「昨日自分の笑い声めっちゃ響いとったで」


「パシりに来たんですから許して下さい」


「忠告しといたるけど、財前はやめとけや。お前じゃレベルちゃいすぎて財前が飽きて捨てられんのがオチやで」


「………ユウジ先輩…」


「一応やし!小春が言うからやし!心配とかやないし!勘違いすん…」


「誰があんなイケメン恋愛対象にすんですかwwイケメンはイケメン、フツメンはフツメン、私はユウジ先輩、決まっとるやないですかwwなに心配してんですかー!もう、ユウ君てば、かーわーいーブベバッ」


「きしょいんじゃボケェエエ!」



全国区のテニスボールが顔面に食い込んだ。あまり調子に乗らないようにしようと誓いました。


 

「何や自分めっちゃおもろい顔してんな。」


「エクスタシーさん程ではありません。」


「え?何?」


「ぎゃああ!腫れてるとこ押すとかイジメ!早くテニスコート入って下さいよ!」


「まだ練習時間ちゃうし?うわー何したん?知っとるけど」


「あ、木原先輩」


「時間までには戻るわー!」



「ふっ、ちょろいな」



テニスボール型に腫れた頬に叩きつけるように渡されたハンカチを当てる。小春ちゃんからは氷をもらった。ありがたい。根性のない頬っぺたしよって!と怒られた。いや本気で痛い。ユウジ先輩照れ隠しマジパネェ。



「何やねん、これ」


「……う、わ…。びっくりした…」



ハンカチを押し当てた手を結構強く掴まれてマジでびっくりした。
横を向けばイケメン。イケメンは心臓に悪い。



「どうしたか聞いてんのやけど」


「えっと、悪ふざけが過ぎたっていうか…」


「誰」


「え、」


「壁打ちして自分でぶつける程アホちゃうやろ。誰にやられたか聞いてんねん」



なんか知らんがめっちゃ機嫌悪いですどうしよう。え、なに低血圧なの?こんな態度変わるもんなの?若干混乱してたらユウジ先輩が私を呼んだ。



「おくら買ってき。そんでなんか作れや」


「パシりの扱いが酷すぎると思いませんか」


「それがパシりやろ。小春ー!財前サボっとるで!こんなんと浮気しなやー!俺がおるやんけー!」


「アタシは嫌よ〜」



小春ちゃんマジ素敵すぎんだろ、とか思ってたら掴まれたままだった手の力が緩まった。エクスタシーさんが私の手を掴んでいる財前君の手を掴んでいる。なんだこの二人できてんのか。



「財前、練習始めるで。手ぇ離し」


「………」



財前君は思いっきり手を振り払ってコートに戻った。やっべ超嫌われた。あの時ユウジ先輩からかったらボール飛んできたって言ったらよかったんだろうか。それはなんか違う。



「ユウジにぶつけられた言うたらええのに」


「いやあれは悪ふざけが過ぎた私のせいでもあるし。」


「庇うんや?」


「いや庇う庇わないの話じゃない、気がします。それになんとなく…あ、おくら買ってこよ」



コンビニにおくらあるかな…ないよね…。どうしよう。望み薄だけどコンビニとかスーパー行こう。そう思って合宿所の出口に行こうとすると青学を任せた先輩が携帯で撮っていた。借りたカメラどうしたww



「え、なにその顔」


「先輩酷いww」
「どうせあの緑の人にちょっかいかけてテニスボールぶつけられたんだろ?」


「な、なんだと…」


「こっからぶつけられるとこ見えたから」


「なんてこったww」


「パシりだっけ?」


「そうなんです」


「ぶふっ」


「部長きらいww」


「ごめんってwwつか、結構腫れてね?女なら引きこもるレベルで腫れてね?」



「まじですか」


「俺なら引きこもる」


「どこの乙女ww」


「まぁまぁこのひょっとこの面でも被れば目立たないから」


「悪目立ちwwめっちゃ悪目立ちしますよww」



結局手にひょっとこの面を持たされた。あ、おくら…。もう跡部先輩にここにおくらはありますかって聞こう。そんで厨房ちょっと借りよ。図々しいが仕方ない。まぁ跡部先輩アホ…ほめたら結構乗ってくるし大丈夫かな…。


私はひょっとこの面を装備して氷帝のコートへ向かった。