「……なんやねんそれ」

「おくら(生)のおくら(生)あえです」


「こんのドアホがぁあああ!」



食堂の前でユウジ先輩におくらを差し出すとまた怒られた。そのユウジ先輩を小春ちゃんが宥めている。いい従兄弟を持って私は幸せです。



「愛のなんちゃらかんちゃらぜんざい作ったらおくら忘れてたとかじゃないんで許して下さい」


「お前から愛とか聞くとさぶいぼ立つわ!ちゅーか絶対そうやろ、あ゛?」



滅茶苦茶機嫌の悪いユウジ先輩を不思議に思ったが、まぁいいや。



「ユウジ、ダブルスで財前と謙也に負けてん。機嫌悪いんそのせいやで〜。」


「うわ、エクスタシーさんだ」


「……自分ええ度胸しとるなぁ。エクスタシーさん言うのやめや。白石な。白石蔵」

「部長邪魔っすわ」



四天宝寺の人が一番最後に食堂に入る様でぞろぞろと来たのでびっくりした。エクスタシーさんに邪魔と言ったのは財前君で、目があった。



「……」


「……」


「……」


「……」


「…だぁああ!なんか喋れや!!付き合いたてのカップルか!……ぎゃぁああ!財前が照れとる!あ、ありえん!」


「光顔赤いでー!」


「うっさい皆早よ中入って下さい、邪魔っすわ謙也さん」


「何で名指しで邪魔言うたん!?」



こんな会話をしながら四天宝寺の方々が食堂に入ってく。あ、やべ愛のなんちゃらかんちゃらぜんざい渡すタイミングなくした。どうしよう。焦りが出たら、横から声をかけられた。



「入らんの?」


「あ、待っててくれたの?流石財前君、ユウジ先輩とは違くて優しいね。」


「……」


顔をそらされた。
調子に乗るのはやめることにした。機嫌をとるために愛のなんちゃらかんちゃらぜんざいが入ったあのパカッてやつをあけた。



「愛のなんちゃらかんちゃらクリームぜんざいです。お納め下さい」


「……わざわざ、作ったんすか」


「レシピ見せてもらったから。あれか、盛り付け汚いか。ごめんね」


「…いや、…」


「…ど、どうなさいました」


「……先輩らに、勝ったんで」


「おぉ、おめでとう」


「……なんかあったら言えや、隠されるとめっちゃ傷付く」


「え…えっと…クリームぜんざい作ってたらおくらしっかり忘れてたんだ。だからそのまま出しちゃった」


「……そういうんやなくて」


「………あ、そんな腫れてる?」


「めっちゃ」


「なんてこった…パシりチャラだな。」


「それがええわ」


「じゃこれお納め下さい。私先輩に本格的にカメラ使い方教えなければ…。じゃあね」


「あ、」


「え、」


「「……」」


「………アドレス、入れたいんやけど」


「あ、うん」



財前君は通り過ぎようとした私の手を掴んだ。それがアドレスか。なんだこのイケメン可愛いな。







 


「誰やあれ」


「無愛想で可愛げゼロの無気力財前はどないしたん」


「本物の財前どこ行ったんや」


「可愛いこぶりすぎやろなんやあれ」