「近付かないで下さい、忍足様の応援中なんです」


「随分嫌われたのぉ」


「わかってるなら話かけないで下さい」


「謝るからこっち向きんしゃい」


「謝られても許せません、だから謝らなくていいです」



部長が歯磨きしてて頼りなかったので忍足様にあのヒョロ男を倒してもらおうと交渉にいったら練習中なのでフェンスの外で写真を撮っていた。そしたら後ろからヒョロ男に声をかけられた。



「ちなみに私の携帯立海のお三方のアドレス消えてるんで、そっちでも消して下さい。」


「なんで消したんじゃ」


「ユウジ先輩があんなアホとメールなんてしたら感染するって言って消しました」


「名前ちゃんは男に簡単に携帯見せる女やった、ってことか」


「罷り間違ってもあなたには見せません」


「…ここで名前ちゃんが俺らや木原をはね除けたら、もっと名前ちゃんの立場なくなるぜよ。」


「立場なんていりません。本当に怖かったのに、あんな風に言われて。それで適当に謝られて。そんな奴許すくらいならとことん嫌われた方がいいです。」


「―…、」


「あ!忍足様!ヒョロ男が目障りです助けて下さい!」


「懐くとホンマ可愛いやっちゃな。ええで、仁王君最終日の試合俺とやろうや。名前虐められた借り返さな、な」


「忍足様かっこいい!でもなんで名前呼び?」


「ええやん、ちゃん付けも可愛いけど呼び捨てって仲良さげやろ?」


「仲良さげだなんて!忍足様と仲良いなんて光栄です」



忍足様は救世主です。タイミング良すぎます。だからこんなに態度も変わります。
仁王先輩は無表情です。激しくどうでもいいです。



「…受けてたつ、その試合。面白くしなけりゃだしのぉ」


「そない睨まんでもええやろ?名前ちゃん被害者やもんなー、仁王君達の。」


「そうですね一刻も早く忍足様が勝つとこが見たいです。」


「……それ狙っとる?」


「媚売り成功しましたか?」


「いや、言うた時点でアウトやわ。」



 
そう言うと手をヒラヒラさせてコート戻る忍足様。媚売りは失敗らしい。
仁王先輩は勿論放置して部長と一緒にいるべく合宿所にまた走った。