「んで、仁王先輩。誰だと思いますか木原先輩の本命」


「さぁ…どうかのぉ。振られたからわからんナリ。」


「拗ねないで下さいよ可愛くないから。あ、幸村先輩とかキスマークつけてんじゃないですか。そこまで進んでるの幸村先輩だけなんじゃ…」


「……お前さん、振った男にどう接する」


「気まずいから避ける。表面上は避けませんけど必要以上には関わりません」


「それが普通じゃ。」



私の目を見て言う彼はどうにも機嫌が悪いらしい。
にしても振った男に関して聞かれるなんて。まだ未練があるのかこいつ。



「振ったくせにベタベタしてきよるんじゃ、あの女」


「……それは、えっと…、好きな子にベタベタしてもらえて良かったですね?」


「笑えん」


「いえ私にはとてつもなく面白いですwwつか、惚れたり嫌ったり詐欺師は忙しいんですねー、流石軽い尻ですね」


「全くじゃ。俺も木原より名前ちゃんに先に会っとれば、あんな女惚れんかったのに」


「………」



嫌味に、口元を上へと綺麗に歪ませた仁王先輩は言葉を失う私を見て笑みを深めた。…こいつ、昨日の私と丸眼鏡の会話聞いてやがったのか…。
ムカつく。やっぱりこいつ好きやない。



「女の一人もマトモに愛せない奴に言われてもきっしょいだけっすわー。…これはないな。財前君の真似クオリティ落ちたな…」


「ふざけんと真面目に聞きんしゃい。」


「つまんないから聞きたくないんですが」


「面白いぜよ。あの女、見てると苛つくきマネやめさせたいんじゃ」


「協力なんてしませんけど、面白そうなんで見てますよ」


「止めないんか」


「悪影響があるからやめさせたいんでしょ?気に食わないからやめさせる、なんて…そんなダサ男君じゃないでしょ先輩」


「……やっぱ名前ちゃんえぇのう。欲しいな」



にやり、という言葉が似合ってる。
欲しいって言葉、わけがわからなかったが嫌な予感がしたのでスルーした。



「俺が名前ちゃんの満足いく程面白くしたら、キスしてええか」


「唐突すぎますね。いいですよ別に」


「は…」


「私の満足いく程、でしょ?仁王先輩にそこまでの技量があると思ってないし、ましてやファーストキスだなんてわけじゃないんで」



私のセリフに顔を手でおおって笑う仁王先輩。ムカつくな、殴ってやろうか。



「絶対、手に入れてやる。賭けてもいいぜよ」



「精々頑張って下さい」



やる気のない応援をする。彼は満足したのか、立海の人達のところへ戻った。