朝食が終わって立海のコートについてって練習が始まる。本格的に一人だ。
部長とられたからなぁ…くそうエクスタシーめ…。何が女嫌いだ…男子連れてくりゃいいじゃんか…つまんないぞ。
つまらないと時間は遅く感じるものである。

かと言って音楽を聞こうものなら怒られるだろうし、お菓子とか食べても怒られる。


……人間観察でもするか。




お、マネ業終わった松苗先輩がベンチに座って足組んでる。
……楽しそうだなー…いつも微笑んではいるけどテニス見てる時はすっげー嬉しそう。本当に好きなんだろうなぁ。
なんだよナイス人選じゃん。




「名前ちゃん」


「…なんですか?」


「何見とんじゃ」


「松苗先輩の観察です」


「俺らは見てくれないんか」


「十分見ましたよ」


「松苗…か…」


「良かったじゃないですか、松苗先輩テニス好きそうだし、ドリンク普通になったし」


「テニスが好き…ねぇ…。あれはただテニスが好きって面じゃなか」


「じゃあなんだって言うんですか」 

 
「優越感に浸っとる、テニス云々じゃなく自分の立ち位置に満足してにやついてる」


「もう仁王先輩にかかったら全員マネージャーなんて出来ないじゃないですか。このワガママめ」


「別にやめさせようとはしとらんよ」


「じゃあ別にいいじゃないですか。あんなイケメンだらけの中にいたら優越感にも浸るでしょーよ。」


「…あ。」


「何ですか」


「赤也がもじもじしとった。お前さん何かしたんか」


「切原君?…あぁ、切原君は私が迷惑らしいので話しかけないようにしてるだけですよ」


「ほー…。名前ちゃんはええんか、もうほとんど気軽に話せる奴おらんじゃろ」


「いいですよ、私には小春ちゃんがいますから」


「……………名前ちゃん」


「…何ですか」


「そういうの言うと彼氏出来んぜよ」


「いりません」


「なんでいつも告白断るんじゃ、結構されとるの見る」


「……恋愛的な意味で好きでもない人とどう付き合えと。気持ちがないのに付き合うなんて失礼にも程がありますよ。私ケツ重いんで」


「……案外真面目じゃな」



自然に笑った仁王先輩はラケット片手にコートに戻った。

酷い子だったり真面目だったり、私の評価は人によって変わるらしい。