前君やエクスタシーやヘタレ、真田先輩とか、青学の人とか、立海の人とか、いらっしゃいました。財前君は目を丸くしています、他の皆もです。




「やから平気言うたやろ、こいつにナンパしても投げられるだけや」


「そやね、名前ちゃん柔道黒帯やったっけ?」


「ううん初段。いや、あの、なんか、助けに、来てもらっといてあれなんだけど、本当に…もう、あの、…………………財前君に見られたぁあ!」


「僕らにはよかったんだ?」


「はい、別に。ざ、財前君には見られたくなかった…!財前君の前だけでは基本的にいい子ぶってたのに!台無しだ!」


「安心しぃ、どっちもどっちやと思うで」



膝から崩れた私の肩に手を置きながらそう言ったヘタレさんは小声になり耳元で「財前は自分の前でめっちゃ猫被ってんで」と言った。財前君が猫被り?なんてことを言うんだ彼は。



「ヘタヤさん余計なこと言わんとって下さい」


「お前も猫被ってんの教えとっただけやろ!ちゅーかヘタヤって何やねん!定着させよーとすな!」



そのままヘタレさんを私から引き剥がした財前君は言い争い(一方的)を始めた。……強いわ、財前君。それに比べてヘタレさん弱いな。



「名前お疲れ。ついてかなくて悪いな。」


「部長のせいじゃないです」


「じゃあおでん食いながら一狩り行こうぜ、皆はこれから夕飯だから」


「部長だいすき」



私と部長のそんな会話が聞こえたのか、丸井先輩と話していた木原先輩がこちらへ来て二人共夕飯こないの?と聞いてきた。バイキング制なのでいかなくても問題はない。あ、そうか部長も顔いいからな。つれてきたいのか。



「あー…うん。俺らパス。名前行こーぜ。」


「ういーす」



気だるそうに返事をした部長の気だるさが観戦して変な返事をしてしまった。

その後、狩りをしながら本気でPSPが欲しくなった。