「名前ちゃんどうせ暇やろちょっとお願いがあんねんけど」


「手が痙攣する程忙しいです」


「わざとらしいなーホンマ」



私が真面目に写真を撮っていたらエクスタシーさんが声をかけてきた。いい印象はなかったので断ろうとしたらフェンス越しにすっごいにこやかに睨まれた。



「うちの部員なんやけど、でっかいモジャ男がおんねん。そいつ探してきてくれん?」


「私優しくないから断っていいですか」


「連れてきてくれたらええコトしたるんに」


「ええコト?」


「マッサージしたるで。」


「ふっふwwええコトがマッサージってwwなんやそれ、罰ゲームやんww」



つい噴き出して突っ込んでしまったんだけれど、彼はそれを信じられないと言うように驚いてこちらを見てる。こっちが信じられないわww


「じゃあされたくないんなら連れてきてや」


「ちょうど暇なんで行きますよ」


「………ホンマええ度胸しとるわ」



カメラを首から下げていざ出陣。…ん?でっかいモジャ男?さては私をトトロ呼ばわりした奴か。よしまた木にでも上って見てみるか。……トトロも木に上ってるシーンあったなww
そんなことを考えながら遭遇した時の木に上る。上から見てみると中庭になってるところにねっころがる人が見えた。あれか。飛び降りて中庭に向かう。見覚えのあるモジャ男だ。



「あの、四天宝寺の人ですよね?エクスタ…部長さんが呼んでますよー」


「…トトロ、」


「なんでやねんww」


「…今のテニスは状況が悪かよ、これじゃ俺の本気ば出せんばい」



頭に向かって声をかけたら目だけ動かしてこちらを見た。そう思ったら居心地悪そうにすぐそらされた。


「つまり戻りたくない、と。何が嫌なんですかー?」


「……あの子はなんばしよっとね?」


「…あの子って美少女で超モテ子な人ですか?彼女は立海のマネージャーさんですよ」


「白石も皆も何があってあの子に寄ってくかわからんばい。…得体のわからんもんに飲み込まれそうな、そんな気分になる……」


「…つまり彼女がいるから嫌だと」


「……正直、そうなるたいね」
「甘ったれんなーww」

「な、」



「どんな状況でもテニス出来るんだからいいじゃないですか。彼女のことを抜いたらめっちゃいい条件でテニス出来るんだし。皆待ってますよー」


「……テニスが出来る、…」


「頑張れるのに頑張らない人は嫌いです。私みたいに手遅れになりますよ先輩。」


「………君はどぎゃんしたと?」


「…言えません。」



眉間にシワを寄せて嘲笑するように笑う。
こういう人はちょっとプライベート的なことをちらつかせてこっちは心を開いてますアピールしてからじゃないとな。こっからどうにか連れていかないと私のマッサージの貞操(?)が危うい。




「…どっかのマネージャーさんばしよると?」


「申し遅れました、私立海の写真部の部員です。今は四天宝寺の写真撮らせてもらってます。」


「なら行かなきゃ損ってことやね」


「え?来てくれるんですか?」


「連れに来たんじゃなか?」


「そうなんですけど、やけに素な…っななな!」



彼は私を担ぎ上げるとテニスコートへ向かった。もういいや歩くの疲れたし担がれよう。にしても高いな。


「あの、」


「ん?」


「肩車してくださいwwww」


自分でそりゃ無茶だと思って言ったので笑いながらも顔がひきつっていたのかもしれない。それを彼はなんのトラウマがあってそれがどう私のカゲとなって私を苦しめているか知らないが自分で良ければ肩車でもおんぶでもしてくれる、と言った。


何言ってんだこいつww



「うっおっ」


「頭掴んでいいたい、落ちたら危ない」


「うおぉぉ高いな…ってか…」



肩車をした彼はこの体勢疑問に思わないのだろうか。
私はバリバリ膝上スカートで太もも超見えてるしその太ももで彼の顔(正確には首)を挟んでるわけだ。しかも高くて怖いから顔(正確には後頭部)に抱き付いてる。
いかがわしく考えられないこともない。




「……いや、純粋に考えよう」


「?」



だってなんか可愛いんだもん…