「し、白石!」


「お、なんやまだ起きとったん?疲れた言うて先寝る言うてたやん」



合宿が始まったばかりで皆で騒ぎまくった。
謙也ははしゃぐことに疲れたんか眠そうに先に寝る言うて途中で抜けたけど。名前ちゃん居らんかったから機嫌最悪な財前引きずって部屋へ戻れば謙也が近寄ってきた。あ、足結局テーピングしたんかい。昼間はこんくらいならいつものことやって放置しとったくせに。



「やっぱりスピード勝負はアカンらしいで」


「何がやねん」


「だ、だから…ほら、…」



顔赤くしてモジモジすんのやめや、キモいわ。お前は小春かっちゅーねん。
謙也が言葉を濁していたら財前が謙也の綺麗にテーピングしてある足をガン見していた。そう、綺麗にテーピング…綺麗に?



「……お前こない上手くなかったよなぁ」


「や…やってもらってん!名字さんすぐ足挫いたこと見抜いたんやで!なぁ凄ない!?見とってくれてんのやなっ!」


「うっざ、うっざい、ホンマうっざいねんヘタレうっざ」


「え、なん、財ぜ…痛い!なんなん!?痛いわボケ!」


謙也が嬉しそうにそんな報告しよるから財前が謙也の足蹴飛ばしとる。今だけ許したるからもっと蹴っとき。何勘違いしとんねん、以心伝心ってアホちゃうん。それを言うなら相思相愛が正解やろ。ったくうちのスピードスターは早とちりしすぎやねん。



「財前もそこら辺にしとき、ほら寝るでー」


「白石ー!千歳おらーん!」


「もー知らんわあいつ。ほら金ちゃん寝るでー」




あーもう、謙也が羨ましいとか重症やん