「名前ー」


「はい?」



部長に呼ばれて振りかえったら部長と青学の方が一緒にいた。家族だ、家族がいる。


「青学全滅。」


「全滅はやめてあげて下さいww全員木原先輩が好きなだけでしょw」


「全滅じゃん」


「確かにww」


「ガチ度が高そうで面白くねーや」


「あぁ、跡部先輩と幸村先輩みたいな。」


「んで、名前ちょっと」




皆の輪から離れて部長に引っ張られる。大人しくついていくと、部長は酷く顔をしかめていた。



「ドリンクって粉から作るじゃん。それからボトルについでさ」


「はぁ…」


「あいつ、跡部さんの家の人に市販のスポーツドリンク買わせてそれ入れてるらしい」


「わぁ凄い、味は保証されてますね。」


「立海の仕事マトモに出来てないのに違う学校のドリンク届けに行ったりしてんだって」


「博愛主義なんですね、多分」


「スコアの付け方何度教えても間違えるんだってよ」


「ドジっ子炸裂ですね、何回教わったんだろ」


「んで、仕事が終わってなくて手伝わせるなんてしょっちゅうらしい」


「好きで手伝ってるんでしょうよ」


「おかしいと思わねーの?こんな仕事出来ねー女を好きだからってだけで放置しねーだろ」


「そこは思いますけど、部外者ですし」


「だな。でも見てるとマジムカつくんだよ、木原のやつ」


「どんまいです」


そんな会話をしてたら後ろに気配を感じて後ろを向くとにっこり笑っている丸眼鏡がいた。嫌な予感しかしない。



「せや、立海のマネージャーさん使えへんねん。名前ちゃん手伝ってくれん?」


「写真部なんで」


「俺だけでええんやけど。」


「意味がわからんです」


「跡部があの子に試合のスコアとらせるんやけど、完全に間違えてんねや。俺の試合だけでええからスコアとっといてくれん?」


「そんなことしたら木原先輩が“私がスコアとってるのにあのブスしゃしゃりでてくるの”とか言い出すかもしれないじゃないですか。」


「あ、名前ちゃんスコアのとりかたわかるん?やったらホンマ頼むわぁ。次あのお嬢さんに媚ながら謝られたら暴言吐く自信あるわ」


「それはそれで面白いので別に」


「誰にも気付かれずコート見渡せる場所あるんや。そこからでええし、誰がとったかなんて教えるつもりもないで。」


「見返りは?」


「せやな…、名前ちゃんケーキ好きやろ?ごっつ美味いケーキ屋さんあんねんけど……それじゃあかん?」


「乗った。」


 
安い女と言われてもいいや。