「告白ェ…」


 
つい呟いた。あれは確か私と同い年のレギュラー、なんとか君。まさかぜんざいの素を買ってきた帰りに告白にはちあうとは。音を立てないように壁に隠れた。



「俺、他の先輩達よりガキかもしれないっスけど…」


「そんな…赤也は頑張ってるよ!」



好きなんです。

その言葉と一緒に彼は走り去った。だが木原先輩が退かない。頼む早く行ってくれ、おくらが待ってるんだ。というか出入口で告白すんな、邪魔やんけww見られても何も言えないぞww



「はー…いいや裏から回ろ」


「うちの部員が悪いな。場所を選ばないらしい。」


「ぐっほぉ!」


「ほう、名字は予想に反して野太い声を出すのか」


「予想外してすいませんww」


私が裏に回ろうとしたら声をかけられた。三強の幸村先輩と真田先輩じゃない人だ。なんて失礼な覚えかただろうかww



「買い物か。お前は四天宝寺の一氏ユウジ、金色小春、財前光と随分と親しいようだな。」


「小春ちゃんの従兄弟でユウジ先輩のパシりで財前君の同級生です」


「避け方が上手いな」


「んなことより先輩は木原先輩に告白してこないんですか」


「一番最後に好意を伝えた相手の告白が印象に残る確率87%」


「頭脳プレイwwじゃあ頑張って下さいね」


「あぁ」



なんか伏し目すぎて怖いのでさっさと離れた。あの人が一番最後に告白すんのか…。つーことは今はもう丸井先輩に幸村先輩、仁王先輩…それにさっきのワカメ君が告白したのか。
そして仁王先輩が振られた、と。ざまあないww本命誰なんだろ、めっちゃ気になるwwそんなことを考えながらにやにやして厨房まで行くと背の高いカッコいい美人さんがいた。コックさんの格好だ。


 

「君が坊っちゃんの言ってた子?」


「あ、はい。おくらをいただきにまいりました。あと一瞬厨房を借りたいんですが」


「そのためのテストしたげる。料理とは?」


「愛です」


「よろしいいくらでも使いなさい」



頬に“愛”という刺青がしてあるコックさんに許可を得た。なんてわかりやすい方なんだろうか、さすが跡部先輩関連。



「へぇ、ぜんざい作るんだ」


「はい。イケメンの好物らしくて」


「美味しいレシピあるけど見る?」


「ぜひお願いします」


「はい『愛のヘルシー豆腐入りクリームぜんざい』決め手は“愛”」


「愛ってww……ってこのレシピめっちゃ見た目可愛いーめっちゃ美味しそうですね!」


「愛を込めればさらに美味しくなるわ」


「が、頑張ります」


「じゃあ私はお昼作るから。」


「邪魔しないように気を付けます。……というか、お昼の準備が終わってからしますよ私。明らかに邪魔ですよね」


「え、それ結構手間だけど…大丈夫?」


「頭に叩き込んだんで大丈夫です」



そのままレシピを眺めて頭に叩き込む。そんなことをしていたらどんどん美味しそうな料理が出来上がっていく。それを食堂に運ぶのを手伝ってまた厨房に戻る。洗い物を手伝ってからレシピ通りにさっさとやる。


「おぉ…美味しそうじゃない愛があるわ」


「愛っすかww」


「おくらどうするの」


「………………」



 
とりあえず生のおくらとあの高級な料理をカパッてやるやつにぜんざいを入れて持っていこうと思う。