「で、君ら木原の何が好きなの?」


「愚問だね」


部長の言葉に幸村先輩と愉快な仲間た(以下略)が突っかかった。他の皆も愚問だと言いたげである。私は思わずおでんに咳き込んだ。


「一人一人言うとうっせーから学校ごとにまとめてww」


聞いといてそりゃねーわww
そう思いながらおでんの卵をつつく。隣の財前君にパツキン先輩が話かけにきた。



「財前、一応聞くけど…愛美の好きなトコは?」


「あるわけないやろ。わかっとるなら聞かんといて下さい」


辛辣である。
横の丸眼鏡にも帽子をかぶった人が聞きに来た。


「…忍足。」


「あぁ、俺は数に入れんといてや。別に好きやないし」


「…だろうな。ま、いーけどよ…」


こちらも同じようなもんだった。近くにいた仁王先輩にもあの赤い髪の先輩が聞きに来ていた。振られた奴に何をww無神経なww五分程後に話がまとまったらしい。茶髪のイケメンが喋りだした。確か青学の人だ。



「じゃあ僕達からいくよ。乾。」


「俺達の意見で共通しているのは“可愛らしい”だな。」


「え、どこが?」


「部長ww」



青学の眼鏡の人の言葉に部長が素直すぎる疑問を口にした。
ちょっと笑ってしまったのは仕方ないと思う。その部長の言葉に青学の人は一斉に説明しだした。


「ドリンクとタオル忘れたりとかドジっ子でイイし!」


「仕事出来んだけやろ」

「それボケとちゃうん?」


両隣からの突っ込みに腹の中で爆笑しながら何事もなかったかのように聞き流した。そして青学の人をおちつかせて次に行く。名乗りをあげたのは氷帝だ。



「なんと言ってもあの勝ち気な性格だな。俺達にも気劣りしねぇ、あの強気な態度がいい」


「あれは図々しいだけやろ」


「あー触られんのうざいっすわ」



またしても横の二人が突っ込みを入れるので面白かった。卵を口に入れて租借しながら笑いをこらえる。
次は立海のようだ。立海は真田先輩が顔を赤くしている。可哀想に、なぜ来たんだ。



「立海での意見は全部バラバラでね。俺は彼女が王者・立海に相応しい威厳と風格を持ち合わせていると思っているよ」


「はっ」



幸村先輩の言葉に一瞬静かになったところに財前君が思いっきり鼻で笑った。幸村先輩めっちゃこっち睨んでるよ怖いんだけどww


「威厳…?威嚇の間違いちゃうん?近視やろあの人。」


「財前君私の大切にとっておいたうずらの卵あげるからそれ以上幸村先輩に喧嘩売らないで」


「おん」



幸村先輩のオーラが怖くて財前君にうずらの卵を与えて大人しくした。怖すぎだろあの人。というか、さよならうずらの卵…。



「あ、ごめん箸一膳しかもらってないや」


「ええよ」


「カップルみたいなことになっていいですか」


「……」



私がそう言うと顔をそらしてしまった。やっぱり嫌だよねごめんね。そう声をかけようとしたら横から丸眼鏡に声をかけられた。



「初やなぁ。じゃ名前ちゃん俺になんかくれん?」


「なん「天才かなんか知らんけどあんま調子のんなや」」


「……」
「……」
「……」



私が否定する前に財前君が睨み付けながら威嚇するのでいたたまれなくなった。おでんが冷める。その空気から脱却すべく四天宝寺の方々は木原先輩のどこが好きですかと聞いてみた。
パツキン先輩に苦笑いされた。なら助けろ。