「うん、知ってる。二人からは自分達から名字さんに聞いたって聞いてたし。ミーハーじゃないのは見ててわかったよ。ただ愛美が俺達のこと心配するから確かめたかっただけなんだ。ほら、愛美って心配性でドジだから。怖がらせたみたいでごめんね?」



ここまで心のこもっていない謝罪は初めてである。ここまでムカつく謝罪も初めてである。
とりあえず救世主である忍足様の後ろで大丈夫です、とだけ言った。



「ありがとうございます忍足様、私ここまでタイミングの良い方初めて見ました」


「丸眼鏡からえらい昇進やなぁ……まぁええけど。」


「……あーぁ、名前ちゃんが俺に泣き付いてくるシナリオだったんに、台無しナリ」


「忍足様負の呪文が聞こえてきますどうぞ練習にお戻りください。そしてどうぞあのヒョロ男めを倒して下さい」


「せやなぁ、名前ちゃんの頼みやしいっちょ頑張るかい」


「流石です忍足様素敵です」



こうして私の危機は忍足様によって助けられた。つーか今日で立海嫌いになった。なんだあれ。ほら愛美ってドジだからごめんね、みたいな。なにあれうぜぇ。でも安心したら笑えてきた。だって幸村先輩のセリフを聞いた後の木原先輩の顔wwあれはあかんww美少女でもやったらあかん顔してたww
しかも自業自得なんに私を睨むというねwwもう笑うしかないよねww



「忍足様、今日の午前中の試合のスコアです」


「お、ありがとさん。……ちゅーか、ええん?こんな人前で渡してきて。マネージャーさんごっつ睨んどるで」


「確かに嫌ですが忍足様に助けられた恩を忘れることなかれ」


「仁王君まで睨んで来とるし、なんやオモロイなぁ立海。」


「忍足様ヒョロ男を見たら視力が低下致します、視界に入れては駄目ですよ。伊達眼鏡がマジ眼鏡になってしまいます」


「名前ちゃんって懐くとホンマオモロイな」


「忍足様に精一杯媚びを売ってみました」


「…いや、名前ちゃんのは媚びるっちゅーか…ちゃうねん。媚びるのとはちゃうねん。」


「え、じゃあ私何してるんですか」


「ゴマすり?」


「………なるほど」



そこから頑張って媚びてみるものの全部忍足様の「…ちゃうねん。」で否定されました。
もういいや、媚びる練習やめよ。