午後は部長の言い付け通り四天宝寺を撮りに来た。だけども私の心臓が大変である。ユウジ先輩を撮ろうとすると手が震えるのだ。手ブレだらけである。

ちょっと落ち着こう。



「……さすがにパセリだけだとお腹空くな…」



自分のお腹に手を当ててみる。……まぁ、そりゃ、あんだけ食べれば太るわ。
コートから離れて木に寄りかかって携帯開く。近くでやったら絶対怒られるし。
なんとなくメール読み返してて、小春ちゃんの後にあったユウジ先輩の文字を見付けた。




……………なにこれどうしよう


また顔が熱くなってきた。なんだ病気か?
これじゃまるで恋する乙女………は?恋?鯉?鯉って食えんの?

え、まってなにそれ、私ユウジ先輩をそういう目で見てないぞ。


…そういう目で見て、なかった………
抱かれてそういう目で見るようになったというか…抱くだと語弊があるな、抱き締められて、だ。
…………だ、抱き締められて?




「うぎゃああ!なにそれ身体目的ぃい!最低すぎる…確かに人並みに興味は持ってたけど痴女じゃないはずなのに!さ、最低すぎる……、忍足様でさえもったいないわ…こんな女…うぐぐぐ、微生物さんごめんなさい食物連鎖の上にいるくせにこんなグズでごめんなさいぃぃ」


「名前」



誰もいないと思い私が半泣きで足をジタバタさせていたら名前を呼ばれて驚いた。
タオルを頭にかけた財前君がいて驚いた。それと同時にユウジ先輩じゃなくて安心した。



「ど、どうしたの財前君」


「……ユウジ先輩が呼んでんで」


「まじでか!私ちょっと用事思い出したから行っふほう!?」



ユウジ先輩が呼んでるとか聞いたんで今はキツイから逃げようとしたら財前君の足に躓いて変な声を出してしまった。思いっきりすっころびそうになったが腕を掴まれたので助かった。

……い、今の…わざと…やったようにみえた…



「ごごごごめんね財前君足長いから私がぶつかりにいったんだよね!ちょっと用事思い出したからユウジ先輩にはいないって言ってくださいごめんなさいぃぃい!」



とりあえずユウジ先輩に見つかりたくなくて財前君の腕を振り払って逃げた。