「つか、流されたけど名字のガチ好みが知りたい。教えろよぃ」


「は?」



私がおでんを完食してお菓子に手をつけていると丸井ブタ先輩…間違えた丸井先輩がお菓子をたかりにきた。その時の言葉がこれだ。



「じゃあ…切原君?だよね、お菓子あげるからちょっと来て」


「なんだよ」


「切原君のクラスの葵君が好み。丸井先輩これで満足ですか」


「ちょっとガチ度高すぎだろぃ。葵って誰だよ赤也」


「…あ、クラス委員?マジかよ、あんなの好みなのかよお前」


「そう、クラス委員。私にはちょうどいいんだよ。適度に優しいし、適度な顔だし。」


「だからどーいう奴か聞いてんだけど」


「サッカー部の補欠ッスよ。勉強は多分それなり?英語の補習はよく一緒になるッス。…顔は………普通、か普通以下」


「切原君って結構言うんだね」


「なんでそんなの好みなわけ、名字」


「それは私が丸井先輩達に何で木原先輩が好きなのか聞いてるようなもんですよ」


「違ぇだろ!愛美先輩は美人で優しいだろうが!」


「切原君よ、イケメンのものさしではからないでくれたまえ。私は身の程をわきまえているんだよ。私くらいには葵君くらいがちょうどいいの。」


「あー…なんか納得した。」


「君本当に結構言うんだね。」



切原君がズバズバ言う子だと言うのがわかりました。そのあと二人して葵君との仲を取り持ってやろうか、とニヤニヤしながら言ってきたので困った。こいつらに任せた日には悲劇が起きるに決まっている。


「てか、勘違いです。葵君は理想には近いから好みだけど、好きとかじゃないし」


「はぁ?お前めんどくせーな」


「じゃ理想ってどんなんなんだよぃ?」


「まず黒髪。そんで成績中間くらいで顔もフツメンくらい。んで適度に優しい人。」


「いくらでもいるじゃねーかそんなの!」


「ストライクゾーン広すぎだろぃ!」


「身の程をわきまえている一般女子の理想はこんなもんですよ」


「ふーん。つまんねぇ」


人の好みを聞いておいてつまらないといった切原君にカチンときた。どうして木原先輩が好きなのか問い質すことにした。


「切原君、なんで木原先輩に惚れたの?キッカケ教えて」


「はぁ!?なんでお前に…っ!」


「赤也、先輩命令だかんな!答えろよぃ!」



丸井先輩にそう言われて苦虫を食い殺すような顔(笑)をした切原君は話し出した。



「……そりゃ愛美先輩美人だし…それに……、あ、あ…?キッカケ…?なんで好きか…?」


「誤魔化してなよぃ赤也!」


「ち、違うッスよ!じゃあ丸井先輩はなんでなんッスか!?」


「そんなもん!決まって……、キッカケ?…キッカケ、か…」



なんか二人して悩み出してしまった。なにしてんだ。
結局顔か、キッカケ顔か、とやさぐれた思考をしてお菓子を摘まむ。ユウジ先輩に骨盤割られかけたし後でなんか奢ってもらお。