真田先輩の近くならあの二人もお菓子を狙いに来ないだろう、と安易な考えで真田先輩の近くに行ったのが間違いだったんだ。



「なんだそのシャツは!肩が丸出しではないか!」


「キャミソールって言うんです。れっきとした私の寝間着です」


「そんな薄着で足を出して何を考えてるんだお前は!」


「暑かったんで…」



どうして頬を染めて怒られなければならないのか。全く酷い話だ。スケスケのエロいキャミを着てたなら見苦しいという理由で怒られるかもしれないが私のはいたって普通の、寝間着などにも使用されるやつなので問題ないはずだ。私の機嫌が底辺まで来た時声をかけられた。



「まぁそんくらいにしてやったらどうや?名前ちゃんめっちゃへこんどるし」


「む…白石か」


「あ、あとちょっと名前ちゃんかりたいんやけどええかな?」


「真田先輩の説教があるのでレンタル不可です。」



私の言葉をシカトして真田先輩は次から気を付けろ、と言うと幸村先輩達の方へ行ってしまった。裏切りである。彼はほな行こかーなんて言って私を引っ張る。こいつ、苦手だ。



「連れてきたったで財前。お前もうこれで大人しゅうせぇや」


「……うっざいわ部長」


「あれか、木原先輩にズバズバ言う財前君のストッパー的なノリですか、私は」


「せや。こいつ愛美のこと男好き言いよって、訂正せぇへんねん。名前ちゃん叱ったって!」


「無理っすよ私の中でエクスタシーさん<<<<<<<<その他<<<<何が起きても絶対越えられない壁<<<<<その他<<<<<<<<ユウジ先輩、小春ちゃん<財前君ですから。」


「いらん情報をありがとう。ストレートに嫌い言うた方がまだ傷付けんってようわかったわ」


「その他に二度も負ける部長に何言われても何も思わないっすわ」


「急に元気になりよって……」



エクスタシーさんが溜め息をついたところで私は止めに「男好きかどうかなんてその人の感じ方次第ですよ。」と言った。つまりは財前君に媚ってエクスタシーさんには媚ってない、あんた望み薄いんじゃねぇの(笑)って意味だったんだが、奴は理解しなかったらしい。


「せやんな、財前は俺や謙也と居る愛美を見とるからそんなこと言うんやな…、財前お前明日愛美と話してみぃ!考え方変わるで!」


「部長が変えた方がええっすわ、どんだけポジティブやねんキモッ」


「良かった、財前君には私の意図が伝わったんだね。財前君に媚ってエクスタシーさんには媚ってない、あんた望み薄いんじゃねぇの(笑)っていう暗黙の嫌味を」


「それ口に出した瞬間から暗黙ちゃうし!望み薄いってなんやねん、パーフェクトに立海から愛美奪ったるわ」


「何学校単位で言うてんすか。あんなんいらんやん」


「私じゃなくて幸村先輩が相手ですけど精々頑張って下さい。望み薄いだろうけど。つーかないだろうけど」


「謙也ー!後輩が二人共絶対零度なんやけどー!」



私と財前君の辛辣な言葉に丸眼鏡と話していたパツキン先輩を呼んだエクスタシーさん。なんだろ、この人苦手だしカチンとくるから言い返してしまう。



「何やねん白石」


「名前ちゃんまで俺に冷たいねん。絶対財前のせいやで」


「知るか!俺に言わんと財前に言えや!」「ちょっと財前と名前ちゃん明日から離してこれ以上似せんようにしときや。俺は幸村君に明日の朝愛美かりるよう言ってくるわ」


「そ、そか…頑張れよ。」



エクスタシーさんがほなな!とか言って幸村先輩のところへ駆けていった。それと入れ違いにパツキン先輩がこちらへきた。


「自分白石に何か言うたん?なんか冷たいだの何だの騒いどったで」


「木原先輩は財前君に媚ってエクスタシーさんには媚ってない、あんた望み薄いんじゃねぇの(笑)ってオブラート包んでいいました」


「包めてへん!刺剥き出しやん!そら財前と似てきた言われてもしゃーないで!」


「えへへ、光栄です」


「褒めてないで!?」


「え、財前君と似てるとか最上級の誉め言葉ですよ、パツキン先輩」


「…忍足な。忍足謙也言うねん。パツキンはやめぇや」


「ヘタレヘタヤ言うんや、近寄ったらヘタレになるからあんま近寄るんやないで」


「財前お前誰がヘタレやねんっ!」


「ヘタヤ先輩」


「アカンー!なんやねんこの異様なタッグ!小春ー!従姉妹なんやろどうにかせぇや!」



私が財前君に便乗したら忍足先輩は小春ちゃんを呼びにいった。小春ちゃんはまだ仁王先輩に引っ付いていた。笑える。