「名字さん、こっちで食べなよ」


「そら無理やわ、俺の腕がこいつ搾りきるまで離れへんねん」



食堂について早々、幸村先輩が立海のテーブルを叩きながら私を見た。ひぃ怖い、なんて思ったらユウジ先輩が小馬鹿にしたように笑った。逆効果じゃないのかww



「随分馴れ馴れしい腕なんだね」


「おたくのマネージャーには負けるわ」


「え?なに?」


「ユウジ先輩あかん!幸村先輩怒らせんで!」


「……チッ、…腕が離れたない言うねん、やからコイツ貸せへん」


「私の首も離れたない言うんです、腕と首が相思相愛なんで」


「気持ち悪いね」



喧嘩腰のユウジ先輩をなんとか幸村先輩から離して食堂の隅っこに移動してそこに座った。私の首がさらにしめられたのは言うまでもない。


「先輩、なにしてんすか。名前咳き込んどる離せや」


「俺が離したらコイツあそこの男女に血祭りやで、ええんか」


「財前君相変わらずイケメンだね、でも幸村先輩の血祭りよりユウジ先輩の首しめのがまだマシだから気にしないで」


「…………なんでユウジ先輩に頼って俺に頼らんの?」


「どうしようこのイケメン本当どうしよう、イケメン過ぎてどうしよう」


不服そうにそう言う財前君はあまりにイケメンすぎて戸惑った。頼っていいんですか。巻き込みたくなかったんだよ!と叫んだらユウジ先輩に俺はええんか!と頭を叩かれた。



「あのブスがこいつのあることないこと立海の部長に言うたらしいで。」


「いい加減消えたらええんに、ホンマ消えたらええんに」


「とりあえず隅っこだけどもう少し控えようか」


その後あちらの木原先輩ラブ空気に耐えきれなくなったのか部長と小春ちゃんがこちらへきた。
部長にいたっては木原先輩に私のあることないことを吹き込まれたらしい。



「名前が尻軽のミーハーでレギュラーに手出して練習の邪魔だって」


「自己申告やんか」


「もう本当に帰りましょう先輩」


「帰っても学校同じだからやべーよ」


「私ユウジ先輩の腕と結婚する、だから転校………あ、この三人以外は皆木原先輩ラブですよね、意味ないですよね」


「きしょい」


「にしても自己申告してなにが面白いのかわかんねーわ」


「消えたらええのに」


「財前君がイケメンこじらせて同じセリフしか言わなくなりましたユウジ先輩」


「知らん。」


「名前ちゃんに手ぇ出そうとするなんて、イケナイ子やわ〜」


「つーか名前見てたらミーハーじゃねぇことくらいわかんだろ。幸村も落ちたな何が神の子だよ。アホの子だろ」


「ちょっと待って下さい、隅っこだけど控えようか」



笑えない。もうどうしようかな、と思ってたら昼食時間はあっという間に過ぎた。そしてユウジ先輩に引きずられながらコートへ連れてこられた。立海よりはマシだがエクスタシーとヘタレは木原先輩ラブなので怖い。他の方々も木原先輩ラブだし怖い。私に危害が及ぶかもしれない。笑えない。



「…名前、」


「ざざざざ財前君…私の余命が残り少ないかもしれない」


「なんかされそうになったらユウジ先輩やなくて俺んトコ来るって約束やからな。」


「め、迷惑じゃ…」


「迷惑ちゃうわ。……俺が笑たら名前も笑う仲やろ、遠慮なんてすんな。」


「うっ…財前君イケメン過ぎて惚れそうだからそれ以上優しくしないで…惚れる」


「……………惚れたらええやろ」



顔を赤くして俯きながら言う彼は可愛すぎてどうしようかと思いました。可愛すぎです。財前君をコートに見送り部長の元へ走ると彼は林檎をそのまま貪っていました。



「部長なにしてるんですか」


「林檎片手で割るパフォーマンスして強いんだぞっていう主張すんだよ。うちの後輩に手ぇ出すなって意味で」


「先輩イケメンすぎる、でも林檎小さくしてるの面白すぎるww」


「だって割れないんだもん」



 
なんだこいつら可愛いな